グローバルサウスの「脱ドル化」戦略と多極化する国際決済システム:2026年最新動向

2026年4月12日、世界経済は歴史的な転換点に立たされている。グローバルサウス諸国が米ドルへの依存を減らし、自国通貨や代替決済システムを強化する動きが加速しており、国際金融秩序の多極化が顕著になっている。この「脱ドル化」の潮流は、中国の決済システム拡張、BRICS諸国による新決済システムの導入、各国中央銀行による金準備の増加、そして現地通貨決済の拡大といった具体的な動きによって裏付けられている。

中国CIPSの機能拡張と非米ドル決済の加速

中国は、クロスボーダー人民元決済システム(CIPS)の機能拡張を通じて、非米ドル決済網の構築を強力に推進している。2026年2月には、CIPSの多通貨対応に向けた規制変更が施行され、人民元以外の通貨での決済がより容易になった。これにより、国際貿易における人民元の利用が一段と加速すると見られている。その具体的な進展を示す事例として、2026年3月初旬には義烏保税物流センターが1日あたりの貨物取扱額3億元(約4,350万ドル)超を達成したことが挙げられる。これは、中国が主導する非米ドル決済網が着実に拡大していることを示す明確な指標である。

BRICSによる新決済システムの導入と共通通貨構想の進展

BRICS諸国もまた、脱ドル化戦略の主要な担い手として、独自の決済システム構築を進めている。統一決済システム「Brics Pay」は2026年の段階的な稼働を目指しており、米ドルに代わる国際決済手段としての地位確立を狙う。また、2026年2月17日にはブラジルで新しい決済システム「DCMS」が導入され、BRICS圏内での現地通貨決済を促進する動きが具体化している。

BRICSの共通通貨構想については、ロシア外務副大臣セルゲイ・リャブコフ氏が、2026年のBRICSサミットでは共通通貨ではなく現地通貨利用の拡大に焦点が当てられると発言しており、当面は各国通貨での取引促進が優先される見通しだ。 2026年のBRICS拡大により、この経済圏は世界のGDPの35%以上、人口の45%を代表するようになると予測されており、その経済的影響力は計り知れない。

各国中央銀行による金準備の増加と米ドル準備比率の低下

グローバルサウス諸国の中央銀行は、米ドルへの依存を減らすため、金準備の増加を積極的に進めている。2026年4月6日時点で、ブラジルは42トンの金を追加購入し、ドル保有を削減したと報じられた。 中国人民銀行も、2026年3月末時点で17カ月連続で金保有量を増加させ、その総量は約2313トンに達している。

世界金協会(WGC)の調査によると、中央銀行の金購入量は2022年以降3年連続で年間1,000トンを超え、2025年も863トンと高水準を維持している。さらに、2026年には68%の中央銀行が金保有を増やす計画であるという。 こうした動きを背景に、世界の外貨準備に占める米ドルの割合は、2026年第1四半期には56%まで低下した事実が指摘されており、国際基軸通貨としてのドルの地位が揺らぎつつあることを示唆している。

現地通貨決済の拡大と地政学的影響

現地通貨での決済は、地政学的な緊張が高まる中で、その重要性を増している。2026年4月1日、ロシアはガス料金のルーブル決済を7月1日まで延長すると発表した。 また、2026年4月3日頃には、イランがホルムズ海峡通過料の人民元決済を可能にしたことで、中国企業株が急騰する事態が発生した。 これは、エネルギー取引や戦略的要衝における決済において、米ドル以外の通貨が選択肢として浮上していることを明確に示している。

さらに、インドとアラブ首長国連邦(UAE)は、現地通貨での原油取引を成功させており、非米ドル決済の具体的な進展と、それがもたらす地政学的な影響は無視できない。

グローバルサウス金融フォーラムと今後の展望

2026年3月26日には、北京で「2026年グローバルサウス金融フォーラム」が開催され、30以上の国・地域が参加した。このフォーラムでは、より包摂的で持続可能な金融協力の強化が目指され、グローバルサウス諸国間の連携強化が確認された。

2026年以降もデドル化は加速する可能性が高く、国際金融秩序の多極化は不可逆的な流れとなっている。野村證券の2025年12月11日時点の分析では、新興国市場が米ドル離れへの思惑の追い風を受けて好調を維持していると指摘されており、この傾向は今後も続くと見られる。 グローバルサウス諸国の台頭と、それに伴う国際決済システムの変革は、世界経済の新たな局面を切り開くことになるだろう。

Reference / エビデンス