グローバルサウスにおける重要鉱物国有化の動向と供給網への影響(2026年4月13日時点)

2026年4月13日、グローバルサウス諸国における重要鉱物資源の国有化および国内加工義務化の動きが加速しており、世界の供給網に深刻な影響を与えつつある。特に過去48時間(4月11日~13日)に報じられた動向は、この傾向が一段と強まっていることを示唆している。

グローバルサウスにおける資源ナショナリズムの加速

2026年4月13日現在、グローバルサウス諸国では、自国の資源に対する主権を強化し、国内での付加価値向上を目指す「資源ナショナリズム」の動きが顕著になっている。 Vantage Politicsの2026年4月6日および4月7日の報告書では、政権交代や地政学的変動が資源国有化の動きを加速させ、投資環境に多大な影響を与えていると指摘されている。 この背景には、経済安全保障リスクの高まりと、各国・地域の自律性向上、不可欠性確保に向けた戦略がある。

具体的な動きとして、チリではガブリエル・ボリッチ大統領がリチウム産業の国有化計画を進めており、4月20日にはその詳細が発表される予定だ。 チリは2022年のリチウム生産量が世界第2位、埋蔵量も世界第3位を誇る主要な供給国であり、この計画は世界のリチウム産業に大きな影響を与える可能性がある。 しかし、Global Xは、大統領の法案は一般にいう国有化には程遠く、主要鉱山企業であるSQMとアルベマール(Albemarle)の操業には短期的には問題がないと見ている。

インドネシアは、ニッケル鉱石の輸出禁止措置を継続しており、電気自動車(EV)バッテリー生産の世界的なハブとなることを目指している。 この政策は、世界貿易機関(WTO)から違法と判断されたにもかかわらず、国内産業育成の強い意志を示している。 また、インドネシア政府は、2026年4月1日に予定されていた石炭とニッケル輸出に対する棚ぼた税の導入を延期したが、これは省庁間のより徹底した検討を可能にするためとされている。 この税は、商品価格の高騰による異常な利益を捕捉し、国家財政を強化し、中東の地政学的緊張によって引き起こされるエネルギー補助金コストの上昇を相殺することを目的としている。

アフリカ諸国では、ザンビア、コンゴ民主共和国(DRC)、ジンバブエといった国々が、コバルト、銅、リチウムなどの重要鉱物資源の国内加工を義務付ける動きを強めている。 特にジンバブエは、リチウム濃縮物やその他の原材料の輸出を停止し、国内での精製業務の設立を促す圧力を強めている。 これらの国々は、未加工の鉱物輸出を制限することで、雇用創出と経済発展を図ろうとしている。

重要鉱物供給網の脆弱性と地政学的リスク

2026年4月13日時点において、重要鉱物供給網は依然として高い脆弱性を抱え、地政学的リスクがその不安定性を一層高めている。 2026年4月10日の市場分析によると、リチウム価格は前日比0.13%減少して155,550人民元/トンに下落したが、過去1ヶ月で2.17%下落したものの、1年前と比較すると117.25%高い水準を維持している。 2026年のリチウム市場は、EV産業が主要な牽引役となり需要が拡大するものの、供給過剰により価格上昇の持続性には不確実性があるとの予測も示されている。

米国は、重要鉱物市場の再構築に向けて積極的な姿勢を示している。2026年2月4日には「2026年重要鉱物閣僚会合」を開催し、54カ国および欧州委員会の代表を招集した。 この会合では、AI、ロボティクス、電池、自律装置の発展に伴い重要性を増す重要鉱物およびレアアースの世界市場が高度に集中しており、これが政治的強制や供給網混乱の手段となり得るとの認識が示された。 また、米国は同日、アルゼンチン、クック諸島、エクアドルなど11カ国と二国間重要鉱物枠組みまたは覚書(MOU)を締結し、公正市場形成や優先供給網のギャップ是正、資金調達拡大の基盤整備を目指している。

