2026年04月09日 北米:巨大IT企業に対する独占禁止法と規制の動向

北米における巨大IT企業に対する独占禁止法および規制の動向は、米国、カナダそれぞれの国内政策に加え、欧州連合(EU)のデジタル規制が米国企業に与える影響、そしてAI技術の進化に伴う新たな規制の動きが複雑に絡み合い、その事業戦略に大きな影響を与え続けている。特に本日2026年4月9日には、米国の貿易障壁報告書が発表され、またX(旧Twitter)の独占禁止法訴訟に関する新たな動きも報じられており、これらの動向は注目に値する。

米国における独占禁止法執行の最新動向

本日2026年4月9日、米通商代表部(USTR)は「2026年外国貿易障壁報告書」を発表し、EUのデジタル規制や炭素国境調整メカニズム(CBAM)の本格実施、標準化の執行強化を新たな貿易障壁として指摘した。この報告書は、EUのデジタル規制が米国企業に与える影響について、米国政府が強い懸念を抱いていることを明確に示している。

米連邦取引委員会(FTC)による巨大IT企業への監視も継続している。マイクロソフトに対する独占禁止法調査は2026年も継続されており、日本においても公正取引委員会が2026年2月25日にマイクロソフト日本法人に立ち入り検査を実施するなど、国際的な連携も視野に入れた動きが見られる。また、FTCはアマゾンに対しても反トラスト法違反の疑いで提訴しており、巨大IT企業に対する厳しい姿勢を維持している。米司法省も独占禁止法執行姿勢を強化しており、2026年3月10日の報道によれば、巨大IT企業に対する訴訟提起や調査が活発化していることが示唆されている。

カナダにおけるIT規制の強化と巨大IT企業への影響

カナダでは、巨大IT企業に対する規制強化が進んでいる。2023年4月27日には「オンラインストリーミング法(C-11)」が成立し、オンラインストリーミングサービス提供者に対し、カナダのコンテンツを優先的に扱うよう義務付けている。さらに、同年6月22日には「オンラインニュース法(C-18)」が成立した。この法律は、ニュースコンテンツをプラットフォーム上で利用する巨大IT企業に対し、ニュース事業者への対価支払いを義務付けるもので、2026年3月10日時点の状況として、Googleが年間1億カナダドルの拠出に合意した一方で、Metaはニュース配信を停止するという異なる対応を見せている。これらの動きは、カナダ政府が国内の文化産業と報道機関の保護に積極的であることを示している。

国際的な規制動向と北米巨大IT企業への影響

EUのデジタル市場法(DMA)は2024年3月7日から本格適用されており、北米の巨大IT企業に大きな影響を与えている。欧州委員会は2025年12月8日および9日に、MetaのDMA準拠対応について発表するとともに、Googleに対する独占禁止法調査の開始を公表した。これは、EUが巨大IT企業の市場支配力に対し、厳格な姿勢で臨んでいることを示している。また、Appleは2024年に欧州委員会から約20億ドルの制裁金を科されており、DMAの実効性が示されている。

一方、X(旧Twitter)は2026年1月に音楽出版社に対して独占禁止法訴訟を提起した。これに対し、音楽会社側は同年4月2日に訴訟却下申立書を提出しており、著作権侵害を巡る巨大IT企業とコンテンツホルダー間の法廷闘争が激化している。

AI規制の進展と巨大IT企業への影響

AI技術の急速な発展に伴い、各国で新たな規制の動きが加速している。米国では、米連邦取引委員会(FTC)が2026年3月11日までに、AIモデルへのFTC法第5条適用に関する政策声明を発表する義務を負っている。これは、AIが引き起こす可能性のある不公正な競争や消費者被害に対し、FTCが積極的に介入する姿勢を示唆している。

メキシコでは、2026年3月10日までに報じられた情報によると、AIが関与した侵害行為に対する法的責任の導入が進められている。これは、AIの利用が拡大する中で、その責任の所在を明確にしようとする国際的な動きの一環と言える。さらに、2026年3月27日には、米連邦地裁が新興AI企業Anthropicに対する政府の排除措置の一時差し止めを命じる事例が発生した。これは、AI分野における競争を促進し、過度な規制がイノベーションを阻害しないよう配慮する動きも存在することを示している。

Reference / エビデンス