日本:内部留保課税論と株主還元の政治的強制の最新動向

2026年4月24日、日本経済は企業の内部留保を巡る課税論争と、株主還元強化を求める政治的・市場からの圧力という二つの大きな潮流の狭間で揺れ動いている。企業が積み上げてきた利益の使途に対し、政府や投資家からの視線が厳しさを増す中、その動向は今後の日本企業の経営戦略、ひいては経済全体の活性化に大きな影響を与えるものとみられる。

内部留保課税論の再燃と現状

日本企業、特に大企業の内部留保は過去最高水準に達しており、2024年度には約640兆円、うち現金預金は約80兆円に上るとされている。この巨額の内部留保を背景に、内部留保への課税論が再び浮上している。課税推進派は、この課税によって5年間で10兆円以上の財源を創出し、中小企業の賃上げ支援などに充てるべきだと主張している。

一方で、課税反対派からは強い懸念の声が上がっている。彼らは、内部留保が会計上の誤解に基づいていること、国際競争力の低下を招くこと、そして既に法人税が課されている利益に再度課税することは二重課税のリスクがあることを指摘している。

株主還元強化への政治的・市場からの圧力

日本企業に対する株主還元強化の圧力は、政治的・市場的な側面から増大している。東京証券取引所は、2025年3月に上場維持基準の経過措置が終了することを受けて、企業に対し資本コストや株価を意識した経営を強く求めている。また、企業統治指針も今夏をめどに5年ぶりに改訂が検討されており、現金などをため込む経営の改善が促される見通しだ。

こうした動きを背景に、2024年度の配当総額は過去最高の23兆円に達したとみられている。個別の企業では、オービーシステム(5576)が2026年3月期の期末配当を増額し、年間配当105円、配当性向40%以上を目指す方針を示した。 また、GMOフィナンシャルホールディングス(7177)は2026年12月期の上期・下期配当を増額修正し、年間配当54.76円、配当性向65%以上、DOE10%を下限とする方針を打ち出している。 さらに、活用されていない内部留保や乏しい株主還元に対し、アクティビスト投資家の存在感が増大し、企業への圧力を強めている点も注目される。

関連する税制改正の動向

2025年12月19日に公表された「2026年度税制改正大綱」では、法人課税、国際課税、個人所得課税の多岐にわたる改正点が示された。特に、大企業向け賃上げ促進税制の廃止や、特定生産性向上設備等投資促進税制の創設など、企業の投資行動や利益配分に影響を与えうる項目が含まれている。

また、2026年通常国会で審議中の医療保険制度改革関連法案は、投資家にも大きな影響を与える可能性がある。この法案では、75歳以上の後期高齢者の社会保険料計算に金融所得(株式譲渡益や配当収入)を含めることで、年間17万円の増税となる可能性が指摘されており、投資の利益が社会保険料で相殺される「二重課税」の理不尽さが議論を呼んでいる。

Reference / エビデンス