全般:円の「安全資産」地位の変化と信認の理

2026年4月18日、かつて有事の際に買われる「安全資産」として認識されてきた日本円の地位が、為替市場の激しい変動の中で揺らいでいる。地政学的リスクの高まりにもかかわらず、円は伝統的な役割を果たしにくくなっており、その背景には日米金利差の拡大や日本銀行の金融政策、そして市場の思惑が複雑に絡み合っている。

円の安全資産としての地位の変化

近年、中東情勢をはじめとする地政学的リスクが高まる局面において、日本円が伝統的な安全資産としての役割を果たしにくくなっている現状が浮き彫りになっている。その背景には、日本と米国の金利差の拡大や、日本の経済状況に対する市場の評価が影響しているとみられる。特に、2026年4月17日の為替市場では、ドル円はロンドン市場で一時159.50円を超える水準まで上昇した。しかし、その後、ホルムズ海峡の封鎖解除の報道が伝わると、一時157.59円まで急落する場面も見られた。その後は再び買い戻され、ニューヨーク市場では158円台を回復して取引を終えている。このような乱高下は、円が有事の際に必ずしも買われるとは限らないという市場の認識を強めていると言える。

円の信認を巡る金融政策と市場の動向

日本銀行の金融政策は、円の信認を測る上で極めて重要な要素となっている。市場は、2026年4月27日から28日にかけて開催される金融政策決定会合に注目しているが、利上げ観測は後退している。4月13日に発表された植田総裁の挨拶文が4月の利上げを示唆しなかったことで、市場が織り込む4月の利上げ確率は35%へと20%pt低下した。この利上げ観測の後退は、日米金利差の縮小期待を弱め、円安を容認する要因となっている。また、シカゴIMMの非商業部門における円の売り越し枚数は、4月7日時点で9万3742枚に達しており、これは2024年7月23日以来の大きな売り越し幅となっている。このデータは、投機筋が円安方向への動きを強く見込んでいることを示唆しており、円の信認に対する市場の厳しい見方が反映されている。

為替介入と今後の円相場の見通し

日本政府による為替介入への警戒感は依然として高く、今後の円相場に大きな影響を与える可能性がある。市場では、ドル円が160円に近づく水準では、政府・日本銀行による介入が実施されるとの見方が根強い。しかし、中東情勢の不確実性が依然として高い中で、目先のリスクは一段の円安ドル高に傾いている可能性も指摘されている。野村證券は、2026年末のドル円見通しを152.5円に引き上げており、中東情勢が米ドル高圧力を強めていると分析している。このような状況下で、円が再び「安全資産」としての役割を取り戻し、その信認を維持できるかどうかが、今後の為替市場の大きな焦点となるだろう。市場は、日本銀行の次の一手と政府の為替介入への姿勢を注視し続けることになる。

Reference / エビデンス