グローバルサウス:重要鉱物資源の権益争奪と国家間の連携
2026年4月1日、世界の経済安全保障の構図が大きく変化する中、グローバルサウス諸国が世界の重要鉱物資源供給において中心的な役割を担い、その権益を巡る国家間の競争が激化している。米国とその同盟国、そして中国の間で、これらの資源の確保とサプライチェーンの支配を巡る動きが活発化する一方、グローバルサウス諸国自身も資源ナショナリズムを高め、国内での付加価値化と国家間の連携を模索している。
グローバルサウスにおける重要鉱物資源の戦略的価値の高まり
電気自動車(EV)や人工知能(AI)技術の急速な普及に伴い、リチウム、コバルト、ニッケルといった重要鉱物資源の需要が爆発的に増加している。この需要増を背景に、アフリカ、東南アジア、中南米といったグローバルサウス地域が、これらの資源の主要な供給源として戦略的要衝となっている。これらの国々は、これまで未加工の鉱物を輸出するに留まっていたが、近年では国内での加工・付加価値化を推進し、経済的利益の最大化を図る動きを強めている。例えば、コンゴ民主共和国(DRC)は、コバルトの現地加工を強化することで輸出額を増加させており、グローバルサウス諸国が単なる資源供給国から、サプライチェーンにおける重要なプレイヤーへと変貌を遂げつつあることを示している。
米国および同盟国によるサプライチェーン再編と連携強化
米国は、重要鉱物サプライチェーンの多様化と強靭化を国家戦略の柱として掲げ、同盟国との連携を強化している。今年2月4日に開催された「2026年重要鉱物閣僚会合」では、「重要鉱物特恵貿易圏」構想が発表され、アルゼンチンを含む11カ国との二国間枠組み合意が締結された。さらに、重要鉱物資源の探査・開発を促進するための新たな国際枠組み「FORGE」の創設も発表され、中国への過度な依存を低減する狙いが鮮明になっている。
本日4月1日には、高市総理とマクロン仏大統領による日仏首脳会談が行われ、重要鉱物サプライチェーンの強靭化に向けた協力が確認された。両国は、安定供給確保のための共同声明に署名し、レアアースを含む重要鉱物のサプライチェーンにおける連携を深化させることで合意した。
これに先立つ3月20日には、日米首脳会談において「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」が発出された。この計画には、重要鉱物の安定供給に向けた具体的な行動計画に加え、日本の排他的経済水域内にある南鳥島沖でのレアアース開発協力に関する覚書が締結されており、両国が経済安全保障の観点から重要鉱物資源の確保に本腰を入れていることが伺える。
中国の戦略とアフリカ・ASEANにおける影響力
一方、中国は長年にわたり、アフリカの重要鉱物分野で広範な関与を続けている。「一帯一路」構想を通じた大規模なインフラ投資や、アフリカ53カ国に対するゼロ関税措置は、中国が重要鉱物資源のサプライチェーンにおける支配力を強化するための戦略的な動きである。
特にコンゴ民主共和国(DRC)では、中国企業がコバルト鉱山に主要な投資を行い、その生産と加工において圧倒的な存在感を示している。また、中国はレアアースの主要生産国として、輸出規制を戦略的に利用することで、国際市場における影響力を維持している。
グローバルサウス諸国の自律性向上と市場への影響
グローバルサウス諸国は、自国の重要鉱物資源に対する管理を強化し、国際市場に大きな影響を与え始めている。その顕著な例がインドネシアのニッケル政策である。インドネシア政府は、ニッケル鉱山の生産割当を大幅に削減し、世界最大のニッケル鉱山であるウェダベイ・ニッケルに対して70%もの減産を指示した。
この政策は、供給過剰が続くニッケル市場において、市場センチメントを大きく強化した。市場では、来たる4月7日にはニッケル価格がさらに上昇するとの見方が強まっており、実際に価格は急騰している。 これは、グローバルサウス諸国が資源ナショナリズムを背景に、自国の資源を戦略的に管理することで、国際的なサプライチェーンと価格形成に直接的な影響を与える能力を持つことを明確に示している。
日本の重要鉱物戦略と国内・国際的取り組み
日本もまた、重要鉱物の安定供給確保に向けて国内外で多角的な戦略を進めている。経済産業省は、3月30日に「重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針」を更新し、国内でのリサイクル(都市鉱山)の促進を強化する方針を示した。
また、南鳥島沖でのレアアース開発は、日本の資源自給率向上に向けた重要なプロジェクトとして位置づけられている。 国際的には、日米豪印(クアッド)や本日合意された日仏間の連携枠組みを通じて、供給網の多角化と強靭化を図り、特定の国への依存度を低減する取り組みを加速させている。
Reference / エビデンス
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