東亜:韓国半導体・バッテリー連合の生存戦略

2026年4月23日、韓国の基幹産業である半導体とバッテリー分野は、国際的な競争激化と地政学的変動の波に直面しながらも、政府の強力な支援と企業各社の革新的な戦略によって、その生存と成長の道を模索している。特に、AI時代の到来と電気自動車(EV)市場の変革期において、韓国は技術覇権を維持するための重要な岐路に立たされている。

韓国半導体産業の現状と課題

2026年第1四半期、韓国の輸出は半導体産業に牽引され急伸したものの、その裏には構造的な脆弱性が潜んでいる。特に、サプライチェーンの不安定性、深刻な人材不足、そして国際競争の激化が主要な課題として挙げられる。例えば、AIブームを支える半導体製造に不可欠なヘリウムの調達停止は、サプライチェーンにおける「見えない臨界点」として懸念されている。

一方で、韓国政府は半導体産業を国家の最重要戦略産業と位置づけ、体系的な支援のための「半導体特別法」を制定するなど、制度基盤の整備を進めている。

企業レベルでは、SKハイニックスの副社長が半導体技術革新を牽引し「科学技術勲章・到位章」を受章するなど、技術開発への貢献が評価されている。 しかし、半導体好況がもたらす経済的な不平等という社会的な課題も指摘されており、持続可能な成長には多角的な視点が必要とされている。

韓国バッテリー産業の現状と課題

韓国のバッテリー産業は、電気自動車(EV)市場の変動と原材料供給の安定性という二重の課題に直面している。2026年1~3月期には、韓国の主要電池大手3社がそろって営業赤字となる見通しが報じられ、市場の厳しさが浮き彫りになった。 特に、EV市場の成長鈍化や、中国企業との競争激化が収益性を圧迫している。

原材料供給の面では、米国の重要鉱物協定が韓国バッテリー産業に与える影響が懸念されており、収益性への負担が増す可能性が指摘されている。 このような状況下で、韓国バッテリー業界は次世代バッテリー技術開発に注力しており、特にエネルギー貯蔵システム(ESS)や全固体電池といった新分野への軸足の移行が見られる。 現代自動車も2026年末の完成を目指し、次世代バッテリーの研究開発拠点を韓国に建設するなど、技術革新への投資を加速させている。

政府の支援策と産業政策

韓国政府は、半導体およびバッテリー産業の競争力強化のため、多岐にわたる支援策を打ち出している。半導体分野では、前述の「半導体特別法」により、研究開発、人材育成、設備投資などに対する支援が強化されている。 これは、半導体産業を「国家の未来を左右する核心産業」と位置づけ、世界的な技術覇権を確立するための国家的な取り組みの一環である。

バッテリー産業に対しても、政府は「K-バッテリー戦略」を発表し、2030年までに世界シェア25%を目指すという具体的な目標を掲げている。 この戦略には、次世代バッテリー技術開発への大規模な投資、サプライチェーンの安定化、そして国際協力の推進が含まれる。これらの政策は、韓国産業の新たな地平を切り開くものとして期待されている。

国際競争と地政学的要因

韓国の半導体・バッテリー産業は、米中技術覇権争いをはじめとする国際的な競争環境と地政学的要因から大きな影響を受けている。米国の対中半導体輸出管理強化は、韓国半導体大手にとって中国工場における生産戦略の難題となっており、米中対立のジレンマに直面している。

一方で、欧州連合(EU)の産業加速法は、韓国の電池産業にとって追い風となる可能性を秘めている。 しかし、将来的な米国の政策転換、特にトランプ政権の再来による保護主義的な政策は、韓国の電池・電気自動車産業にとって新たなリスクとなることが指摘されている。 韓国は、このような複雑な国際情勢の中で、主要国との連携を強化し、サプライチェーンの多角化を図ることで、リスクを分散し、安定的な成長を目指す戦略を推進している。

企業連合と技術革新戦略

韓国の主要半導体・バッテリー企業は、国内外での提携や共同研究開発、M&Aを通じて、次世代技術革新を加速させている。半導体分野では、クアルコムが韓国で2nmプロセス回帰、メモリ確保、AI戦略を同時推進する大型提携交渉を進めていることが報じられた。 また、AI半導体時代の到来を告げる「SEMICON Korea 2026」には過去最多の550社が集結し、技術革新への関心の高さを示した。

バッテリー分野では、Samsung SDIがメルセデス・ベンツのEVにバッテリーを初供給するなど、グローバル市場での存在感を高めている。 LGエナジーソリューションやSK ONといった企業も、全固体電池やエネルギー貯蔵システム(ESS)といった次世代技術への投資を強化している。 さらに、韓国DEEPXと現代自動車系のロボティクスLABが次世代ロボットAI基盤で提携するなど、異業種間の連携も活発化しており、韓国企業連合は技術革新を通じて、新たな市場機会を創出しようとしている。

Reference / エビデンス