北米:連邦インフラ投資計画の予算配分と執行状況

北米地域では、経済成長、雇用創出、および国際競争力強化の重要な柱として、連邦インフラ投資計画が推進されています。2026年4月10日現在、米国およびカナダの両国で大規模なインフラ投資プログラムが進行しており、その予算配分と執行状況は、今後の経済動向を占う上で極めて重要な指標となっています。

米国連邦インフラ投資計画の概要と最新の予算動向

米国では、2021年11月に成立した総額1.2兆ドル規模の超党派インフラ投資・雇用法(IIJA)が、インフラ整備の中核を担っています。この法律は、道路、橋梁、公共交通機関、ブロードバンド、電力網、水道システムなど、多岐にわたる分野への投資を目的としています。

しかし、2026年4月3日には、トランプ米政権が2027会計年度予算教書を発表し、非国防費の6,600億ドル削減、これは2026年度予算比で10%減に相当する要求が示されました。

IIJAに基づく資金配分と執行の最新状況を見ると、2026年1月31日時点で、調整済み予算額は4960億9165万1000ドルに上ります。このうち、発表された助成金は4901億9257万3000ドル、義務化額は3602億5618万8000ドル、そして実際に支出された額は2136億7116万3000ドルとなっています。執行率は、義務化率が72.62%、支出率が43.07%という具体的な数値が示されており、計画の進捗状況が明らかになっています。

また、2026年2月3日にトランプ大統領が署名した2026年度連結歳出法(H.R. 7148)は、IIJAの特定のプログラムに影響を与える可能性があり、今後のインフラ投資の方向性に注目が集まっています。

米国インフラ投資の分野別進捗と課題

米国のインフラ投資は、特定の分野で顕著な進展を見せています。2026年3月上旬には、連邦道路庁(FHWA)が交通制御装置に関する統一マニュアル改訂版の最終規則を発表し、交通インフラの近代化に向けた具体的な一歩を踏み出しました。

エネルギー分野では、先進原子力開発を支援する「Accelerating Reliable Capacity (ARC) Act of 2026」の提出準備が進められており、クリーンエネルギーへの移行を加速させる動きが見られます。

製造業の復活もインフラ支出を強力に推進しています。2025年1月から9月の間に、電子機器、医薬品、半導体業界などの企業が米国の生産能力向上に1.2兆ドル以上の投資を発表しました。 これは、CHIPS法やインフレ削減法(IRA)といった政策が、製造関連の建設支出を加速させている結果と分析されています。

一方で、課題も存在します。2026年1月の米国の建設支出は前月比0.3%減少しており、一部の分野で投資の減速が見られます。 また、トランプ政権下での関税政策の変更は、インフラ・バリューチェーンに短期的な影響を与える可能性があり、今後の動向が注視されています。

カナダ連邦インフラ投資計画の予算配分と今後の見通し

カナダでは、2026年1月13日に承認された2025-2026年度連邦予算「Canada Strong」が、今後5年間で2800億カナダドル(約2051億米ドル)の支出を計画しています。

この予算は、国防、インフラ、住宅セクターへの支出増を特徴としており、その結果、2025-2026年度の財政赤字は783億カナダドルに増加すると見込まれています。

2026年3月13日に発表された2026-27年度の財務省の部門計画では、2026-27年度に1066万8000ドルの歳出削減計画が示されており、財政健全化への意識も伺えます。

最新の財政状況として、2025年4月から2026年12月の期間における連邦赤字は261億カナダドルに達しており、インフラ関連支出の継続的な確保と財政規律の維持が今後の重要な課題となるでしょう。

Reference / エビデンス