グローバル:国際法人税ルールの策定と多国籍企業の動向

2026年3月29日、国際法人税ルールの策定は新たな局面を迎えています。特に、経済協力開発機構(OECD)が主導する「二つの柱」プロジェクトにおけるグローバル・ミニマム課税(Pillar Two)の進展は、多国籍企業の税務戦略に大きな影響を与えています。各国はこれに対応するための税制改正を進め、企業は複雑化する国際税務環境への適応を迫られています。

グローバル・ミニマム課税(Pillar Two)の最新動向と国際合意

グローバル・ミニマム課税(Pillar Two)に関する国際的な合意は、2026年3月29日現在、着実に進展しています。OECDは2026年1月5日、新たな執行ガイダンスパッケージ「Side-by-Side Package」を発表しました。このパッケージには、多国籍企業のコンプライアンス負担軽減を目的とした重要な措置が含まれています。具体的には、恒久的な簡易実効税率(ETR)セーフハーバーや、移行期間国別報告(CbCR)セーフハーバーの延長などが盛り込まれています。これらの措置は、企業が新たな税制に円滑に対応できるよう支援することを意図しています。

特に、簡易実効税率(ETR)セーフハーバーは、特定の条件を満たす多国籍企業に対して、詳細な計算を省略し、簡素化された方法で実効税率を算定することを認めるものです。これにより、企業は複雑なPillar Twoの計算プロセスの一部を簡略化できる可能性があります。また、移行期間国別報告(CbCR)セーフハーバーの延長は、企業がCbCRデータを活用してPillar Twoの適用を一時的に免れることができる期間を延長するものであり、導入初期段階における企業の負担を軽減する効果が期待されます。これらのガイダンスは、グローバル・ミニマム課税の適用が本格化する中で、企業が直面する実務上の課題に対応するための重要な指針となります。

各国のグローバル・ミニマム課税導入状況と税制改正

2026年3月29日現在、主要国ではグローバル・ミニマム課税の導入に向けた動きが活発化しています。日本においては、2026年度税制改正において「グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置」が2026年1月23日に閣議決定されました。これにより、所得合算ルール(IIR)は2024年4月1日以降に開始する事業年度から適用が開始されています。

さらに、軽課税所得ルール(UTPR)と国内ミニマム課税(QDMTT)については、2026年4月1日以降に開始する事業年度からの適用が予定されています。 PwC Japanは、これらの税制改正に対応するため、2026年3月に実務対応ガイドを発行し、企業への情報提供を強化しています。

国際的な動向としては、イスラエルが2026年からのPillar Two導入計画を発表しており、グローバル・ミニマム課税の適用範囲が拡大しています。 また、香港ではPillar Twoウェブサイトの第二段階が2026年第4四半期に開始される予定であり、各国がそれぞれの状況に応じた対応を進めていることが伺えます。

多国籍企業に影響を与えるその他の税制改正と税務上の留意事項

グローバル・ミニマム課税以外にも、2026年3月29日現在、多国籍企業に影響を与える税制改正や税務上の留意事項が多数存在します。日本の2026年3月期決算においては、リース税制や外国子会社合算税制(CFC税制)の見直しが注目されています。これらの改正は、2026年4月1日以降に開始する事業年度から適用される予定です。

また、イノベーション拠点税制の適用開始や、外形標準課税の適用対象法人の見直しも、企業にとって重要な検討事項となります。

国際的な視点では、英国歳入関税庁(HMRC)が2026年3月11日に発表した2024-25年度の移転価格および迂回利益税(DPT)に関する統計によると、移転価格による税収が33億8,700万ポンドに倍増したことが明らかになりました。これは、移転価格税制の執行が強化されていることを示唆しています。

さらに、ナイジェリアでは「2025年ナイジェリア税法」が2026年1月1日に施行され、外国企業に影響を与える主要な改正点が含まれています。 OECDは2026年2月12日、BEPS行動計画第5項下の優遇税制に関する最新の同輩審査結果を発表しており、国際的な税の透明性と公平性の確保に向けた取り組みが継続的に行われています。

Reference / エビデンス