国連安全保障理事会では、2026年3月5日に「エネルギー、重要鉱物、安全保障」について議論が行われ、重要鉱物資源を巡る国際競争における公平性が呼びかけられた。 中国の国連大使は、一部の国がエネルギー・重要鉱物を過度に安全保障問題として一般化すべきではないと述べ、冷戦思考に固執し、排他的な「小グループ」を構築すべきではないと指摘した。

中国の輸出規制強化は、サプライチェーンに継続的な影響を与えている。2026年1月14日および2月15日の報道では、中国が重要鉱物の輸出規制を強化していることが伝えられており、これは世界の供給網の不安定化要因となっている。 さらに、2026年4月8日に施行される中国のEVバッテリーリサイクル規制は、国際的な中古バッテリー流通に大きな構造転換をもたらす可能性がある。

中東情勢の緊迫化は、世界のサプライチェーンに広範な影響を及ぼしている。2026年4月7日の報道では、中東情勢の悪化に伴う原油および石油化学製品の価格急騰を受け、東レや帝人フロンティアなどの繊維関連企業が相次いで値上げに踏み切っていることが報じられた。 4月8日には米国とイランの間で2週間の攻撃停止合意が報じられる見込みであり、これを受けて原油価格が急落する可能性が指摘されているが、中東地域の根本的な不安定要因は依然として残されている。 東京商工リサーチが4月9日に発表したアンケート結果では、中東情勢の緊迫化による原油価格高騰や供給不安が経営に「マイナス影響がある」と回答した企業が96.6%に達し、特に「原油由来の素材・原材料の高騰によるコスト増」が70.4%で最多となっている。

主要国の対応と国際協力の動向

2026年4月13日現在、重要鉱物供給網の安定化に向けて、主要国は多角的な戦略的対応を進めている。日本政府は、2026年4月10日の会見で、中東情勢の緊迫化によるナフサ価格高騰などの供給不安に対し、代替調達ルートの確保や国家備蓄の放出を検討するなど、供給安定化に向けた対応を急いでいると述べた。

日本は、資源国との連携を強化している。2026年3月4日に南アフリカ共和国ケープタウンで開催されたアフリカ最大の鉱業大会「アフリカン・マイニング・インダバ2026」において、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)はセッションを開催し、ブース展示を通じてアフリカにおける活動をアピールした。 松尾経済産業審議官もアフリカ諸国等の政府関係者との会談に同席し、重要鉱物サプライチェーンの強靭化を含めた関係強化に向けて意見交換を実施した。

また、日豪連携による供給網強化の動きも活発化している。2026年3月23日の報道では、オーストラリアが豊富な資源を採掘して輸出するだけの従来型ビジネスモデルからの転換を進め、国内での精製・加工能力の強化と付加価値創出を重点的に推進していることが示された。 日本とオーストラリアは、重要鉱物の安定的なサプライチェーン構築に資する新たな重要鉱物パートナーシップを締結しており、研究、投資、事業化の取り決めを含め、協力や情報交換の機会を推進している。 経済産業省は、2026年3月15日に更新された「重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針」において、供給源の多角化と国家備蓄の強化を目的とした鉱山開発・製錬事業プロジェクトへの出資支援や、備蓄事業への利子補助を行う方針を示している。

米国は、アルゼンチンなど11カ国と二国間重要鉱物枠組みを締結し、重要鉱物に関する特恵貿易圏の創設を提案している。 さらに、鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)の後継として「資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)」の創設を発表し、政策・事業両面での連携を強化する方針だ。 2026年2月4日には、米国、欧州連合、日本が共同プレスステートメントを発表し、重要鉱物サプライチェーンの強靭性に関する戦略的パートナーシップを形成し、行動計画を発展させ、複数国間の貿易イニシアティブを探求する意図を表明した。

中国は、アフリカの金属・鉱山セクターへの大規模な投資を継続しており、「一帯一路」構想を通じて2025年には鉱山開発向けに154億ドル、製錬施設向けに200億ドルを投じたと報じられている。 このように、多極化する国際秩序の中で、各国は重要鉱物資源の確保に向けて連携と競争を繰り広げている。

Reference / エビデンス