北米連邦インフラ投資計画:2026年4月時点の予算配分と執行状況
2026年4月6日、北米における連邦インフラ投資計画、特に超党派インフラ法(BIL)およびインフラ投資雇用法(IIJA)は、その進捗と予算執行において重要な局面を迎えています。バイデン政権下で推進されてきたこの大規模な投資は、国内経済の活性化と競争力強化に寄与する一方で、2026年9月30日に期限を迎えるIIJAの再承認や、2027年度予算案におけるインフラ関連予算の動向が今後の課題として浮上しています。
連邦インフラ投資計画の全体的な進捗と予算執行状況
2026年4月8日時点で、超党派インフラ法(BIL)に基づく承認済みプロジェクトの総額は5,000億ドルを超え、その進捗は着実に加速しています。2026年1月31日時点では、IIJAの割り当て額は5,680億9,165万1,000ドルに達し、義務付け額は2,750億ドル(別の情報源では3,602億5,618万8,000ドル)となっています。義務化率は72.62%、支出率は43.07%です。これまでに4万5,000件以上のプロジェクトが開始され、4,500以上のコミュニティに資金が投入されており、全米各地で具体的なインフラ改善が進められています。
主要な投資分野と具体的な成果
インフラ投資は多岐にわたる分野で具体的な成果を生み出しています。
道路・橋梁分野では、1,100億ドルが投じられ、数千の橋と数万マイルの道路の修理・再建が進められています。特に、2026年4月1日にはFY25橋梁投資プログラムの大型橋梁賞が発表され、老朽化した重要橋梁の改修が加速しています。
公共交通機関には899億ドルが割り当てられ、数百万人の米国人の交通手段改善と温室効果ガス排出削減に貢献しています。
ブロードバンドインフラには650億ドルが投資され、すべての米国人が信頼性の高い高速インターネットにアクセスできるよう、情報格差の解消を目指しています。
水インフラには550億ドルが投入され、清潔な飲料水へのアクセス拡大と鉛製給水管の除去が喫緊の課題として取り組まれています。国土交通省は2026年1月30日に鉛製給水管の解消に向けた対応方針をまとめ、2028年度末までに年間15万件の撤去目標を設定しました。香川県広域水道企業団高松ブロック統括センターでは、2026年4月6日から令和8年度鉛製給水管取替工事助成金交付申請の受付を開始しています。飯田市では2026年度までに鉛製給水管の解消を図る計画です。
電力網の近代化には650億ドルが充てられ、送電線のアップグレードやクリーンエネルギーへの移行が推進されています。国際エネルギー機関(IEA)は、2040年までに世界全体で8,000万kmの送電線を増設または交換する必要があり、2030年までに年間6,000億ドル以上の投資が必要と試算しています。中国でも2026年までの新型送電網構築が推進されています。
EV充電ステーションの全国ネットワーク構築には75億ドルが投じられ、電気自動車の普及を後押ししています。
経済的影響と雇用創出
インフラ投資は、米国経済に大きな影響を与え、高賃金の組合雇用を創出しています。バイデン大統領の就任以降、建設業では9万2,400人の雇用が創出され、1990年以降で最高水準を記録しました。特に、高速道路、街路、橋の建設などの重土木関係では、就任以降3万8,300人増加し、その大半がIIJA成立後に増加しています。この1年間の同分野における雇用の伸びは、新型コロナ禍前の月平均の4倍にあたるとされています。また、インフラ投資は、今後10年間で年間平均150万人の雇用を追加すると期待されています。建設業界では、人材不足と賃金上昇がプロジェクトコストを押し上げており、2026年3月には国土交通省と建設業4団体が技能者の賃金「おおむね6%上昇」で合意しました。大成建設は平均5.7%、大林組は平均6.0%、清水建設は平均8.2%、竹中工務店は10%超の賃上げを2026年度に実施する予定です。
2026年4月上旬の主要な発表と動向
2026年4月上旬には、いくつかの重要な発表がありました。
2026年4月6日、連邦道路庁(FHWA)は、FY23およびFY26ロードサイド花粉媒介者プログラム(RPP)の資金提供機会通知(NOFO)を発表しました。このプログラムは、道路脇や高速道路の敷地における花粉媒介者の生息地を改善するためのもので、FY23に最大180万ドル、FY26に最大200万ドルの資金が提供されます。
2026年4月1日には、FY25橋梁投資プログラムの大型橋梁賞が発表され、老朽化した重要橋梁の改修プロジェクトに資金が提供されることになりました。
また、2026年4月1日には、米国エネルギー省(DOE)が重要鉱物・バッテリー材料および送電網インフラに関する新たな資金提供機会を発表しました。これは、国内の重要鉱物サプライチェーンを強化し、バッテリー製造およびリサイクル能力を拡大することを目的としており、最大5億ドルの資金が提供されます。2025年11月14日には、DOEが鉱業能力拡大と次世代採掘技術実証に3億5,500万ドルを拠出すると発表していました。さらに、2025年8月には、DOEが重要鉱物の供給網確立のため、採掘、加工、製造技術などの分野に総額10億ドル以上を助成すると発表しています。
今後の課題と2027年度予算案の影響
