東亜:韓国半導体・バッテリー連合の生存戦略
2026年4月16日、韓国の基幹産業である半導体とバッテリーは、グローバルな競争激化とサプライチェーンの不安定化という二重の課題に直面している。政府と主要企業は、AI時代の到来と中国の猛追に対応するため、「超格差」戦略と次世代技術開発を軸とした生存戦略を加速させている。本稿では、最新の政策動向、企業の取り組み、そして経済安全保障の観点から、韓国の半導導体・バッテリー産業が描く未来像を詳細に分析する。
半導体産業の「超格差」戦略とAI時代への対応
韓国政府は、AI時代の到来を見据え、半導体産業における「超格差」戦略を強力に推進している。2026年4月16日現在、特に注目されるのは、2026年2月3日に制定された「半導体特別法」の施行状況である。この法律は、早ければ2026年第3四半期に施行される予定であり、体系的な支援を通じて韓国を半導体分野の世界2強に押し上げる制度的基盤を整備するものと期待されている。
AI半導体技術開発への投資も活発化している。直近の動きとして、2026年4月14日には、150兆ウォン規模の国民成長ファンドの第2次投資先として、バイオやディスプレイと並び、先端戦略産業への大規模投資が決定された。これにより、AI半導体を含む超格差技術の確保に向け、約10兆ウォンが支援される方針だ。
韓国の半導体産業は、中国の急速な追い上げに対し強い危機感を抱いている。これに対抗するため、政府はシステム半導体、素材・部品・装置(MPE)分野の強化、そして優秀な人材育成に注力している。特に、AI半導体分野では、設計から製造、パッケージングに至るまで、エコシステム全体の競争力強化を目指している。
K-バッテリー競争力強化策と次世代技術開発
K-バッテリー産業もまた、グローバル市場での競争力強化に向けた戦略を加速させている。韓国政府は「K-バッテリー競争力強化策」を掲げ、2030年までに世界シェア25%達成を目標としている。
直近の市場動向では、2026年4月15日の市場でリチウム価格が2.79%急騰するなど、原材料価格の変動が業界に影響を与えている。このような状況下で、韓国企業は次世代技術開発に注力している。2026年3月11日から13日にかけて開催された「インターバッテリー2026」では、全固体電池、エネルギー貯蔵システム(ESS)、ロボット向けバッテリーなど、革新的な新技術が多数展示された。
政府は、次世代バッテリー技術ロードマップの策定、サプライチェーンの強化、そして国内需要の創出を通じて、K-バッテリー産業の競争力向上を図っている。特に、中国企業の低価格攻勢に対しては、AI転換(AX)戦略の重要性が強調されており、生産性向上とコスト削減、そして高付加価値製品へのシフトが求められている。
サプライチェーン強靭化と経済安全保障
半導体およびバッテリー産業におけるサプライチェーンの脆弱性は、韓国にとって喫緊の課題である。素材・部品・装置の海外依存度が高い現状は、米中半導体戦争の激化や技術流出問題と相まって、韓国の経済安全保障に大きな影響を与えている。
これに対し、韓国政府は「供給網三法」を含む強靭化策を推進している。これは、特定国への依存度を低減し、国内での生産能力を強化するとともに、多様な供給源を確保することを目的としている。また、技術流出防止のための法整備や国際協力も強化されている。
国際情勢も韓国の生存戦略に影響を与えている。2026年4月12日に韓国銀行が発表した展望によると、世界半導体景気の「スーパーサイクル」は少なくとも2027年上半期までは持続する見込みであり、中東情勢が半導体景気に与える影響は制限的であるとの見方が示された。このような見通しは、韓国半導体産業にとって追い風となる可能性がある一方で、地政学的リスクへの継続的な警戒が求められる。韓国は、経済安全保障の観点から、サプライチェーンの安定化と技術主権の確立を最優先課題として取り組んでいる。
Reference / エビデンス
- 韓国政府、半導体世界2強に向けて「AI時代の半導体産業戦略」を発表(韓国) - ジェトロ
- 半導体特別法が制定、体系的な支援に向けた制度基盤を整備(韓国) - ジェトロ
- 韓国、半導体世界2強を狙う…防衛産業・バイオ・Kカルチャーは「新成長軸」
- 専門家「韓国の半導体産業は中国の追い上げで生存の危機にある」 - Record China
- 150兆ウォン規模の国民成長ファンドの2次投資先としてバイオ、ディスプレーなど6つのプロジェクトが選定された。 超格差技術確保のためにこれらプロジェクトに計10兆ウォン内外を支援する方針だ。李億ウォン.. - MK
- K-バッテリー戦略を発表、2030年までに世界シェア25%を目指す(韓国) - ジェトロ
- 韓国政府「K-バッテリー競争力強化で2030年世界シェア25%達成」 - ハンギョレ新聞
- ワールドウオッチ:低迷の韓国バッテリー業界が注力する新分野 嚴在漢 | 週刊エコノミスト Online
- 「グローバルバッテリー核心生産基地…··· 「全固体分野でも疾走する」 - MK
- 中国の低価格攻勢に直面する韓国のバッテリー・鉄鋼産業、生存を懸けたAI転換(AX)を加速
- Korea's "InterBattery 2026" Opens... Is Now the Right Time to Invest in Secondary Battery Stocks?... - YouTube
- AIが選んだ今朝のニュース(2026年4月16日)|hiroSTYLE - note
- 韓国半導体産業の現状および成長のための今後の施策 | PwC Japanグループ
- 半導体をめぐる経済安全保障と韓国 - 日本国際問題研究所
- 韓国半導体・FPD・電池産業の最新戦略2025 | セミナー・イベントのご案内
- 世界半導体景気「スーパーサイクル」が少なくとも来年上半期までは持続すると韓国銀行が展望した。