グローバルサウス:地域経済共同体の発展と貿易障壁の推移

世界経済における存在感を急速に高めるグローバルサウス諸国は、地域経済共同体の発展と貿易障壁の推移が国際貿易および投資戦略を策定する上で不可欠な情報源となっている。本稿では、アフリカ、ASEAN、BRICS、ラテンアメリカの主要地域に焦点を当て、2026年4月12日時点の最新動向と具体的な数値に基づき、その現状と今後の展望を分析する。

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の進展と課題

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、域内貿易の活性化を目指し着実に進展しているものの、依然として多くの課題に直面している。2026年3月23日から28日に開催された「Africa-Caribbean Investment Summit 2026」では、2028年までに貿易額18億ドルという野心的な目標が設定された。しかし、同年3月23日の「Africa Trade Conference 2026」では、貿易統合を阻害する要因として、資金調達の不足、情報不足、信頼構築の難しさ、そして分断された基準・規則が指摘された。

特に非関税障壁(NTBs)は深刻な問題であり、2026年2月24日から25日に開催された「東アフリカビジネス・投資サミット&エキスポ2026」では、NTBsが地域GDPに2~3%の損失を与えていることが具体的に指摘された。経済成長の見通しについても懸念が示されており、世界銀行は2026年4月8日、サブサハラ・アフリカの2026年経済成長率予測を下方修正した。さらに、2026年4月2日にアフリカ開発銀行などが共同で公表した報告書では、中東情勢が長期化した場合、2026年のアフリカGDP成長率が0.2ポイント低下するとの試算が示されており、外部要因が地域経済に与える影響の大きさが浮き彫りとなっている。

ASEANの経済戦略と貿易円滑化の動向

ASEANは、2026年の議長国であるフィリピンが「世界第4位の経済圏」という目標を掲げ、経済戦略と貿易円滑化に向けた取り組みを加速させている。この目標達成に向け、ASEANは貿易・投資のシームレスな域内統合深化、デジタル市場の発展、MSME(中小零細企業)能力強化、グリーン経済への移行加速、クリエイティブ経済推進という5つの戦略を推進している。

地域経済の見通しは比較的明るく、2026年4月6日にASEANプラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)が発表した報告書によると、ASEANプラス3地域は2026年に4%の成長が見込まれている。一方で、貿易障壁の存在も指摘されており、2026年3月31日に米国通商代表部(USTR)が公表した「2026年外国貿易障壁報告書」では、タイに対して農業分野の輸入制限、知的財産侵害、労働・環境問題などの貿易障壁が具体的に指摘された。これらの障壁の解消が、ASEANが目指す経済圏の実現に向けた重要な課題となる。

BRICSの拡大と脱ドル化の進展

BRICSは、その拡大と脱ドル化の動きを通じて、世界経済における影響力を着実に増大させている。2026年の拡大に向けて準備が進められており、BRICSは世界のGDPの35%以上、世界人口の45%を代表する存在となる見込みである。域内貿易も活発化しており、2023年にはBRICS内貿易が2012年の約10%から18%に達した。

特に注目されるのは、脱ドル化に向けた具体的な動きである。BRICSは2026年の発表を目標に独自の通貨開発を進めており、これは国際金融システムに大きな影響を与える可能性がある。また、ブラジルは2024年10月から2025年10月までの1年間に611億ドル相当の米国債を売却するなど、各国がドルへの依存度を低減させる動きを見せている。これらの動きは、多極化する世界経済においてBRICSが果たす役割の重要性を示している。

ラテンアメリカの経済統合と貿易見通し

ラテンアメリカ地域は、経済統合の進展と同時に、依然として低成長の課題に直面している。2025年12月16日に国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)が発表した予測では、2025年のGDP成長率は2.4%、2026年は2.3%と、低成長が続く見込みである。さらに、2026年4月8日には世界銀行がラテンアメリカおよびカリブ地域の経済成長予測を下方修正しており、地域経済の先行きには不透明感が漂う。

しかし、明るい兆候も見られる。2026年初めには、ラテンアメリカの金融資産が世界で最も好調な市場の一つとして浮上した。これは、前向きな政治的触媒、堅調な商品価格、そして新興市場に対する世界的な需要の回復が背景にあると分析されている。また、EUとメルコスールの貿易協定は、地域内の貿易統合をさらに深化させる可能性を秘めている。資源大国としての存在感も健在であり、チリは2024年に1,490万トンの銅を出荷し、世界最大の銅輸出国としての地位を維持している。これらの要素が、ラテンアメリカ地域の今後の経済発展を左右する鍵となるだろう。

Reference / エビデンス