グローバル:国際海洋法を巡る領有権主張と政治的対立(2026年3月28日時点の分析)

2026年3月28日現在、国際海洋法を巡る領有権主張と政治的対立は、中東、東アジア、そして国際的な海洋ガバナンスの各方面で激化の一途を辿っている。特に、ホルムズ海峡の緊迫した情勢、南シナ海・東シナ海における領有権紛争の激化、そして新たな国際海洋条約の発効が、世界の地政学的状況と国際法秩序に大きな影響を与えている。

ホルムズ海峡危機と国際航行の自由

2026年3月28日現在、世界の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡は、イランによる事実上の封鎖が2月28日に始まって以来、極めて緊迫した状況にある。これに対し、国際社会は強い懸念を表明している。日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの6カ国首脳は3月19日に共同声明を発表し、イランによる攻撃とホルムズ海峡の事実上の封鎖を「最も強い言葉」で非難した。同日、アメリカ軍は封鎖を打開するための軍事作戦を開始し、事態は一層緊迫している。

日本政府は、高市首相のもとで中東へのエネルギー依存度を戦略的に引き下げ、北米やアラスカでのエネルギー共同増産へとシフトする方針を固めた。また、3月16日には国会でホルムズ海峡への自衛隊派遣の可能性が議論され、日本の安全保障政策における新たな局面を迎えている。

さらに、4月9日の報道によると、イランはホルムズ海峡での通行料徴収を要求していると伝えられており、これは国際航行の自由に対する重大な挑戦であり、国際法の解釈を巡る新たな対立を生む可能性がある。

南シナ海・東シナ海における領有権紛争の激化

南シナ海では、中国による一方的な現状変更の試みが続き、周辺国との間で緊張が高まっている。2025年12月には、中国海警局がフィリピン漁船に放水攻撃を行い、乗組員3人が負傷する事件が発生した。2026年3月現在も、スビ礁周辺では中国とフィリピンの艦艇が対峙しており、両国間の緊張はピークに達している。

ベトナムは2022年から南沙諸島の実効支配礁で大規模な埋め立て工事を継続しており、これに対抗するように、中国もベトナムと領有権問題が存在する西沙諸島のアンテロープ礁で2025年12月から大規模な埋め立て工事を開始している。

このような地域の安全保障環境の悪化を受け、2026年3月28日には、多国籍防衛パートナーシップが日本でミサイルモータープログラムを開始したと報じられた。これは、地域の抑止力強化に向けた動きと見られる。

東シナ海においても、緊張は続いている。2026年3月には、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国海洋調査船「向陽紅22」が海警船の護衛の下で活動していることが確認された。また、日中韓の間で境界が未画定の海域における対立も依然として解決の糸口が見えない状況である。

新たな国際海洋条約の発効と海洋ガバナンスの課題

2026年1月17日、「国連公海等生物多様性(BBNJ)協定」が発効し、国際水域と国際海底における海洋生物の保護と持続可能な利用に向けた新たな枠組みが確立された。この協定は、「海の憲法」とも呼ばれる国連海洋法条約(UNCLOS)を基盤としつつ、これまでのガバナンスのギャップを埋めるものとして期待されている。

発効後初の主要な会議として、2026年3月23日から4月2日にかけてBBNJ協定締約国会議の第三回会議が開催されており、協定の実効性確保に向けた具体的な議論が進められている。

一方、南極の海をめぐる国際ガバナンスには依然として課題が山積している。2026年春に日本で開催される南極条約協議国会議(ATCM)では、海洋保護区の設定が主要議題となる見込みだが、中国とロシアがこれに反対している現状があり、国際協力の難しさが浮き彫りになっている。

北極海における地政学的関心と領有権主張

北極海は、気候変動による氷の融解が進むことで、新たな航路や資源開発の可能性が広がり、地政学的な関心が急速に高まっている。ロシアは、2007年に北極海域の深海調査から、同海域の海嶺が自国領土の延長であるとする主張を裏付ける証拠を発見したと発表しており、領有権主張の動きを活発化させている。

このような状況を受け、2026年3月13日には日本で国際シンポジウム「新時代北極と日本の針路」が開催された。このシンポジウムでは、地政学・安全保障・ガバナンス、新「地経学」、フロンティア・エコノミーといったテーマが議論された。気候変動、ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした地政学的変化、そして中国を含む様々な非北極圏国による北極域への関心・関与の高まりを踏まえ、国際的なルール形成における日本の寄与の重要性が強調された。

Reference / エビデンス