2026年6月には、EU新移民・亡命協定(New Pact on Migration and Asylum)が全面施行される予定であり、現在、その準備が加速している。この協定は、2024年4月に欧州議会で承認され、5月に理事会で可決されたもので、2015年の難民危機以来の移民管理の失敗を背景に、国境管理の強化、手続きの簡素化、加盟国間の負担分担を目的としている。
欧州委員会は、2026年の期限までに新規則が完全に運用されるよう、加盟国が並行して取り組むべき10の主要なステップを含む共通実施計画を発表している。この計画には、加盟国間の責任分担を可能にするユーロダックと呼ばれる共通の情報システムや、迅速かつ効率的な庇護・帰還手続きを含む、EU域外国境での不規則な活動を管理するための新しいシステムなどが盛り込まれている。
しかし、加盟国間の準備状況には不均一性が見られる。2025年12月までに実施計画を提出したのは14カ国のみであり、遵守が課題となっている。協定は、移民の再配置(年間最低3万人)または拒否1人あたり2万ユーロの金融負担を加盟国に課す「連帯」を義務付けているが、ハンガリーやポーランドなどはこの受け入れ割当制度に反対し、独自の厳格路線を維持している。この協定は、EUの「連帯メカニズム」の象徴とされているが、人権団体からは「人道的でない」との批判も上がっている。