グローバルサウス:サウジアラビアの「脱石油」投資の進捗と不確実性(2026年04月13日)

2026年4月13日、サウジアラビアは「脱石油」を掲げる国家戦略「ビジョン2030」の加速フェーズに突入しており、その進捗とグローバルサウスにおける投資戦略が注目されている。経済多角化は着実に成果を上げているものの、NEOMに代表されるメガプロジェクトの動向や原油価格の変動、地政学的リスクがもたらす不確実性は依然として課題として残る。

脱石油戦略の進捗と経済多角化の現状

サウジアラビアの「ビジョン2030」は、2024年末までに目標の85%が達成または軌道に乗っていると報告されており、折り返し地点を過ぎて加速フェーズに入っている。この戦略の推進により、非石油部門のGDP貢献率はビジョン開始前の40%から56%に増加した。また、失業率は2030年の目標である7%に到達している。国際通貨基金(IMF)は、サウジアラビアの2026年の経済成長率予測を4.5%に上方修正しており、経済の堅調な拡大を示唆している。特に、2026年1月時点の非石油民間部門PMI(購買担当者景気指数)は56.3と、引き続き堅調な拡大を示している。

主要メガプロジェクトの動向と課題

サウジアラビアの経済多角化の象徴であるNEOMプロジェクトは、2026年3月時点の報道によると、特に「THE LINE」の当初の計画が国内経済状況と物流の制約により一部見直しや遅延に直面している。これに伴い、AIデータセンターインフラへの戦略的転換が確認されている。一方で、NEOM内の観光地であるシンドラー島は2024年10月に正式開業し、トロジェナの一部フェーズは2026年までに完成予定である。しかし、「ビジョン2030」の資金調達は原油価格の変動により債券市場への依存度を高めており、一部プロジェクトでは民間委託の方針が示されている。

グローバルサウスにおける投資戦略と不確実性

サウジアラビアは、2026年の世界経済フォーラム年次総会において、アフリカ、ヨーロッパ、アジアを結ぶ「コネクター・エコノミー」および物流ハブとしての役割を強調した。また、AI分野でのグローバルハブを目指す取り組みも進められており、2026年には初のグローバル・サンゴ礁サミットを主催する予定である。しかし、2026年3月にはホルムズ海峡の状況により石油生産削減を開始したとの報道があり、地政学的リスクが経済に与える影響が懸念される。IMFは2026年に世界のエネルギー価格が約7%下落すると予測しており、サウジアラビアにとっては財政バッファーの再構築や政策の不確実性軽減が引き続き重要な課題として挙げられている。

Reference / エビデンス