北米:対外経済制裁と特定企業への輸出規制措置に関する最新動向(2026年4月11日)

2026年4月11日、北米地域、特に米国とカナダにおける対外経済制裁および特定企業への輸出規制措置は、目まぐるしい変化を見せています。直近の数週間から数ヶ月にかけて、米国商務省(BIS)、財務省外国資産管理室(OFAC)、通商代表部(USTR)は、輸出管理規則(EAR)の適用停止、経済制裁の修正・解除、新たな貿易障壁報告書の公表、そしてAIチップ規制の条件付き緩和など、多岐にわたる政策変更を発表しました。一方、カナダも対米・対中貿易措置や制裁政策の多角化を進めています。これらの動きは、国際的なサプライチェーンや企業活動に大きな影響を与えており、各国企業の綿密な監視と迅速な対応が求められています。

米国:輸出管理規則(EAR)と関連事業体ルールの動向

米国商務省産業安全保障局(BIS)は、輸出管理規則(EAR)における「関連事業体ルール」の適用停止に関する最新情報を発表しました。このルールは、米国製品の輸出先が、米国の輸出管理対象企業と50%以上の資本関係を持つ場合、その輸出も規制対象とするものです。2025年11月10日に発表された1年間の停止措置は、米中間の交渉の結果として、中国がレアアースの輸出禁止を停止したことと引き換えに行われました。この停止措置は2026年11月10日に再施行される予定であり、日本企業を含む関連企業は、この再施行に向けて十分な準備期間を確保する必要があります。

米国:OFACによる経済制裁の最新動向

米国財務省外国資産管理室(OFAC)は、最近、複数の制裁措置を修正・発表しました。2026年4月8日には、ロシア関連の一般許可証が修正発行されました。また、4月1日には、ベネズエラ関連の指定解除が行われ、デルシー・ロドリゲス氏がSDN(特別指定国民)リストから削除されました。さらに、2026年4月9日には、中間選挙前の石油価格安定化を目的として、ロシアおよびイラン産石油に対する制裁免除の延長が検討されていると報じられました。

米国:USTRによる貿易障壁報告書と301条調査

米国通商代表部(USTR)は、2026年3月31日に「外国貿易障壁報告書(NTE)」を公表し、複数の国々の貿易慣行を批判しました。報告書では、中国のレアアース輸出管理強化を「武器化」と指摘し、鉄鋼の過剰生産能力が2025年第3四半期に前年同期比16%増加したこと、そして新疆ウイグル自治区における強制労働問題に対する懸念を表明しました。また、USTRは2026年3月11日、製造業分野の構造的過剰生産能力に関する301条調査を、日本を含む60カ国を対象に開始しました。この調査に関するパブリックコメントの提出期限は4月15日、公聴会は5月5日に予定されています。

米国:AIチップ輸出規制の条件付き緩和とホルムズ海峡の状況

2026年1月、米国商務省産業安全保障局(BIS)は、NVIDIAのH200やAMDのMI325Xなど特定のAIチップの対中輸出規制を、原則不許可から個別審査へと条件付きで緩和しました。これは、米国の技術覇権維持と同時に、産業界の懸念に対応する動きと見られています。一方、2026年4月11日現在、中東の要衝であるホルムズ海峡では、通過船舶が1日あたり約10隻に制限されており、イラン革命防衛隊(IRGC)による通航管理が継続しています。IRGCへの支払いは、米国の制裁に違反する可能性があるため、船舶会社や関連企業は細心の注意を払う必要があります。

カナダ:対米・対中貿易措置と制裁政策の多角化

カナダは、米国および中国との間で複雑な貿易関係に直面しています。米国通商代表部(USTR)が2026年3月31日に公表した報告書では、カナダの「バイ・カナディアン」政策や州営の酒類販売公社が貿易障壁となっていると指摘されました。特に、2025年12月31日時点で、アルバータ州とサスカチュワン州を除くほとんどの州・準州で米国産アルコール飲料の取引が停止されている状況が浮き彫りになっています。これに対し、カナダは2026年3月5日に、米国によるカナダ産品への35%追加関税に対する大規模な報復措置の準備を発表しました。また、中国は2026年3月1日からカナダ産菜種に5.9%のアンチダンピング(AD)税を課しており、両国間の貿易摩擦が続いています。

制裁政策においても、カナダは多角的なアプローチを見せています。2026年2月18日には、シリアへの広範な経済制裁が緩和され、24団体と1個人が指定解除されました。一方で、2月24日にはロシアに対する制裁が拡大され、金融ネットワーク、軍事技術開発支援団体、AI・サイバーセキュリティ分野の事業体、そして100隻の船舶が新たな対象となりました。これらの動きは、カナダが国際情勢の変化に応じて、柔軟かつ戦略的に制裁政策を運用していることを示しています。

Reference / エビデンス