南シナ海における領有権主張と対話の動向
南シナ海では、対話と軍事的威圧が並行して行われる複雑な状況が続いています。本日3月27日、フィリピンと中国は1年以上の中断を経て、南シナ海問題に関する正式な協議を再開しました。両国は非敏感分野での協力の可能性を検討しています。
しかし、この対話の直前には緊張を高める出来事がありました。3月25日には、中国海軍の艦艇がフィリピン海軍の艦艇に対し、火器管制レーダーを照射する事件が発生しました。 フィリピン海軍はこれを「憂慮すべき挑発的な行為」と非難しています。 中国側はレーダーの使用は認めたものの、射撃管制用ではなく監視用であったと主張していますが、複数の中国軍幹部は攻撃用の射撃管制レーダーを艦長の判断で照射したことを認めたと報じられています。
協議の進展として、3月30日には中国とフィリピンが南シナ海情勢の適切な管理で合意し、南シナ海行動規範(COC)に関する協議を加速させることで一致しました。 しかし、4月2日にはフィリピンが南沙諸島(スプラトリー諸島)の100以上の島嶼の名称を変更すると発表し、これに対し中国は「国際法違反」であると強く反発し、主権を守るための「措置」を講じると脅迫しています。 このような状況は、国際海洋法(UNCLOS)に基づく行動規範の策定に向けた課題の根深さを示しています。フィリピン当局者は、南シナ海の行動規範は国際法に準拠すべきだと表明しています。
ホルムズ海峡危機と国際社会の対応
2026年3月下旬、世界のエネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖され、国際社会に深刻な影響を与えています。 3月2日にはイラン革命防衛隊(IRGC)が海峡閉鎖を正式に宣言し、日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社が通航を即日停止しました。これにより、通航隻数は1日120隻から5隻へと激減しました。 この事態により、原油価格は急騰し、サプライチェーンの停滞が深刻化しています。
3月21日の専門家レポートでは、ホルムズ海峡の軍事緊張が世界経済や物流に与える甚大な影響が分析され、原油価格の急騰やサプライチェーンの停滞が深刻化している現状が報告されました。 また、3月23日にはイランによる米軍機への反撃の可能性が報じられ、緊張は一層高まっています。 これに対し、3月19日には日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの6カ国首脳が共同声明を発表し、イランによる商船や石油・ガス施設を含む民間インフラへの攻撃、そしてホルムズ海峡の事実上の封鎖を「最も強い言葉」で非難しました。 声明では、イランに対し攻撃の即時停止と国際法の順守などを求めています。
日本は原油輸入の約9割を中東に依存しており、ホルムズ海峡危機は日本経済に最も大きな影響を与えるとの指摘があります。 原油価格が1バレル100米ドルまで上昇した場合、日本の実質GDPは年間で0.3%程度押し下げられると試算されています。 日本政府は国際社会と連携しつつ、エネルギー調達先を北米やアラスカへシフトさせるなどの戦略的対応を迫られています。 また、イランが提案するホルムズ海峡での通行料徴収権については、国際海洋法(UNCLOS)との関連性が議論されており、3月21日にはイラン議会安全保障委員会のボルジェルディ氏が特定の船舶から1バレル当たり1ドルの通行料を徴収していると公言しました。 しかし、この通行料の支払いは米国財務省の制裁に抵触する可能性が極めて高く、4月2日の会合では40カ国以上の外相級がイランの通行料請求を拒否することを確認しています。
台湾海峡の緊張とグレーゾーン戦略
台湾海峡では、中国による「グレーゾーン戦略」の可能性が指摘され、地域の安全保障上の懸念が高まっています。2026年3月には台湾周辺で海底ケーブルの集中的な障害が発生しました。 これは中国の「グレーゾーン戦略」の一環である可能性があり、日本への安全保障上の影響も懸念されています。
