北米:連邦インフラ投資計画の予算配分と執行状況
2026年4月5日、北米地域では連邦政府による大規模なインフラ投資計画が進行しており、米国とカナダそれぞれで異なる進捗と課題が浮き彫りになっています。米国では超党派インフラ法(IIJA)に基づく支出が着実に進む一方で、その将来には不確実性が影を落としています。一方、カナダでは新たな連邦インフラ計画が発表され、経済成長と雇用創出への期待が高まっています。
米国:超党派インフラ法(IIJA)の執行状況と予算配分
2021年に制定された米国の超党派インフラ法(IIJA)は、国内の老朽化したインフラを刷新し、経済成長を促進するための重要な柱となっています。2026年4月8日時点で、この法律に基づく連邦インフラ支出は承認済みプロジェクトで5,000億ドルを超過しました。
具体的な予算配分を見ると、道路・橋梁に1,600億ドル、公共交通に900億ドル、ブロードバンドに650億ドル、水インフラに550億ドル、電力網に650億ドルが割り当てられています。また、電気自動車(EV)充電ステーションの整備には75億ドルが投じられています。
これらの大規模な投資は、雇用創出にも大きく貢献しています。推定で80万人もの直接雇用が創出され、関連産業ではさらに120万人の雇用が生まれたとされています。特に主要なプロジェクト地域では、建設賃金が平均で15%上昇するなど、地域経済への波及効果も顕著です。
米国:IIJAの今後の見通しと2027年度予算案の影響
超党派インフラ法(IIJA)の権限は2026年9月30日に失効する予定であり、その後の再承認については不確実な状況が続いています。
2026年4月3日に発表されたトランプ政権の2027年度予算案は、IIJAの将来に大きな影響を与える可能性があります。この予算案では、非国防裁量支出を約730億ドル(10%)削減することが提案されており、特に再生可能エネルギーインフラへのIIJA資金から150億ドル以上を削減する方針が示されています。
さらに、RAISE、Mega、Safe Streets and Roads for All (SS4A) といった主要な裁量交付金プログラムの廃止が提案されています。連邦交通局(FTA)のCapital Investment Grantsプログラムも16億ドルの削減対象となり、水インフラ金融革新法(WIFIA)プログラムへの新規資金供給も停止される見込みです。 これらの提案は、交通、水、環境プログラムへの大幅な削減を意味し、今後のインフラ整備計画に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
カナダ:新規連邦インフラ計画「Build Communities Strong Fund」の発表
カナダでは、マーク・カーニー首相が2026年4月7日から9日にかけて、今後10年間で510億ドルを投じる新たな連邦インフラ計画「Build Communities Strong Fund」を正式に発表しました。
この基金は、道路、橋梁、水システムといった伝統的なインフラの強化に加え、地域開発プロジェクト、住宅コストの削減、ヘルスケア施設の拡充を目的としています。具体的な予算配分としては、伝統的インフラに278億ドル、地域コミュニティプロジェクトに60億ドル、そして住宅・ヘルスケア支援に172億ドルが割り当てられています。
「Build Communities Strong Fund」は、州からの約170億ドルのマッチング資金と、地方自治体および民間部門からの追加投資を呼び込むことが期待されています。この計画により、年間平均42,000人の雇用が創出され、今後10年間でカナダのGDPを950億ドル押し上げると予測されています。 最初のプロジェクトとして、ブランプトンのEmbleton Community Centre and Parkに6,400万ドルの連邦投資が行われることが発表されました。
北米全体の建設市場動向と課題
2026年の北米建設活動は安定し、緩やかな成長が見込まれています。 特に米国では、2025年のわずかな減少の後、2026年には総建設支出が約2.2兆ドルに達し、約1%増加すると予測されています。
この成長を牽引するのは、公共インフラ、データセンター、半導体、および先進製造業への投資です。 実際、2026年1月の米国の公共建設支出は、季節調整済み年率で5,292億ドルに達し、2025年12月から0.6%増加しました。
しかし、業界全体はいくつかの課題に直面しています。高金利、融資基準の厳格化、プロジェクトパイプラインの枯渇、そして建設インフレ(2026年には4%から5%と予測)が挙げられます。 また、熟練労働者不足も依然として深刻な問題であり、建設プロジェクトの遂行に影響を与えています。
Reference / エビデンス
- Bipartisan Infrastructure Spending Hits $500 Billion: Where the Money Is Going
- Infrastructure Investment and Jobs Act - Wikipedia
- IIJA Expiration 2026: Infrastructure Funding Cliff Risks for Construction
- 2026 North American Engineering and Construction Outlook: Second Quarter | FMI Corp
- Trump Administration Seeks $114B in USDOT Funding - AASHTO Journal
- FY27 President's Budget Request Signals Major Shifts in Higher Education, Infrastructure and Domestic Programs | Nossaman LLP - JDSupra
- What the FY27 Federal Budget Proposal Could Mean for Local Governments
- DOE proposes slashing non-defense spending on energy | Utility Dive
- Budget Estimates Fiscal Year 2026 - Department of Transportation
- Trump budget proposal cuts EPA funding in half, targets climate programs - Planet Detroit
- Carney's $51B Canada Infrastructure Plan Aims to Boost Roads, Housing, and Health Care
- Carney government rolls out $51B infrastructure program - Horizon Weekly
- Carney breaks down plans to spend $51B on local infrastructure over a decade | CBC News
- Prime Minister Carney launches the Build Communities Strong Fund and announces the first tranche of projects
- Building Canada strong by investing in water and wastewater infrastructure in Cornwall, Prince Edward Island
- 2026 North American Engineering and Construction Outlook: Second Quarter | FMI Corp
- Global Infrastructure: Seven Trends To Watch In 2026
- Selective Growth: FMI's 2026 North American Engineering & Construction Outlook
- Construction industry - Industry trends and commodities outlook for 2026 - Americas
- MONTHLY CONSTRUCTION SPENDING, JANUARY 2026 - Census Bureau