2026年3月26日時点におけるグローバルな国際海洋法を巡る領有権主張と政治的対立の分析
2026年3月26日、世界の海洋は依然として領有権主張と政治的対立の舞台となっており、国際海洋法秩序はかつてないほどの挑戦に直面している。南シナ海、東シナ海、ホルムズ海峡といった主要なチョークポイントでは、国家間の緊張が高まり、国際社会の対応が試されている。特に、この数日間に報じられた具体的な動きは、国際法の「法の支配」が揺らぎかねない現状を浮き彫りにしている。
南シナ海における領有権主張と中国の威圧的行動
南シナ海では、中国の広範な領有権主張と、これに対するフィリピンなど周辺国の反発が常態化している。2026年3月28日には、中国とフィリピンが南シナ海行動規範(COC)に関する協議を加速させ、早期の合意を目指すことで合意したと報じられた。この合意は、中国南東部の福建省泉州市で開催された南シナ海に関する二国間協議メカニズムの第11回会合で発表されたもので、両国は海上法執行や海洋科学技術などの分野での協力についても協議し、前向きな進展を遂げたとしている。
しかし、その一方で、中国海警局による威圧的行動は常態化しており、人工島造成も継続されている。中国は、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく仲裁裁判所の裁定を無視し続けており、これが地域の安全保障環境に深刻な影響を与えている。フィリピンは、中国の行動が自国の主権を侵害していると強く反発しており、国際社会も中国の行動を注視している。
東シナ海における日中の海洋境界画定と資源開発
東シナ海では、日本と中国の間で海洋境界画定を巡る対立が続いている。日本は中間線に基づく境界画定を主張しているが、中国はこれを認めず、尖閣諸島周辺での領有権主張を強め、一方的な資源開発を進めている。
2026年3月25日の内閣官房長官記者会見では、東シナ海における中国側からの申し入れと日本側からの回答があったことに言及された。この問題は、日中関係に常に影を落としており、両国間の外交努力が求められている。中国による一方的な資源開発は、国際法上の「自制義務」に反するとの指摘もあり、地域の安定を損なう要因となっている。
ホルムズ海峡危機と国際航行の自由
2026年2月28日、イランがホルムズ海峡を軍事封鎖したことにより、世界は「2026年ホルムズ海峡危機」に直面している。これは、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃に対する報復措置として行われたもので、世界のエネルギー供給に甚大な影響を及ぼしている。
3月19日には、アメリカ軍が海峡の封鎖を打開するための軍事作戦を開始した。これに対し、国際社会は懸念を表明し、国連安全保障理事会では議論が重ねられた。3月24日には、バーレーンがホルムズ海峡を航行する商業船舶の安全確保に向けた武力行使を容認する決議案を提示したが、ロシアと中国が拒否権を行使し、否決された。
この危機は原油価格を急騰させ、3月8日にはブレント原油価格が4年ぶりに1バレル100米ドルを突破した。3月26日には、ホルムズ海峡危機が世界経済に与える経済的影響に関する報告が発表され、海上輸送の混乱、港湾の混雑、輸送時間の長期化、グローバル金融市場のボラティリティ、インフレ圧力の増大などが指摘された。イランは、ホルムズ海峡の航行を「軍事的封鎖」から「制度的通行管理」へと移行させ、通行料の徴収を提案しているが、これは国際法上の「通過通航権」に反するとの見方が強い。
国際海洋法と「法の支配」への挑戦
国際海洋法秩序、特に国連海洋法条約(UNCLOS)は、大国による一方的な行動によってその権威が揺るがされている。しかし、国際社会は「法の支配」を維持するための努力を続けている。
2026年1月17日には、公海および深海底の生物多様性を守る国際条約である「国連公海等生物多様性(BBNJ)協定」が発効した。この協定は、世界の海の3分の2を占める国家管轄権外の海域における保全と資源利用のための国際ルールを定めるもので、海洋生態系の健全性を確保するための大きな一歩とされている。3月24日には、国連でBBNJ協定の締約国会議準備委員会が開催され、協定の具体的な実施に向けた議論が進められた。
一方、3月27日の防衛大臣記者会見では、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために防衛力強化が必要であると強調された。これは、国際法秩序が挑戦を受ける中で、各国が自国の安全保障を確保しようとする動きの一環と見ることができる。
その他の地域における領有権・主権を巡る動き
