グローバルサウスにおける政権交代、資源国有化、そして投資環境の変容

2026年4月3日、グローバルサウス地域は、資源ナショナリズムの加速、相次ぐ政権交代、そして地政学的緊張の高まりという複合的な要因により、投資環境の構造的な変容期を迎えている。特に、重要鉱物を巡る資源国の主権主張は強まり、新興市場全体では外部収支の改善が見られる一方で、中東情勢の不透明感など、新たなリスク要因も顕在化している。

グローバルサウスにおける資源ナショナリズムの加速と重要鉱物への影響

グローバルサウスにおける資源ナショナリズムの動きは、2026年に入り一層加速している。特に注目されるのは、ダイヤモンド大手デビアス社を巡るボツワナ政府の動向だ。4月10日には、ボツワナがデビアス社の過半数株式取得を目指していると報じられる見込みであり、これは資源国が自国の天然資源に対する支配力を強化しようとする明確な意思表示と言えるだろう。この動きの背景には、2026年2月にデビアス社の評価額が75%減の23億ドルに減損されたという事実がある。

このような資源ナショナリズムは、リチウムなどのグリーンエネルギー関連重要鉱物において「グリーン資源ナショナリズム」として顕著に表れている。メキシコ大統領は、リチウムを「国家の戦略的鉱物」と宣言し、その探査、開発、利用を国家が独占する方針を示している。これは、気候変動対策の進展に伴い需要が高まる重要鉱物に対し、資源国が自国の利益最大化を図る動きが強まっていることを示唆している。インドネシアもまた、ニッケルなどの鉱物資源の輸出を制限し、国内での加工を義務付けるダウンストリーミング政策を推進しており、付加価値の国内留保を目指している。これらの動きは、国際的なサプライチェーンに不確実性をもたらし、関連産業への投資環境に大きな影響を与えている。

グローバルサウスにおける政権交代の動向と投資リスク・機会

グローバルサウス地域では、政権交代が投資環境に与える影響も無視できない。来たる4月12日にはハンガリー総選挙が迫っており、現職のオルバーン政権が継続するのか、あるいは親EUを掲げる野党ティサ党への政権交代が実現するのかが注目されている。この選挙結果は、EU補助金の再開や汚職対策、国内投資強化といった政策変更に直結する可能性があり、投資家は動向を注視している。

政権交代は、政策の不確実性や、ゲリマンダーによる選挙制度の歪みといったリスクをもたらす一方で、新たな投資分野の創出という機会も生み出す。より広範な視点で見れば、「グローバルサウスの覚醒」と呼ばれる現象は、BRICSの拡大や金融主権の強化を通じて、国際的な投資の枠組みを根本的に変えつつある。これは、従来の先進国中心の経済秩序から、新興国がより大きな発言力を持つ多極的な世界経済への移行を示唆しており、投資家はこれらの構造変化に適応する必要がある。

2026年のグローバルサウス投資環境:構造的変化とリスク要因

2026年のグローバルサウスの投資環境は、構造的な変化と複数のリスク要因が混在する複雑な様相を呈している。国連貿易開発会議(UNCTAD)が4月1日に公表したデータによると、中東情勢の緊迫化を受け、ホルムズ海峡の通航量が2月の1日約130隻から3月にはわずか6隻へと急減した。これは、サプライチェーンの混乱とエネルギー価格への影響を通じて、グローバルサウス全体の経済に波及する可能性を秘めている。

一方で、2026年の新興市場は「構造的シフト」の恩恵を受け、外部収支の改善、信用力の向上、収益成長の拡大が見込まれている。特に、中国では消費・投資刺激策が継続され、韓国では株主還元強化の動きが見られるなど、地域ごとの具体的な政策動向が投資機会を創出している。しかし、「Periphery EMs」(周辺新興市場)と呼ばれる国々は、依然として外部変動に脆弱であり、地政学的リスクやコモディティ価格の変動に左右されやすい状況にある。投資家は、これらの構造的変化とリスク要因を慎重に見極めながら、グローバルサウス市場への投資戦略を構築する必要があるだろう。

Reference / エビデンス