日本:資産課税および相続税制改正の政治的推移(2026年3月31日時点)
2026年3月31日、日本の税制は重要な転換点を迎えました。この日、参議院本会議において2026年度(令和8年度)税制改正法が可決・成立し、資産課税および相続税制に大きな変更が加えられることになりました。この改正は、所得税法、法人税法、相続税法、租税特別措置法など、国税に関する複数の法律の改正を一本にまとめた「所得税法等の一部を改正する法律案」として審議されてきました。財務省は、この税制改正が初年度で5,780億円の減収となる見込みを示しています。
貸付用不動産および不動産小口化商品の評価方法の見直し
今回の税制改正の主要な柱の一つは、貸付用不動産および不動産小口化商品の相続税評価方法の見直しです。この見直しの目的は、市場価格と相続税評価額との間に生じていた乖離を是正し、より実態に即した課税を実現することにあります。具体的には、相続開始または贈与前5年以内に取得・新築された貸付用不動産については、「通常の取引価額に相当する金額」で評価されることになります。これにより、短期間での相続対策としての不動産活用に一定の制限が設けられる形となります。また、不動産小口化商品についても、その取得時期にかかわらず「通常の取引価額に相当する金額」で評価される方針が示されました。この改正は、2027年1月1日以降に発生する相続または贈与から適用される見込みです。
超富裕層向けミニマム課税の強化
極めて高い水準の所得を有する層に対する負担の適正化を図るため、ミニマム課税(最低負担額制度)が強化されます。この改正により、特別控除額が従来の3億3,000万円から1億6,500万円へと半減されます。さらに、適用される税率も22.5%から30%に引き上げられることになります。このミニマム課税の強化は、2027年分以後の所得税に適用される予定であり、これにより超富裕層の税負担が大幅に増加すると見込まれています。
事業承継税制の適用期限延長と教育資金一括贈与の非課税措置の終了
事業承継を円滑に進めるための税制優遇措置である事業承継税制については、その適用期限が延長されました。非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度における特例承継計画の提出期限は、2026年3月31日から1年6ヶ月延長されました。また、個人版事業承継税制における個人事業承継計画の提出期限も2年6ヶ月延長され、2028年9月末までとなりました。これにより、後継者への事業承継を検討している中小企業や個人事業主は、引き続き猶予制度を活用できる期間が確保されました。
一方で、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年3月31日をもって延長されずに終了します。この措置は、子や孫への教育資金の早期移転を促す目的で導入されましたが、富裕層の相続税対策として利用されるケースも指摘されていました。今回の終了により、今後は教育資金の贈与についても通常の贈与税の課税対象となり、贈与のタイミングや方法について再検討が必要となるでしょう。
Reference / エビデンス
- 2026年(令和8年)度税制改正法、3月31日に成立
- 【速報】令和8年度(2026年)税制改正大綱(相続税・贈与税) | 大阪の相続税税理士
- 2026年度税制改正大綱【令和8年度】|相続税・贈与税の解説
- 【2026年度税制改正大綱】主な改正内容をチェック⑤ | ヤマダ会計グループ
- 2026年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点 - PwC
- 相続税・贈与税が歴史的転換で富裕層包囲へ!今すぐ始めるべき節税対策とは?来年始まる「こどもNISA」の“ハイブリッド活用”が - ダイヤモンド・オンライン
- 富裕層課税は強化される?2026年税制改正と資産家の相続対策 - 税理士法人ビジョン・ナビ
- 相続税税制改正2026の要点|贈与税も税理士が解説
- 2026年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点 - PwC
- 富裕層課税は強化される?2026年税制改正と資産家の相続対策 - 税理士法人ビジョン・ナビ
- 2026年度税制改正大綱【令和8年度】|相続税・贈与税の解説
- 【2026年度税制改正】資産課税編 - G.S.ブレインズ税理士法人