東亜:ベトナムのレアアース開発と中国離脱の理

2026年4月16日、東アジアの地政学的・経済的状況において、ベトナムのレアアース開発戦略が国際的な注目を集めている。世界有数のレアアース埋蔵量を誇るベトナムは、中国への依存度を低減し、国内での高付加価値化を目指す政策を推進。これは、経済安全保障上の要請と国際的なサプライチェーン再編の動きが背景にある。特に、中国の輸出規制強化が各国に代替供給源の確保を促す中、ベトナムは国際協力と投資の主要な受け皿となっている。

ベトナムのレアアース資源と国家戦略

ベトナムは、米国地質調査所(USGS)の最新予測で350万トンと推定される世界有数のレアアース埋蔵国である。同国はレアアースを「特別戦略資源」と位置づけ、中央政府による探査、採掘、加工の独占的管理を目指す動きを加速させている。2026年初頭には、2030年までに年間202万トンのレアアース生産を目標とする国家戦略の策定が進められている。この戦略の一環として、ベトナム政府は未加工のレアアース鉱石の輸出を禁止し、国内での精錬・加工による高付加価値化を推進する方針を明確にしている。これにより、レアアースのサプライチェーンにおけるベトナムの地位向上を図る狙いがある。

中国依存からの脱却と国際協力の加速

レアアースのサプライチェーンにおける中国への過度な依存は、世界各国にとって長年の課題であった。2026年4月16日現在、米国、日本、韓国などの国々は、この依存を低減し、供給源を多角化する動きを加速させている。ベトナムは、その代替供給源として国際社会から大きな注目を集めている。具体的な動きとして、2025年12月には韓国企業LSエコエナジーがベトナムのレアアースセクターに2,100万米ドルを投資した。 また、日本企業によるベトナムからのレアアース輸入も増加傾向にあり、日米欧豪の連携強化も進んでいる。さらに、2026年4月8日には、三菱マテリアルが米国のリエレメント社とレアアースを含む重要鉱物のリサイクル事業で協業することを発表するなど、中国以外のサプライチェーン構築に向けた具体的な取り組みが活発化している。

ベトナムのレアアース開発における課題と展望

ベトナムのレアアース開発は大きな可能性を秘める一方で、いくつかの重要な課題に直面している。特に、レアアースの採掘・精錬に伴う環境リスクの高さは懸念事項であり、持続可能な開発のための厳格な環境規制と技術導入が不可欠である。また、国内の精錬・加工能力の不足も課題であり、高付加価値化を目指す国家戦略の実現には、国際的な技術協力と大規模な投資が不可欠となる。 加えて、2025年3月に米国地質調査所(USGS)がベトナムのレアアース埋蔵量予測を従来の2,200万トンから350万トンへと大幅に下方修正したことは、今後の開発計画に影響を与える可能性がある。 この下方修正は、ベトナムがレアアース市場において果たす役割の現実的な評価を促し、より効率的かつ戦略的な資源管理の必要性を浮き彫りにしている。これらの課題を克服し、国際社会との連携を深めることで、ベトナムはレアアースの安定供給に貢献し、東アジアの経済安全保障に重要な役割を果たすことが期待される。

Reference / エビデンス