政治的・軍事的緊張は継続しており、2026年1月1日には頼清徳総統が新年の談話で「2026年は台湾にとって鍵となる一年」と述べ、「2026年危機説」に言及しました。 頼総統は、中国が拡張への野心を高めていると批判し、防衛力強化を訴えています。 また、1月17日には米海軍のミサイル駆逐艦ジョン・フィンと海洋測量船が台湾海峡を通過し、これに対し中国人民解放軍東部戦区は「全行程を追跡監視して警戒し、有効な対応、処理をした」と談話を発表しました。 さらに、4月10日には中国の習近平国家主席が台湾最大野党・国民党の鄭麗文主席(党首)と北京で会談し、「海峡両岸は一つの家族」と述べ、台湾海峡を巡る政治的駆け引きが続いています。
国際海洋法と新たな枠組みの進展
国際海洋法の分野では、新たな枠組みの進展が見られます。2026年1月には「国連公海等生物多様性(BBNJ)協定」が発効しました。 この協定は、国家管轄権外区域(公海)における生物多様性の保全と持続可能な利用を目的としており、国際水域の保護に大きな影響を与えると期待されています。
また、国際海底機構(ISA)は2026年3月も活動を継続しており、深海底の鉱物資源探査・開発に関する規制の策定など、国際的な海洋活動の管理において重要な役割を担っています。 国連海洋法条約(UNCLOS)は、国際的な海洋活動の法的枠組みとして引き続き中心的な役割を果たしており、航行の自由や海洋資源の利用に関する国際的な規範を提供しています。 これらの進展は、国際海洋法の進化と、海洋環境の保護および持続可能な利用に向けた国際社会の取り組みを示していますが、同時に、領有権主張や資源開発を巡る国家間の対立という課題も依然として存在しています。
Reference / エビデンス
- フィリピンと中国、1年以上の中断を経て南シナ海協議を再開 - Investing.com
- 中国海軍 南シナ海で“いつでも攻撃できる”意思? 火器管制レーダー照射 比海軍「我々は合法的なパトロールをするだけ」(1/2 ページ) | 乗りものニュース
- 中国とフィリピンが南シナ海問題で重要な合意に達した。 - Vietnam.vn
- 中国、フィリピンによる南沙諸島の島嶼改名に反発「国際法違反」 - AFPBB News
- フィリピン当局者が表明、南シナ海の行動規範は国際法に準拠すべき
- 2026年3月|国際情勢レポート - いい政治ドットコム
- 20260322 ホルムズ海峡危機(2026年3月22日):情勢と実務リスク - YouTube
- Six countries—Japan, the UK, Germany, France, Italy, and the Netherlands—issue a joint statement ...
- Press conference by Foreign Minister Toshimitsu Motegi (March 17, 2026) - YouTube
- 専門家は、イランが提案しているホルムズ海峡での通行料徴収について - Vietnam.vn
- ホルムズ海峡危機:情勢と実務リスク(2026年4月10日更新)
- 【解説】イランが米F-35ステルス戦闘機に熱源追尾ミサイルで反撃か?米防空レーダー網はドローン飽和攻撃に脆弱性 日本防衛にも課題 - FNNプライムオンライン
- ホルムズ海峡と港湾・パイプラインの地政学 -地政学的チョークポイントを巡る攻防
- 台湾 海底ケーブル切断 事件-中国のグレーゾーン戦略・ロシアとの連携や日本への安全保障上の影響【2026年最新】 - セキュリティ対策 Lab
- 「台湾海峡はすでに戦場である」 頼清徳が新年の挨拶で語った中国との関係『2026年危機説』
- 中国軍東部戦区、米艦艇の台湾海峡通過で談話
- 中国主席が台湾野党党首と会談、「海峡両岸は一つの家族」 - ニューズウィーク
- 外交部、「中国は台湾海峡及び周辺地域の緊張を高める行為を停止せよ」 - Taiwan Today
- 潮目を変える国際海洋条約が発効へ(UN News 記事・日本語訳)
- March, 2026 - International Seabed Authority
- 守るべき 法治に基づく 国際秩序 - Indo-Pacific Defense FORUM