欧州:英総選挙と労働党交代に伴う経済政策の現状と課題

2024年の英国総選挙で労働党が政権を奪還して以降、キア・スターマー政権は経済安定化と成長を掲げた政策を推進しています。しかし、2026年4月現在、経済成長率の下方修正や国民からの支持率低迷、財政課題など、複数の課題に直面しています。本記事では、2026年4月24日時点での労働党政権の経済政策の主要な柱、具体的な財政措置、そして直面している経済的・政治的課題を詳細に分析します。特に、直近の経済成長率予測や世論調査の数値に焦点を当て、その影響を考察します。

2024年総選挙後の労働党政権発足と初期経済政策

2024年7月の総選挙において、労働党は14年ぶりに政権を奪還し、キア・スターマー党首が首相に就任しました。この政権交代は、英国の経済政策に大きな転換期をもたらしました。政権発足当初、労働党は経済の安定性確保、公共サービスの強化、そしてクリーンエネルギーへの大規模な投資を主要な政策公約として掲げました。特に、所得税、国民保険料、付加価値税(VAT)の引き上げは行わないという初期の財政規律に関する公約は、国民の期待を集めました。労働党は、経済成長を促進し、国民生活の向上を目指す姿勢を明確に打ち出しました。

2025-2026年の財政措置と税制改革

労働党政権は、2024年10月に初の予算案を発表し、歳出拡大と増税を組み合わせた財政措置を打ち出しました。この予算案では、歳出が700億ポンド拡大される一方で、400億ポンドの増税が計画され、その半分以上が企業負担となる見込みでした。 2025年11月には、2026年から2029年までの歳出見直しが発表され、医療、国防、住宅、交通、環境エネルギーインフラといった分野に2兆ポンドを超える優先投資を行う方針が示されました。 また、2026年4月からはビジネスレート(事業用固定資産税)の変更が実施され、特にパブに対しては15%の減免措置が2026年1月27日に発表されました。 これらの財政措置の結果、2026-27会計年度以降、英国の税負担の対GDP比率は第二次世界大戦後最高となる38%超に達する見込みです。

2026年における経済見通しと直面する課題

2026年3月16日に発表された春の経済声明において、英国予算責任局(OBR)は2026年の経済成長率予測を1.4%から1.1%へ下方修正しました。これに伴い、失業率が5.3%まで上昇する可能性も指摘されています。 経済の先行き不透明感は、労働党政権にとって大きな課題となっています。政治的な側面では、2026年4月23日時点でのスターマー首相の支持率は約20%に留まり、不支持率は約70%に達するという直近の世論調査結果が報じられています。 この低い支持率は、政権運営の難しさを示唆しています。さらに、2026年2月13日には、今後10年間で最大280億ポンドの国防資金不足に直面している状況が報じられました。これに対し、スターマー首相は共同防衛調達イニシアチブを計画しているとされています。 経済成長の鈍化、国民からの支持率低迷、そして財政課題、特に国防費の不足は、労働党政権が直面する複合的な課題であり、今後の政策運営に大きな影響を与えると考えられます。

Reference / エビデンス