東亜:中国不動産対策と政治局の市場不安の理

2026年4月24日、中国の不動産市場は回復の兆しと構造的な課題が混在する複雑な局面を迎えています。政府は市場安定化に向けた新たな発展モデルを模索し、政治局は経済運営の舵取りに腐心していますが、市場には依然として潜在的な不安要素がくすぶっています。

中国不動産市場の現状と課題:回復の兆しと深刻な在庫問題

中国の不動産市場は、一部に回復の兆しが見られるものの、全体としては依然として厳しい調整局面が続いています。2026年4月16日に発表されたデータによると、中国の四大一線都市(北京、上海、広州、深圳)では、2026年3月に新築分譲住宅および中古住宅の販売価格が前月比で全面上昇し、市場の回復シグナルが示されました。

しかし、市場全体を見渡すと、2026年の新築住宅販売面積は前年比で6.2%減少、不動産開発投資は11%減少すると予測されており、依然として厳しい状況が続いています。

特に地方都市では、空室率が30%近くに達するなど、売れ残り物件の在庫問題が深刻化しています。

複数戸住宅を保有する家庭の4割が資産目減りのリスクに直面しているとの指摘もあります。

不動産デベロッパー各社の業況悪化も顕著で、2025年には合計で5兆円を超える赤字を計上したとみられています。

大手デベロッパーである万科だけでも、約1兆7300億円の損失が見込まれるなど、企業の経営環境は厳しさを増しています。

さらに、2026年時点でも建設が中断し引き渡しが済んでいない物件が190万~220万戸に達すると推計されており、市場の構造的な問題が根深く残っていることが浮き彫りになっています。

政府の不動産安定化策と新発展モデルへの転換

中国政府は、不動産市場の安定化に向けた明確な政策転換を示しています。2026年3月5日の李強総理の政府活動報告では、「不動産市場の安定への注力」が強調され、リスク防衛と「新しい発展モデルの構築」が加速される方針が示されました。

この新モデルは、「市場(分譲)+保障(公営)」の二軌制を確立し、不動産業を長期的な安定成長モデルへと転換させることを目指しています。

2025年12月22-23日に開催された「全国住宅城郷建設工作会議」では、2026年に都市再開発と不動産市場安定化の取り組みを強化する方針が示され、供給管理や在庫削減のため、地域の状況に応じた政策調整を行うと説明されました。

また、地方当局が融資対象として適格な不動産開発プロジェクトを認定し、銀行融資を迅速に受けられるようにする「ホワイトリスト」メカニズムの強化も進められています。

金融面からの支援も継続されており、2026年4月20日には中国最優遇貸出金利(LPR)が1年物で3.5%、5年物で3.0%と発表されています。

政治局の経済運営方針と市場への影響

中国共産党中央政治局は、経済運営においてより積極的な姿勢を示しています。2026年4月17日に発表された情報によると、2026年1~3月期の中国の実質GDP成長率は前年比5.0%と良好なスタートを切りました。

しかし、不動産開発投資の停滞や内需拡大策の効果の弱まりが見込まれるため、4~6月期は前年比4.8%へ小幅に減速すると予想されています。

政治局は2026年2月27日の会議で、より積極的かつ効果的なマクロ政策と、政策間の協調強化が必要だと強調しました。

2025年12月の中央経済工作会議では、2026年の経済の基本方針として「穏中求進(安定の中で前進を求める)」が掲げられ、内需主導が重点政策の筆頭に挙げられました。

3月の全国人民代表大会では、2026年の成長目標が4.5~5.0%に設定され、インフラ投資からAIや再生エネルギーといったハイテク産業へのシフトや、不動産在庫の直接買い取りなどの大胆なてこ入れ策が承認されました。

しかし、これらの政策が地方財政の悪化を招く「もろ刃の剣」となる可能性も指摘されています。

広範な経済的影響と社会不安の可能性

不動産市場の低迷は、中国経済全体に広範な影響を及ぼしており、国際通貨基金(IMF)は2025年12月に、内需の弱さとデフレ圧力による不均衡を指摘し、不動産業界の構造調整支援が急務であると警鐘を鳴らしています。

習近平政権は経済の牽引力を不動産業界などのオールドエコノミーから、AIや再生エネルギーといったハイエンド産業へ転換させる方針を強調しています。

しかし、多くの雇用を生み、人々の所得を支えるのは依然としてオールドエコノミーであるため、その崩壊は大量の失業者を生み、消費の縮小を深刻化させ、社会動揺や庶民の不安を引き起こす「時限爆弾」となる可能性が2026年のいずれかのタイミングで破裂するかもしれないと指摘されています。

特に、地方政府の土地使用権収入の減少により、公的年金基金を補助する余力が乏しくなっており、経済発展が遅れた地方の年金受給額が減少すれば、日本では起きなかった規模の社会不安を引き起こす可能性も懸念されています。

Reference / エビデンス