北米:巨大IT企業に対する独占禁止法と規制の動向

北米における巨大IT企業に対する独占禁止法および規制の動向は、米国司法省(DOJ)、連邦取引委員会(FTC)、州政府、そしてカナダ政府による多角的なアプローチによって特徴づけられています。Apple、Amazon、Google、Metaといった主要企業は、アプリストアのポリシー、市場支配、データ利用、AI関連の競争、そしてユーザーの安全に関する訴訟や調査に直面しており、これらの動きは、既存の独占禁止法の枠組みを越え、デジタル経済の新たな課題に対応しようとする規制当局の姿勢を反映しています。

Appleに対する独占禁止法と規制の動向

本日2026年4月7日、米国最高裁判所はAppleのApp Store手数料に関する上訴を棄却しました。これにより、アプリ開発者が代替決済方法へのリンクを許可する下級裁判所の命令が発効することになります。この決定は、AppleのApp Storeにおける支配的な地位に対する規制圧力が強まっていることを示唆しています。

また、同日、Appleは米国司法省の独占禁止法訴訟において、Samsungからの証拠取得のため国際的な協力を求めたことが明らかになりました。これは、Appleが直面する法的争いにおいて、広範な証拠収集が必要とされている現状を浮き彫りにしています。

国際的な規制動向としては、2026年4月10日には欧州委員会がAppleに対し、18.4億ユーロ(約2,900億円)の罰金を科したと発表しました。これは、欧州におけるデジタル市場法(DMA)などの新たな規制が、巨大IT企業に与える影響の大きさを物語っています。

Amazonに対する独占禁止法と規制の動向

昨日2026年4月6日、米国連邦取引委員会(FTC)は、Amazonに対する独占禁止法訴訟において、求めている救済措置を具体的に明示するよう裁判官から命令を受けました。この命令は、FTCがAmazonの市場支配力に対してどのような具体的な是正措置を求めているのかを明確にするよう求めるものであり、今後の訴訟の行方に大きな影響を与える可能性があります。FTCの訴訟は2026年後半に裁判が予定されています。

一方、競争環境の変化として、2026年4月10日にはAmazonがOpenAIに500億ドル(約7兆5,000億円)を投資すると発表しました。この巨額投資は、AI分野における競争を激化させ、既存の市場構造に大きな影響を与える可能性を秘めています。

Googleに対する独占禁止法と規制の動向

本日2026年4月7日、米国第5巡回控訴裁判所は、Googleに対する独占禁止法訴訟をテキサス州からカリフォルニア州の裁判所に移送するよう命じました。この移送は、訴訟の進行に影響を与える可能性があり、Googleが直面する法的課題の複雑さを示しています。

また、2026年4月8日には、米国司法省がSamsungとNetlist間の特許侵害訴訟において、標準必須特許(SEP)の乱用に関する声明を発表しました。これは、デジタル広告市場における独占禁止法違反に関する是正措置の進捗と並行して、特許分野における競争問題にも当局が注視していることを示唆しています。

国際的な動きとしては、2026年4月10日、スウェーデン裁判所がKlarnaの子会社PriceRunnerのGoogleに対する独占禁止法訴訟の判決を延期したと報じられました。この訴訟は、Googleの検索結果における自社サービスの優遇が競争を阻害していると主張するものであり、その判決は欧州におけるGoogleの事業に大きな影響を与える可能性があります。

Metaに対する独占禁止法と規制の動向

2026年4月10日、マサチューセッツ州最高裁判所は、Metaに対し、FacebookとInstagramの機能が若年層を中毒にするよう設計されたとする訴訟に直面するとの判決を下しました。この判決は、ソーシャルメディアプラットフォームがユーザーの健康に与える影響について、企業が法的責任を問われる可能性が高まっていることを示しています。同様の訴訟はカナダでも進行しており、米国での判決がカナダの訴訟に影響を与える可能性が指摘されています。

さらに、米国連邦取引委員会(FTC)は、InstagramとWhatsAppの買収に関する独占禁止法訴訟の判決を上訴しました。FTCは、これらの買収が競争を阻害し、Metaの市場支配力を不当に強化したと主張しており、この上訴はMetaの事業戦略に長期的な影響を与える可能性があります。

北米全体の規制動向と新たなフロンティア

北米全体では、巨大IT企業に対する規制の動きが加速しています。カナダでは、オンラインニュース法(Bill C-18)の進捗が見られ、デジタルサービス税の導入も進められています。これらの措置は、デジタルプラットフォームがニュースコンテンツの利用に対して公正な対価を支払うこと、およびデジタル経済における税収の確保を目指すものです。

米国では、AI規制の枠組み構築に向けた動きが活発化しています。連邦取引委員会(FTC)と司法省(DOJ)は、競合他社間の協力に関する新たなガイドライン策定に向けた意見公募を開始しており、これはAI技術の発展に伴う競争上の課題に対応するためのものです。

また、米国における州レベルでの独占禁止法執行の重要性が高まっています。連邦政府だけでなく、各州が独自の視点から巨大IT企業の行動を監視し、競争を促進するための措置を講じることで、規制環境はより複雑かつ多層的になっています。

Reference / エビデンス