連邦インフラ投資計画は大きな進展を見せているものの、今後の課題も山積しています。最も差し迫った課題の一つは、インフラ投資雇用法(IIJA)の権限が2026年9月30日に失効することです。これにより、建設業界は資金調達の崖に直面するリスクがあり、再承認に向けた議論が活発化しています。
さらに、2026年4月3日に発表されたトランプ政権の2027年度予算案は、今後のインフラ投資に大きな影響を与える可能性があります。この予算案では、国防費を大幅に増額する一方で、非国防裁量的支出を10%削減することが提案されており、特にIIJAの資金、再生可能エネルギープロジェクト、および裁量的補助金プログラムに150億ドル以上の削減が提案されています。具体的には、環境保護庁(EPA)の予算が52.4%減、農務省が19.0%減、内務省が12.9%減、エネルギー省(原子力や重要鉱物を除く)が11.2%減、国務省が30.4%減となるなど、多くの主要な連邦政府機関で大幅な削減案が示されています。これは、クリーンエネルギーへの移行や気候変動対策を重視してきた現行のインフラ投資の方向性に大きな転換をもたらす可能性があります。議会での承認プロセスは不透明であり、今後の政治的駆け引きが注目されます。
Reference / エビデンス
- Bipartisan Infrastructure Spending Hits $500 Billion: Where the Money Is Going
- IIJA Expiration 2026: Infrastructure Funding Cliff Risks for Construction
- President Biden's Administration Highlights Progress in Investing in Infrastructure
- FACT SHEET: Biden-Harris Administration Kicks Off Infrastructure Week by Highlighting Historic Results Spurred by President Biden's Investing in America Agenda
- Bipartisan Infrastructure Spending Hits $500 Billion: Where the Money Is Going
- Infrastructure Investment and Jobs Act - National Conference of State Legislatures
- President Biden's Administration Highlights Progress in Investing in Infrastructure
- FACT SHEET: Biden-Harris Administration Kicks Off Infrastructure Week by Highlighting Historic Results Spurred by President Biden's Investing in America Agenda
- Washington Update: Sustainable Energy & Infrastructure — April 2026 | Mintz
- Bipartisan Infrastructure Spending Hits $500 Billion: Where the Money Is Going
- Infrastructure Investment and Jobs Act - Federal Highway Administration
- Washington Update: Sustainable Energy & Infrastructure — April 2026 | Mintz
- IIJA Expiration 2026: Infrastructure Funding Cliff Risks for Construction
- DOE proposes slashing non-defense spending on energy | Utility Dive
- Trump Administration Seeks $114B in USDOT Funding - AASHTO Journal
- Trump Budget Seeks $1.5 Trillion in Defense Spending Alongside Cuts in Domestic Programs | Chicago News | WTTW
- Bipartisan Infrastructure Law Investments Should Be the Baseline for Surface Reauthorization Funding Levels - TTD - Transportation Trades Department
- White House Releases Budget Request for FY 2027: Analysis for Counties
- What the FY27 Federal Budget Proposal Could Mean for Local Governments