2026年3月25日 北米:対外経済制裁と特定企業への輸出規制措置に関する情報構造化分析

2026年3月25日現在、北米地域における対外経済制裁および特定企業への輸出規制措置は、国際情勢の複雑化を背景に、その適用範囲と厳格さを増しています。米国とカナダはそれぞれ、輸出管理規則の改正や新たな貿易障壁の報告を通じて、企業活動に大きな影響を与える政策変更を打ち出しており、企業はこれらの動向を詳細に把握し、適切な対応を講じる必要に迫られています。本稿では、米国輸出管理規則(EAR)の「関連事業体ルール」の動向、カナダの輸出管理リスト改正、そして北米貿易障壁と通商政策の最新状況に焦点を当て、その詳細を報じます。

米国輸出管理規則(EAR)「関連事業体ルール」の動向

米国商務省産業安全保障局(BIS)による輸出管理規則(EAR)の「関連事業体ルール」(50%ルール)は、現在、2025年11月10日から2026年11月9日までの期間、一時的に適用が停止されています。しかし、企業は2026年11月10日からの本格施行に向けて準備を進める必要があります。このルールは、エンティティー・リスト(EL)などに掲載された事業体が50%以上所有する関連会社も規制対象とするもので、2025年9月29日に暫定最終規則として公表されました。

米国政府は迂回輸出に対し厳格な姿勢を示しており、その一例として、2026年2月には半導体製造装置メーカーのアプライド・マテリアルズが輸出管理違反で約2.5億ドルの民事ペナルティを支払うことに合意した事例が挙げられます。 輸出者には、取引先の所有構造を確認する「積極的義務」が課されており、Red Flag 29の導入により、50%未満の持分であっても追加調査が必要となる場合があります。

カナダの輸出管理リスト改正と国際条約遵守

2026年2月25日、カナダはカナダ環境保護法1999年(CEPA)の附則3、輸出管理リスト(ECL)の改正を告示しました。この改正により、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)やペルフルオロオクタン酸(PFOA)などの新たな管理化学物質が追加され、カナダがロッテルダム条約およびストックホルム条約に基づく国際的義務を遵守することが確保されます。 ほとんどの改正は2025年有害物質特定禁止規則と同時に施行される予定です。

北米貿易障壁と通商政策の動向

2026年3月31日、米国通商代表部(USTR)は2026年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」を公表し、カナダの「バイ・カナディアン(Buy Canadian)」政策や州による酒類販売規制に対して懸念を表明しました。 また、北米のサプライチェーンに影響を与える米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の共同見直し期限である2026年7月1日まで残り5ヶ月を切っており、延長合意が得られない場合、不安定な期間に突入する可能性があります。

通商政策の動向としては、2026年2月20日には米国連邦最高裁が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税を憲法違反と判断しましたが、そのわずか4日後の2月24日には通商法122条に基づき、日本を含む全世界を対象に一律10%の新たな追加関税が発動されました。 一方、中国は2026年3月1日から12月31日まで、カナダ産の一部輸入品(菜種かす、エンドウ豆、ロブスター、カニ)に対する追加関税を暫定的に停止しました。

その他の北米関連経済制裁・輸出規制措置

2026年3月25日時点の北米関連の経済制裁および輸出規制措置として、2026年2月13日には米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が詐欺、マネーロンダリング、制裁違反に関する新たな内部通報制度を開始しました。 また、2026年2月24日には、米国財務省および国務省が企業秘密窃取に関与したロシア拠点のエクスプロイトブローカーネットワークに対して制裁措置を課しています。 2026年3月11日には、米国通商代表部(USTR)が、中国、EU、日本を含む16か国における製造業分野の構造的な過剰生産能力および強制労働に関する一連の調査を開始しました。 カナダ政府は2026年2月18日に「対シリア特別経済措置規則」の改正を公表しています。 さらに、2026年2月25日には、日本の自民党が防衛装備移転三原則の運用指針を見直し、殺傷能力のある武器を含む輸出可能な品目の拡大を提言しました。

Reference / エビデンス