南方:サウジ「NEOM」建設の物理的・資金進捗

NEOMプロジェクト全体の戦略的再編と進捗概要

サウジアラビアが推進する巨大都市プロジェクト「NEOM」は、2026年4月19日現在、戦略的な再編期を迎えています。2026年4月16日に報じられた情報によると、公共投資基金(PIF)のヤシル・アル=ルマイヤン総裁は、NEOMプロジェクトが「キャンセルされたのではなく、遅延している」と述べ、計画の見直しが進んでいることを示唆しました。PIFは2026年から2030年までの戦略において、NEOMを「独立エコシステム」として正式に位置づけ、その資金調達の重点を従来の「国費投入」から「外資との共同事業」へとシフトさせています。この方針転換は、プロジェクトの持続可能性と国際的なパートナーシップの強化を目指すものです。

主要プロジェクト「The Line」の物理的進捗と計画変更

NEOMの中核をなす「The Line」プロジェクトでは、当初の2030年までの完成目標が不要との見解が示され、複数の主要契約がキャンセルされたことが2026年4月16日の情報で明らかになりました。これにはダム、トンネル、鋼材供給に関する契約が含まれます。一方で、物理的な建設は着実に進行しており、2026年1月時点では約2.4kmの区間で基礎工事が本格化し、壁構造の一部が立ち上がり始めていると報じられています。この進捗は、計画の全体的な縮小と実際の建設進行状況のバランスを示しており、プロジェクトが完全に停止したわけではないことを裏付けています。

Trojena、Sindalah、Oxagonの進捗とAI・グリーン水素への注力

NEOM内の他の主要プロジェクトも進展を見せています。「Trojena」の一部フェーズは2026年までに完成予定とされていますが、2026年4月11日の報道では、ダムやトンネル、鋼材、淡水化プラントなど複数の契約がキャンセルされたことが報じられました。一方、高級リゾートアイランド「Sindalah」は2024年10月に正式開業し、観光客を迎え入れています。また、先進的な産業都市「Oxagon」では、港湾施設の建設が着実に進められています。NEOM全体としては、AIインフラとグリーン水素プロジェクトへの注力を強化しており、NEOM Green Hydrogen Company (NGHC) は84億ドルの資金調達を完了しました。NGHCは2026年にグリーン水素プラントを本格稼働させる計画であり、NEOMの持続可能な未来に向けた取り組みを象徴しています。

資金調達戦略と経済的影響

総額5000億ドルに及ぶNEOMプロジェクトは、サウジアラビアの経済多角化計画「Vision 2030」の中核をなしています。2026年4月16日に承認されたサウジアラビアの2026年予算では、実質GDP成長率4.6%が予測され、非石油部門への投資が継続されることが強調されました。しかし、NEOMの資金調達は原油価格の変動に影響を受けやすく、債券市場への依存度を高めている現状があります。2026年4月13日の情報によると、一部プロジェクトでは民間委託の方針が示されており、外部からの投資を積極的に呼び込むことで、資金調達の多様化を図る戦略がうかがえます。

Reference / エビデンス