グローバルサウスにおける非米ドル決済網の構築と通貨の多極化の進展

2026年4月4日、世界経済は歴史的な転換点に立たされています。グローバルサウス諸国が米ドルへの依存を減らし、独自の決済システムと多極的な通貨体制を構築しようとする動きが加速しており、その進展は国際金融秩序に大きな影響を与えつつあります。BRICS諸国の取り組み、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の進化、そして地政学的要因が、この「脱ドル化」の潮流を強力に推進しています。

BRICS諸国による非米ドル決済システムの推進

BRICS諸国は、米ドル中心の国際決済システムからの脱却を目指し、独自の決済ネットワークの構築を積極的に進めています。2026年4月5日には、BRICS Payシステムの運用開始が見込まれており、これはSWIFTに代わる分散型で脱ドル化された国際決済システムとなるでしょう。BRICS Payは、インドのUPI、中国のCIPS、ロシアのSPFSといった既存の各国システムを相互接続することで、加盟国間の現地通貨での直接取引を可能にすることを目指しています。

BRICS新開発銀行(NDB)もこの動きを後押ししており、2026年4月3日には人民元での資金提供の動きが報じられました。これは、BRICS諸国が自国通貨での貿易決済を拡大している具体的な証拠です。実際、2024年第3四半期には、ロシアとBRICS間の貿易決済の90%が現地通貨で行われています。

さらに、インド準備銀行(RBI)は、2026年にインドで開催されるBRICSサミットの議題として、BRICS諸国間でのCBDC連携の提案を推奨しています。このイニシアティブは、国境を越えた貿易金融と観光支払いを容易にし、ドルの支配的地位を低下させることを目的としています。BRICS Payは、将来的には中央銀行デジタル通貨(CBDC)を組み込み、その範囲と効率性を拡大する可能性も指摘されています。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)とデジタル決済の進化

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、非米ドル決済網の構築と通貨の多極化において重要な役割を担っています。2026年4月1日、欧州中央銀行(ECB)は包括的な決済戦略を発表しました。これは、経済のデジタル化が進む中で中央銀行マネーの役割を維持し、非欧州プロバイダーへの依存を減らすことを目的としています。デジタルユーロは、欧州域内の通貨主権を強化し、単一市場を深化させ、小売決済における分断を抑える上で不可欠であると強調されています。

2026年3月23日のレポートでは、2026年までにCBDCが国境を越えた取引を促進する可能性が言及されています。インドの統一決済インターフェース(UPI)は、その驚異的な成長を示しており、2026年には国内取引の57%を占め、月間130億件以上の取引を処理すると予測されています。これは、デジタル決済が日常生活に深く浸透していることを示しています。また、2026年にはデジタルウォレットが世界のEコマース取引の54%を占める見込みであり、デジタル決済の普及が世界的に加速していることがうかがえます。

通貨の多極化と脱ドル化の加速

地政学的緊張は、通貨の多極化と脱ドル化の動きを加速させる主要な要因となっています。2026年4月10日に報じられた分析では、イラン戦争が脱ドル化を加速させていると指摘されています。また、2026年4月2日には、トランプ米大統領が特定の医薬品や金属製品に新たな関税を課す大統領宣言に署名しました。これらの関税措置は、米国中心の貿易体制からの離脱を促し、各国が自国の金融主権を追求する動機付けとなっています。

BRICS諸国は、脱ドル化の具体的な手段として、2025年10月31日に金とBRICS通貨に裏打ちされたデジタル決済手段「BRICS Unit」を正式に開始しました。これは、米ドルに代わる新たな国際決済手段としての可能性を秘めています。国際通貨基金(IMF)のデータによると、米ドルの世界の外貨準備高に占める割合は、2016年の65.3%から2024年第3四半期には約59.3%に減少しており、通貨の多極化が着実に進展していることが示されています。

グローバルサウスの金融主権と貿易関係の変化

グローバルサウス諸国は、金融主権を追求し、米国中心の貿易体制から離れる動きを強めています。2026年4月1日に報じられた「関税後、世界の貿易は米国なしで進む」という記事は、米国が発動する関税が、かえって他国間の貿易関係を強化する可能性を示唆しています。2025年12月15日の分析で言及された「ボトムアップの脱ドル化」の概念は、各国が自律的に非ドル決済を推進する動きを的確に捉えています。

具体的な動きとして、マレーシアとアラブ首長国連邦(UAE)は2025年1月14日に包括的経済連携協定(CEPA)に署名し、2025年10月1日に発効しました。これは、マレーシアにとって湾岸協力会議(GCC)加盟国と締結する初の貿易協定であり、両国間の貿易額を2032年までに大幅に拡大する目標を掲げています。また、英国は2024年12月15日に環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)に正式に加入し、日本を含む12カ国との貿易関係を強化しています。欧州連合(EU)も、MERCOSUR、インド、オーストラリアとの間で貿易協定を締結するなど、多角的な貿易関係の構築を進めています。

2026年4月2日に米国が発動した新たな関税は、これらの動きをさらに加速させる可能性があります。各国は、米国の貿易政策に左右されない、より強靭なサプライチェーンと決済ネットワークを構築しようと努めており、グローバルサウスの金融主権確立に向けた動きは今後も続くと見られます。

Reference / エビデンス