北米:二国間同盟の再定義と防衛負担の政治的議論

2026年4月11日、北米地域では、米国、カナダ、メキシコ間の防衛政策、予算、協力関係において重要な進展が見られ、二国間同盟の再定義と防衛負担に関する政治的議論が活発化している。特に、過去48時間以内に報じられた各国の動きは、地政学的変化と国内政治的動機が複雑に絡み合う現状を浮き彫りにしている。

米国の国防予算の大幅増額と「米国第一主義」の再燃

トランプ政権は、2027会計年度(2026年10月~2027年9月)の国防予算案として、前年度比約40%増となる1兆5000億ドル(約240兆円)を議会に要求したと、2026年4月4日および5日に報じられた。この増額は第二次世界大戦後最大規模であり、次世代ミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」の開発や大規模な海軍の戦艦建造が優先される方針が示されている。同時に、国防分野以外の予算は10%削減される見込みだ。この動きは、トランプ政権が掲げる「米国第一主義」の再燃と密接に関連しており、同盟国に対して防衛負担の増額を強く要求する文脈で論じられている。米国は、自国の防衛能力を飛躍的に向上させる一方で、同盟国にも相応の貢献を求める姿勢を鮮明にしていると言える。

カナダの防衛支出増強とNORAD近代化へのコミットメント

カナダは2026年4月1日、NATOのGDP比2%の防衛支出目標を達成したと報じられた。これは1990年以来初めての達成であり、マーク・カーニー首相が2026年3月までに目標を達成すると発表していた時期よりも6年早い進捗となる。カナダはまた、2026年3月21日に発表された米国との共同声明において、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の近代化への継続的なコミットメントを表明し、今後5年間で約100億ドルの共同投資を行うことで合意している。さらに、カナダは米国への依存を減らし、欧州の同盟国との関係を強化する意図を示しており、2026年4月10日の報道では、次期戦闘機計画GCAPへのオブザーバー参加を模索していることが明らかになった。これは、カナダが多角的な安全保障戦略を追求し、国際的な役割を拡大しようとする姿勢の表れと言える。

米国・メキシコ間の安全保障協力の進展と課題

メキシコでは、新外相ロベルト・ベラスコが就任直後の2026年4月8日および9日に米国との接触を開始し、安全保障分野での協力深化について協議したと報じられた。特に、国境安全保障、麻薬対策(フェンタニル密輸削減)、人の移動に関する課題への人権配慮を伴う対応が議論された。2026年3月20日にメキシコ外務省が発表した報告書では、両国が国境安全保障と麻薬対策で具体的な成果を上げていると強調されている。また、2026年1月12日のトランプ米大統領とシェインバウム・メキシコ大統領との電話会談では、フェンタニル密輸が1年間で50%減少したと述べられた。しかし、協力には課題も存在する。2026年1月に米調査会社が発表した「USMCAのゾンビ化」の指摘や、2026年1月2日の中国とメキシコの接近に関する懸念は、両国間の安全保障協力が常に円滑に進むわけではないことを示唆している。メキシコは、米国との関係を維持しつつも、自国の外交的選択肢を広げようとしていると見られる。

Reference / エビデンス