グローバルサウス:地域経済共同体の発展と貿易障壁の推移

2026年3月31日

世界経済においてその存在感を増すグローバルサウスは、地域経済共同体の発展と貿易障壁の動向が注目されています。本稿では、2026年3月前後の期間に焦点を当て、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)とASEAN経済共同体の最新の取り組み、および米国やEUとの貿易協定が地域経済に与える影響を詳細に分析します。具体的な数値や直近の合意事項を盛り込み、グローバルサウスの経済統合の現状と課題を深く理解できるよう構成します。

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の進展と日本企業の関心

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、アフリカ域内貿易の活性化を目指し、着実にその歩みを進めています。2026年3月9日には、AfCFTAに関するセミナーが開催され、会場参加とオンラインを合わせて約300人が参加し、その関心の高さを示しました。このセミナーでは、AfCFTAの最新動向や進出企業による事例紹介、パネルディスカッションが行われました。

特に注目すべきは、2026年2月のアフリカ連合(AU)総会において、自動車分野の原産地規則が承認されたことです。これは、アフリカ域内での自動車産業の育成とサプライチェーン構築を促進する上で重要な一歩となります。日本企業もAfCFTAへの関心を高めており、ジェトロが実施した「2025年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)」では、AfCFTAが日本企業のビジネス展開に与える影響について多くの企業が注目していることが明らかになっています。

ASEAN経済共同体の深化と2026年の経済戦略

ASEAN経済共同体(AEC)は、域内統合の深化に向けた取り組みを加速させています。2026年1月19日から25日にかけて開催された高級経済実務者会合(SEOM)では、2026年の経済戦略として5つの主要な戦略が策定されました。これらの戦略は、貿易・投資のシームレスな域内統合の深化、デジタル市場の発展、持続可能な経済成長の促進などを柱としています。

また、2026年3月13日に開幕した第32回ASEAN経済大臣会合(AEMR 32)では、ASEAN・カナダ自由貿易協定(FTA)交渉が実質的に終結したことが発表されました。これは、ASEANが域外との経済連携を強化する上で重要な成果です。さらに、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の署名に向けた議論も進展しており、デジタル経済の統合がASEANの今後の成長戦略の鍵となることが示されています。

ラテンアメリカにおける貿易協定の動向と貿易障壁

ラテンアメリカ地域では、新たな貿易協定の締結と同時に、保護主義的な動きによる貿易障壁の懸念も浮上しています。2026年1月9日、欧州連合(EU)はメルコスール圏との貿易協定に賛成票を投じ、長年の交渉を経て、両地域間の経済関係強化に向けた大きな一歩を踏み出しました。

一方、米国は中南米諸国との個別協定を進めており、2026年1月29日にはエルサルバドルと、2月3日にはグアテマラと相互貿易協定に署名しました。しかし、米国における保護主義的な政策、特にトランプ政権の再来が示唆する追加関税の可能性は、中南米経済に大きな影響を与える可能性があります。世界銀行の2025年6月の見通しでは、メキシコへの追加関税が導入された場合、同国の成長率が0.2%下方修正されると予測されており、貿易障壁の高まりが地域経済に与える負の影響が懸念されています。

グローバルサウスとの連携強化に向けた日本の政策動向

日本は、グローバルサウスとの連携強化を重要な外交・経済政策の一つとして位置づけています。経済産業省は、グローバルサウス諸国との未来志向型共創を支援するため、「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」を設けており、2026年3月27日には二次公募が締め切られました。この補助金は、日本企業がグローバルサウスの国々と共に新たなビジネスモデルや技術を開発することを後押しするものです。

また、経団連は2026年1月8日に「グローバルサウスとの連携強化に向けて」と題する提言を公表しました。この提言では、グローバルサウスの多様性を踏まえた多角的なアプローチの必要性や、経済協力、人材育成、サプライチェーンの強靭化など、具体的な連携強化策が示されています。これらの動きは、日本がグローバルサウスの経済成長を取り込み、国際社会におけるプレゼンスを強化しようとする明確な意思を示しています。

Reference / エビデンス