米国におけるDEI方針転換と企業文化への影響:2026年4月19日時点の最新動向

2026年4月19日、米国では多様性、公平性、包摂性(DEI)に関する方針が大きく転換しており、その影響は大学から企業文化、さらには法的動向にまで及んでいます。特にトランプ政権による反DEI政策の強化は、各組織に具体的な対応を迫っています。

トランプ政権によるDEI政策の規制強化

トランプ政権は、DEI政策に対する規制を強化する動きを加速させています。2026年3月26日、トランプ大統領は「連邦政府契約業者によるDEI差別への対処」と題する大統領令に署名しました。この大統領令は、連邦政府契約業者に対し、人種や民族に基づく「差別的なDEI活動」を禁止するものです。具体的には、採用、昇進、研修、取引先選定、プログラム参加など、幅広い企業活動における差別的取扱いが規制対象となります。

この大統領令は、連邦契約にDEI活動禁止条項を盛り込むことを義務付け、違反した場合には契約の取り消し、解除、停止、さらには取引停止や指名停止といった強力な制裁を課す方針を示しています。2026年4月6日の報道では、米国政府と契約を希望する企業はDEIへの取り組みを中止する必要があると強調されました。また、2026年4月13日付けのギブソン・ダン法律事務所のDEIタスクフォースの更新情報によると、これらの規制に関する法的・政策的動向は継続的に進化しています。

大学におけるDEIプログラムの再編と対応

米国の大学は、DEI政策の転換に対し、プログラムの再編や名称変更で対応しています。2026年3月19日付けの報道によると、アメリカン大学は「多様性と包摂センター」を「帰属とエンゲージメントセンター」に改称しました。また、エンポリア州立大学は「多様性、公平性、包摂性オフィス」を解体し、その機能を他の部門に再配置しています。ハーバード大学も2025年5月8日には「多様性、公平性、包摂性(DEI)部門」の名称を「コミュニティ・キャンパスライフ部門」に変更しています。

これらの動きは、連邦政府からの資金援助停止の脅威に直面している大学の現状を反映しています。2026年3月14日付けの報道では、GSA(米国政府調達局)が連邦資金受給者に対し、DEI関連の支出を厳しく審査する新たな認証要件を提案していることが明らかになりました。さらに、国務省は、DEI慣行が非準拠と見なされる一部の大学を外交ラボ研究プログラムから除外する可能性も示唆しています。2025年8月2日には、米国教育省公民権局から全50州の教育部門に対し、DEIプログラムが差別的であるとして14日以内に排除しなければ連邦資金を受けられないとする書簡が送付されています。

企業文化への波及と多様な対応

DEI方針の転換は、企業文化にも大きな波紋を広げています。2026年4月6日の報道によれば、連邦政府契約企業はDEI施策の見直しを迫られています。トランプ大統領の大統領令は、連邦政府と契約する企業に対し、DEIプログラムの中止を明確に求めています。

これに対し、企業の間では対応が分かれています。一部の企業は、DEI関連の表現を公的な声明や社内方針から削除・修正する動きを見せています。例えば、2025年8月3日には、セールスフォースがメタやグーグルに続き、多様性採用目標を削除したと報じられました。しかし、一方でDEI推進を継続する企業も存在します。2025年8月21日付けの調査結果では、米国のS&P100企業のうち53%がDEIに関する情報発信を調整したものの、約8割の米上場企業がDEIを取締役会レベルのガバナンスに統合し、「実質的に継続」していることが示されています。これは、表面的な表現の変更にとどまり、DEIへの根本的なコミットメントは維持されている企業が多いことを示唆しています。

法的動向と今後の展望

DEI政策を巡る法的動向は、依然として流動的です。2026年4月13日付けのギブソン・ダン法律事務所の報告によると、大統領令に対する複数の訴訟が提起されており、一部では仮差止命令が出されています。例えば、2025年2月2日には、シアトル市がトランプ政権を提訴し、大統領令14173号および14168号が権力分立、合衆国憲法修正第5条および第10条、支出条項に違反していると主張しています。

また、米国雇用機会均等委員会(EEOC)も、DEIプログラムに関連する差別疑惑について積極的な執行姿勢を示しています。2026年4月10日には、司法省とIBMが、DEI活動が連邦契約の反差別要件に違反したとされる虚偽請求防止法調査に関連して、1,707万7,043ドルの和解に達したと発表されました。2026年4月3日には、EEOCがプランニング・ペアレントフッド・オブ・イリノイとの間で、DEIプログラムに関連する人種差別およびハラスメントの申し立てについて50万ドルの和解を発表しています。

米国外に目を向けると、DEI推進の状況は対照的です。日本や欧州では、DEIへの取り組みが前進しており、特に日本では中小企業の強化策としてDEIが推進されています。この国際的な潮流の違いは、グローバルに事業を展開する企業にとって、各地域の法的・社会的要求に応じたDEI戦略の策定が不可欠であることを示唆しています。米国におけるDEIの未来は、今後の司法判断、政治情勢の変化、そして企業や社会の多様な価値観のバランスによって形成されていくでしょう。

Reference / エビデンス