グローバルサウス:重要鉱物資源の権益争奪と国家間の連携の最新動向
2026年4月4日、グローバルサウス地域における重要鉱物資源を巡る国際的な権益争奪が激化の一途を辿っています。電気自動車や再生可能エネルギー技術の普及に伴い、リチウムやレアアースといった重要鉱物資源の戦略的価値は飛躍的に高まっており、資源国であるグローバルサウス諸国は、単なる供給源に留まらず、国内での付加価値化やサプライチェーンの自律性向上を目指す動きを加速させています。これに対し、主要国は資源確保に向けた多角的な戦略を展開し、国際的な連携や投資の動きが活発化しています。
グローバルサウスの戦略的価値と重要鉱物資源
グローバルサウスは、世界の重要鉱物資源の主要な供給源として、国際社会からかつてないほどの注目を集めています。その戦略的価値は、脱炭素社会への移行が加速する中で、ますます高まっています。国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2024年のリチウム需要は約30%増加しており、今後もその傾向は続くと見られています。このような状況を受け、国連は2026年3月5日、重要鉱物資源を巡る国際競争において公平性を確保するよう各国に呼びかけました。また、米国は2026年2月4日に「2026年重要鉱物閣僚会合」を主催し、中国の鉱物資源支配に対抗するため、50カ国を結集する動きを見せています。これは、重要鉱物資源の安定供給が各国の経済安全保障に直結するという認識が世界的に共有されていることを示しています。
主要国による権益争奪の現状と戦略
米国、中国、欧州などの主要国は、グローバルサウスの重要鉱物資源の権益確保に向けて、それぞれ独自の戦略を展開しています。日本企業もこの動きに加わっており、2026年4月3日には豊田通商がナミビアの重レアアース採掘プロジェクトに追加投資を決定しました。これは、日本がアフリカにおける重要鉱物資源の安定供給網構築に積極的に関与していく姿勢を示すものです。
米国は、重要鉱物資源へのアクセスを確保するため、外交的な動きも活発化させています。2026年4月5日には、コンゴ民主共和国(DRC)が米国からの「第三国送還者」受け入れに合意する見込みであり、この合意は重要鉱物資源へのアクセスと並行して進められていると報じられています。また、米国と欧州連合(EU)は、中国の支配に対抗するため、重要鉱物確保に関する合意が2026年4月10日にも締結される見通しであると報じられています。
一方、中国は、アフリカ諸国との関係強化を通じて資源確保を図っています。2026年5月1日からは、アフリカ53カ国に対し、100%の品目でゼロ関税措置を実施する方針を打ち出しており、これはアフリカにおける中国の影響力をさらに強めるものと見られています。
グローバルサウス諸国の自律性向上と国内付加価値化
グローバルサウス諸国は、単なる資源供給国としての役割から脱却し、国内での鉱物加工や付加価値化を通じて経済発展を目指す動きを強めています。インドネシア政府は、2025年11月28日に、今後5年間で15の優先産品の下流産業に総額約2310億米ドルを投資する計画を発表しました。これは、ニッケルなどの重要鉱物資源の国内加工を強化し、高付加価値製品の生産を目指すものです。また、2026年3月5日には、インドネシアの国営電力会社PLN向け石炭供給に4月まで問題がないことが保証されており、国内産業の安定稼働を支える体制が整えられています。
南米でも同様の動きが見られます。ベネズエラ議会は2026年4月、新たな鉱業法を可決し、金などの戦略鉱物の開発を民間および外国資本に開放しました。これは、外資を誘致し、国内での資源開発を加速させることで、経済の多角化を図る狙いがあります。
日本の経済安全保障戦略と国際連携
日本は、重要鉱物資源の安定供給確保を経済安全保障上の最重要課題の一つと位置づけ、国際社会との連携を強化しています。2026年3月31日には、三菱マテリアルが米国のリエレメント社と、レアアースなどの重要鉱物のリサイクル事業で協業に関する覚書を締結しました。これは、資源の循環利用を促進し、特定国への依存度を低減するための重要な一歩です。
外交面では、2026年4月1日、高市総理とマクロン仏大統領が日仏首脳会談を行い、重要鉱物サプライチェーンの強靭化について懸念を共有し、戦略的協力を強化することを確認しました。また、経済産業省は2026年3月30日、重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針を更新しており、供給源の多角化や国内での備蓄強化、リサイクル推進など、多角的なアプローチで経済安全保障の強化を図っています。日本は、米国、オーストラリア、インドとのクアッド外相会合でも重要鉱物イニシアチブの立ち上げを発表するなど、多国間での連携も積極的に推進しています。
Reference / エビデンス
- グローバルサウスの重要鉱物争奪と国家戦略:供給網再編の最新動向 - Vantage Politics
- 提言「グローバルサウスとの連携強化に向けて」を公表 (2026年1月8日 No.3712) - 経団連
- 地政学・経済安全保障から見て2026年には何が起きるのか?専門家が選定した10のクリティカル・トレンドを読み解く - JBpress
- 米国、中国の鉱物資源支配打破に50カ国を結集 - FastBull
- 【2026年4月3日】アフリカ関連重要ニュース|コーヒーと万年筆 - note
- 【2026年4月7日】アフリカ関連重要ニュース|コーヒーと万年筆 - note
- ザンビア、DRC、ジンバブエ重要鉱物(1)表面化する米中対立 | 高まる経済安全保障リスク、各国・地域の自律性向上と不可欠性確保に向けた戦略とは - ジェトロ
- 中国依存をどう減らす?2026年の重要鉱物サプライチェーン最前線|株式会社KUMU Works
- 脱石油を進める湾岸諸国のアフリカ鉱物資源を巡る動向 | 高まる経済安全保障リスク - ジェトロ
- 中国によるレアアースの輸出規制 -各国の対応と今後の視座-(2026年4月) - PwC
- 南米=資源開発へ規制緩和が加速=ベネズエラやアルゼンチンも=外資開放、環境との緊張高まる - ブラジル日報
- 2026年3月 グローバルサウスの資源政策と投資環境:中東情勢と重要鉱物サプライチェーン再編 - Vantage Politics
- 米EU 、 重要鉱物確保で合意間近と報道 中国支配に対抗 - ニューズウィーク
- アルゼンチン=米国と重要鉱物で協定署名=投資誘致と供給網強靭化狙う - ブラジル日報
- インドネシア:政府がPLN向け石炭供給については4月まで問題ないと保証 - JOGMEC JOURNAL
- インドネシアは政策の重点を石炭と米に移し、産業貿易省が勧告を発表した。 - Vietnam.vn
- 重要鉱物の「下流化」で持続可能投資を加速 インドネシア|ASEAN科学技術ニュース - JST
- インドネシア、ニッケル鉱石生産は年間2億4000万トン 今後3年間割り当て - MIRU
- 南米=資源開発へ規制緩和が加速=ベネズエラやアルゼンチンも=外資開放、環境との緊張高まる - ブラジル日報
- 三菱マテリアル、米リエレメントとレアアースなど重要鉱物のリサイクル事業で協業(日本、米国) - ジェトロ
- 重要鉱物 (METI/経済産業省)
- 高市総理がマクロン仏大統領と会談、日仏のさらなる連携深化を確認、日仏共同声明に署名(4月1日)
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- 2月4日重要鉱物閣僚会合に続く、米国政府、欧州委員会及び日本政府との間の 共同プレスステートメント | EEAS - European Union
- 鉱物サプライチェーン多角化・安定化事業