グローバルサウスにおける非米ドル決済網の構築と通貨の多極化の進展

2026年4月6日、国際金融市場は、グローバルサウス諸国が主導する非米ドル決済網の構築と、それに伴う通貨の多極化という歴史的な転換点に直面しています。地政学的リスクの高まりを背景に、BRICS諸国を中心に米ドルへの依存を低減し、自国通貨や新たな決済システムを通じて国際金融における影響力を拡大しようとする動きが加速しています。 この動きは、国際通貨秩序に新たな変化をもたらし、日本を含む先進国もグローバルサウスとの経済協力やグリーン金融を通じた関係強化を模索しています。

BRICS主導の非米ドル決済網構築の進展

BRICS諸国は、米ドル依存からの脱却を目指し、非米ドル決済網の構築を急速に進めています。その具体的な動きとして、ブラジルは2024年10月から2025年10月までの1年間で、611億ドル相当の米国債を売却しました。 これは、BRICS諸国が外貨準備の多様化を図り、米ドル資産へのエクスポージャーを減らす戦略の一環と見られています。

また、BRICS独自のデジタル決済システム「Brics Pay」の整備が急がれており、2024年10月にも稼働する可能性があると報じられています。 このシステムは世界159カ国で採用される可能性があり、国際銀行間通信協会(SWIFT)に代わる新たな選択肢として、世界の貿易決済に大きな影響を与えることが予想されます。

ロシアは、脱ドル化の動きを特に積極的に推進しており、2024年にはBRICS諸国との貿易決済の90%をルーブルおよび「友好国」通貨で行いました。 さらに、2026年1月からは国際決済における暗号資産の利用を合法化し、制裁下での貿易を円滑化するための新たな道を切り開いています。

通貨の多極化と脱ドル化の動向

国際通貨システムにおける米ドルの地位は、近年、変化の兆しを見せています。2025年12月末時点での世界の外貨準備におけるドル比率は56.77%と、3期連続で過去最低を更新しました。 これは、米国がウクライナ紛争を機に米ドルを「武器化」したことへの懸念から、各国が金保有を増やす動きと関連しています。 金は「独立性の象徴」として評価され、地政学的緊張や制裁リスクへの備えとして、中央銀行による金購入が加速しています。

直近の為替市場では、2026年4月6日から10日の週にかけて、中東情勢の激化が市場を大きく揺るがしました。 原油価格は一時117ドル台まで急騰し、インフレ加速懸念から欧米中銀の利上げ期待が高まりました。 その一方で、エネルギー資源の輸入依存度が高い日本では「円売り」が加速し、円が対ドルで160円台に迫る「円独歩安」の様相を呈しました。 このように、地政学的なニュースへの即時反応と、原油価格を介した各国中銀の政策期待の差が、極めて神経質な相場を主導する一週間となりました。

グローバルサウスとの経済協力とグリーン金融

日本を含む先進国も、グローバルサウス諸国との経済協力およびグリーン金融の取り組みを強化しています。2026年4月6日、FUSOグループHDのフィジー共和国における再生水活用促進実証が、経済産業省の「令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択されました。 この事業は、離島リゾート宿泊施設での再生水利用を通じた温室効果ガス削減と経営コスト削減の実現可能性を検証するものです。

経済産業省は、「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に令和7年度補正予算で総額約1,546億円を計上し、グローバルサウス諸国との連携強化を図っています。 これは、DX・GX分野等を通じた現地との共創や、サプライチェーン強靱化・経済安全保障の確保に資する海外実証等を支援するものです。

また、2026年3月26日には「2026年グローバルサウス金融フォーラム」が開幕し、30以上の国・地域の政府関係者、銀行関係者、ビジネスリーダー、国際機関の代表が参加しました。 このフォーラムでは、より包摂的で持続可能な金融協力の強化が目指されています。 同日、日本貿易会は「国際秩序の変動と日・ASEAN関係」に関するゼミナールを開催し、変動する国際情勢における日本とASEAN諸国との関係性について議論を深めました。

Reference / エビデンス