南シナ海、東シナ海、ホルムズ海峡以外でも、領有権や主権を巡る政治的対立は国際的な海洋秩序の不安定化を示している。
2026年初頭には、ドナルド・トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランドの領有を主張し、「グリーンランド危機」が発生した。トランプ大統領は、グリーンランドの米国領化に反対する欧州諸国に対し、追加関税を課すと警告するなど、同盟国との間に深刻な緊張を生じさせた。この出来事は、欧州における米国への信頼を大きく傷つけ、将来の米欧関係に影を落とすものと見られている。
また、2026年1月3日には、米国がベネズエラの首都カラカスを軍事攻撃し、マドゥーロ大統領を拘束して米国に強制移送した。この行動は、国際法と国連憲章に明確に違反するとして、ベネズエラ政府や国際人権団体、複数の国連加盟国から強く非難された。国連安全保障理事会でも緊急会合が開かれ、グテーレス国連事務総長は軍事作戦において国際法の規則が尊重されなかったと懸念を示した。
さらに、日本では、太平洋における中国の軍事活動拡大を念頭に、防衛省が4月1日に「太平洋防衛構想室」を新設すると発表した。小泉防衛大臣は3月28日、太平洋側の広大な海空域における防衛体制の強化が「喫緊の課題だ」と強調しており、これは日本本土中心の防衛体系から、太平洋に至る広範な地域をカバーする防衛戦略への転換を示すものと見られる。これらの動きは、国際的な海洋秩序が多方面から挑戦を受け、不安定化している現状を明確に示している。
Reference / エビデンス
- 南シナ海の今 ―中国の威圧的行動の常態化とフィリピンの対応を中心に― | 海洋安全保障情報特報 | 笹川平和財団| 海洋情報 FROM THE OCEANS
- 中国とフィリピンが南シナ海問題で重要な合意に達した。 - Vietnam.vn
- 南シナ海情勢 2025 - 日本安全保障戦略研究所(SSRI)
- 中国の巡回・侵略行為、南シナ海の領有権主張国をけん制するには至らず
- 南シナ海で緊張が高まる 中国の侵略に周辺国が反発 - Global News Asia
- 国問研戦略コメント(2026-9)「国際法は無力だ」という言説について― 直感から分析への架け橋
- 「南シナ海の領有権問題」再訪 ― 米中対立の中の東南アジア - 防衛研究所
- コラム 東シナ海における日中韓間の境界未画定海域と「自制義務」 - 内閣官房
- 東シナ海で中国が新たな構造物を設置 一方的な資源開発に外務省が強く抗議(8月25日)
- March 25, 2026 (Wednesday) Morning - Press conference by the Chief Cabinet Secretary
- 中国による東シナ海での一方的資源開発の現状|外務省 - Ministry of Foreign Affairs of Japan
- 2026年ホルムズ海峡危機 - Wikipedia
- ホルムズ海峡と港湾・パイプラインの地政学 -地政学的チョークポイントを巡る攻防
- 中国、ホルムズ海峡の航行を保護するための国連決議に抵抗する中、重大な結果とさらなるエスカレーションを警告 - Benzinga Japan
- ホルムズ海峡封鎖、原油不足で生活はどうなる? 給油制限、週休3日…… 各国の状況 - ピースウィンズ 国際人道支援
- イラン最高指導者「ホルムズ海峡は新たな段階へ」、革命防衛隊が機雷地図を公開 - note
- 中央日報 - 韓国の最新ニュースを日本語でサービスします
- 海洋の国際法秩序と国連海洋法条約|外務省 - Ministry of Foreign Affairs of Japan
- 国問研戦略コメント(2026-9)「国際法は無力だ」という言説について― 直感から分析への架け橋
- 大会- 大会 - Official Meetings
- 潮目を変える国際海洋条約が発効へ(UN News 記事・日本語訳)
- 防衛大臣記者会見
- 国家間の法の支配|外務省 - Ministry of Foreign Affairs of Japan
- 2026年アメリカ合衆国によるベネズエラ攻撃 - Wikipedia
- 「避けられたはずのグリーンランド危機」は米欧関係に何を残すか - 新潮社 Foresight(フォーサイト)
- 防衛大臣記者会見
- 米国の「力による平和」戦略に組み込まれる日本 - 集中出版
- 2026年は「米国なきアジア」について考え始める年に(防衛研究所研究幹事・兵頭慎治) - 時事通信
- 【Vanessa Panのコラム】台湾有事の深層:中国が執着する理由と世界への壊滅的影響に関する分析 - japan.storm.mg