北米:連邦債務上限問題の政治的妥結と財政の推移

2026年4月1日、北米、特に米国の財政状況は、増大する連邦債務と赤字、そしてその政治的妥結を巡る複雑な様相を呈しています。議会予算局(CBO)の最新報告書と政府データは、この国の財政が直面する深刻な課題を浮き彫りにしています。

2026年3月時点の連邦財政赤字と国家債務の現状

米国の国家債務総額は、2026年3月4日時点で38.86兆ドルに達しました。このうち、公的債務は31.27兆ドル、政府内債務は7.59兆ドルとなっています。財政の健全性に対する懸念は深まるばかりです。2026会計年度の前5ヶ月間(2025年10月~2026年2月)において、連邦予算赤字はすでに1兆ドルを突破しました。この期間、米国政府は平均して毎週約500億ドルもの借入を行っていたことになります。

特に、2026年2月単月では、3080億ドルという巨額の予算赤字を記録しました。この月の公共債務の利息は80億ドル増加し、合計で930億ドルに達しています。また、軍事費も60億ドル増加し、670億ドルとなりました。 2025年10月から2026年2月までの公共債務の純利息支出は、前年同期比で310億ドル増加しており、金利上昇が財政に与える影響の大きさが顕著に表れています。

議会予算局(CBO)による2026会計年度の財政予測と課題

米議会予算局(CBO)は、2026会計年度の連邦財政赤字が1兆8530億ドルに達すると予測しており、これは国内総生産(GDP)の約5.8%に相当します。この数字は、2025会計年度の1兆7750億ドルからさらに増加する見込みです。 公的債務は2026年にはGDPの101%に達すると予測されており、財政の持続可能性に対する懸念が高まっています。

CBOは、純金利費用が2026会計年度に対GDP比で3.3%を占めると予測しており、これは歳出全体の13.85%に相当します。これは、金利上昇が債務返済費用に与える甚大な影響を浮き彫りにしています。 CBOは、財政赤字が今後10年間、過去最高水準にとどまると予測しており、2026年から2035年までの累積赤字が、2025年1月のCBO予測よりも1.4兆ドル(6%)増加すると指摘しています。 経済成長に関する前提にも大きな相違が見られます。CBOは2026年の実質GDP成長率を2.2%と予測していますが、ホワイトハウスは2026年第1四半期には6%を超える可能性もあると主張しており、今後の財政見通しに不確実性をもたらしています。

債務上限問題の政治的妥結と将来的な展望

連邦債務上限問題については、2025年7月に成立した「One Big Beautiful Bill Act」により、債務上限が41.1兆ドルに引き上げられました。これにより、次の債務上限問題が表面化するのは2027年まで猶予がもたらされた形です。 しかし、CBOはこの法案自体が、追加の金利費用を除いて今後10年間で連邦債務に推定3.4兆ドルを追加すると見積もっており、一時的な解決策が長期的な財政負担を増大させる可能性を指摘しています。

現在の財政状況とCBOの予測は、米国が今後も財政赤字と国家債務の増大という課題に直面し続けることを示唆しています。政治的な妥協が一時的な猶予をもたらす一方で、根本的な財政構造改革がなければ、将来世代への負担は増大する一方であるという厳しい現実が浮き彫りになっています。

Reference / エビデンス