中東情勢の緊迫化とグローバル資源市場への即時的影響

2026年4月3日から5日にかけて、中東情勢は急速に緊迫化しました。イランメディアは4月3日、イラン上空でアメリカ軍のF-15E戦闘機を撃墜したと報じ、アメリカ軍は乗員1人の捜索を続けていました。その後、トランプ米大統領は5日、行方不明だった乗員1人が無事救助されたと発表しています。また、イラン学生通信は4日、イラン南西部フゼスタン州にある複数の石油化学施設にアメリカとイスラエルによる攻撃があり、5人が死亡、170人が負傷したと伝えました。

この緊迫した情勢は、グローバルな資源供給に即時的な影響を与えています。国連貿易開発会議(UNCTAD)が4月1日に発表した報告によると、世界の石油・ガス供給の要衝であるホルムズ海峡では船舶航行が事実上停止しており、3月1日から29日の間に同海峡を通過した1日当たりの船舶数の平均は、2月1日から27日の平均と比較して95%減少しました。

これにより、原油価格は高騰の懸念に直面しており、SMBC日興証券は70〜80ドル/バレルを想定しています。また、食料価格にも影響が及び、国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、2026年3月の世界食料価格指数は平均128.5ポイントとなり、2月と比較して2.4%上昇し、2ヶ月連続の上昇を記録しました。これは中東における紛争の激化とエネルギー価格の上昇が主な要因とされています。

日本政府は、この短期的な市場の不確実性に対し、代替調達や需要抑制を検討しています。高市総理大臣は4日のSNS投稿で、約8ヶ月分の石油備蓄があることに加え、ホルムズ海峡を通らないルートからの代替調達に最大限注力しており、5月には過半を超える代替調達を見込んでいると強調しました。また、電力やガソリン消費の抑制についても、国民への呼びかけを慎重に検討している状況です。

グローバルサウスへの投資動向:グリーン経済と日本の共創戦略

中東情勢の緊迫化が続く一方で、グローバルサウス諸国への投資動向には新たな動きが見られます。2026年3月26日から27日に北京で開催された「2026年グローバルサウス金融フォーラム」では、「グローバルサウスを照らす」をテーマに、30以上の国・地域の政府関係者、銀行関係者、ビジネスリーダー、国際機関の代表が集結し、グリーン金融と持続可能な開発への注力が強調されました。

このフォーラムでは、グローバルサウス諸国がグリーン投資における重要な拠点になりつつあるとの認識が示され、中国をはじめとするグローバルサウス諸国には、ハイレベルな金融開放とグリーン金融連携の深化を通じて、ウィン・ウィンの協力関係を築く機会が与えられていると指摘されました。

日本もこの動きに呼応し、経済産業省は「グローバルサウス未来志向型共創等事業」を推進しています。この事業は、グローバルサウスが抱えるDX/GX分野等の社会課題解決と、日本企業の海外展開・新市場開拓を後押しするもので、2026年3月10日以降、令和7年度補正予算の公募に向けた動きが進んでいます。

具体的な取り組みとしては、水処理、資源循環、クリーンエネルギーといった分野での共創の可能性が注目されています。例えば、ゼオライトは経済産業省の「グローバルサウス共創事業」に採択され、メタウォーターはカンボジア王国でのデジタル制御型セラミック膜ろ過による浄水供給ビジネス創出調査事業が採択されました。また、IHIはマレーシアのPETRONASおよびGentariとアンモニア専焼ガスタービンの共同実証協力契約を締結するなど、日本の企業がグローバルサウスにおける新たな投資機会を捉え、具体的な共創戦略を進めています。

政権交代がもたらす資源政策の変動と投資リスク

グローバルサウスおよび新興国における政権交代の動きは、将来的な資源ナショナリズムの台頭や投資環境の不確実性に影響を与える可能性があります。2026年4月8日には、ベトナムで元日本留学生のレ・ミン・フン氏が新首相に選出されました。同氏はベトナム国家銀行(中央銀行)出身で、経済・金融・国際協力の実務に長く携わってきた経済官僚型リーダーであり、今後の日越戦略における意味合いが注目されています。

また、同時期に注目されるハンガリー総選挙(4月12日実施予定)では、与党フィデスが苦戦し、親EU野党のティサが政権を奪取する可能性が指摘されています。ハンガリーの選挙制度は与党に有利に働く傾向があるものの、経済停滞や物価高騰、汚職疑惑などで国民の不満が高まっており、政権交代が実現すればEUとの関係改善が期待される一方で、複雑な政治状況が投資環境に不確実性をもたらす可能性もあります。

これらの政権交代は、直接的な資源国有化の発表が4月4日前後の48時間以内になかったとしても、政治的安定性の変化が長期的な投資戦略に与える潜在的リスクとして認識されるべきです。新政権の資源政策や外資に対する姿勢の変化は、投資家にとって予見可能性を低下させる要因となり得ます。

さらに、主要国の政治動向もグローバルサウスの投資環境に間接的な影響を与えます。野村證券は2025年12月26日の分析で、2026年の米中間選挙が世界の政治リスクの焦点となると指摘しています。 米国の政治情勢は、グローバルな貿易政策や金融市場に大きな影響を及ぼし、それがグローバルサウス諸国への投資フローや経済成長に波及する可能性があります。国際協調の枠組みが弱まる中で、各国の政治動向が資源供給の安定性や投資環境の不確実性をさらに高める要因となるでしょう。

Reference / エビデンス