日本:エネルギー政策の転換と原子力発電再稼働の推移(2026年3月31日時点)

2026年3月31日、日本はエネルギー政策の大きな転換期に立っています。エネルギー安全保障の強化と脱炭素化の両立を目指し、原子力発電の再稼働と再生可能エネルギーの導入拡大が加速しています。特に、明日4月1日に施行される改正GX推進法は、企業活動に大きな影響を与えることになります。

日本のエネルギー政策の全体像とGX推進法の施行

2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」は、エネルギー安全保障と脱炭素化への重点シフトを明確に打ち出しました。この計画では、2040年度の電源構成において、再生可能エネルギーを4~5割程度、原子力を2割程度、火力を3~4割程度と見込み、原子力と再生可能エネルギーの最大限活用の方針が示されています。

そして、明日2026年4月1日には「改正GX推進法」が施行されます。 この改正法は、2050年カーボンニュートラルの実現と経済成長の両立を目指す「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」を推進するためのもので、特に排出量取引制度(GX-ETS)の義務化が注目されています。 直近3事業年度のCO2直接排出量が年間平均10万トンを超える約300~400社がこの制度の対象となり、国内の温室効果ガス排出量の約6割をカバーすると見られています。 対象企業は2026年4月1日から排出量の算定を開始し、同年9月30日までに制度対象である旨の届出と移行計画の提出が求められます。

原子力発電再稼働の現状と今後の見通し

2026年3月31日現在、再稼働済みの原子炉は全国で15基に達しています。 特に注目されるのは、2026年2月に発電・送電を開始した東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機(定格出力136万kW)です。 福島第一原子力発電所事故以降、東京電力としては初めての再稼働であり、首都圏への電力供給に貢献しています。

一方で、北海道電力泊発電所3号機は、2025年12月10日に北海道知事の同意を得ており、2027年の早期再稼働を目指しています。 また、泊1・2号機も2030年代前半の再稼働を目指す方針です。

柏崎刈羽6号機の再稼働は、電力需給に大きな影響を与えています。2026年3月1日には東京電力エリアで184万kW、3月7日には87万kWという大規模な再生可能エネルギーの出力制御が発生しました。 これは、原子力発電の供給力が増加したことで、電力系統の安定性を保つために再生可能エネルギーの発電を一時的に抑制する必要が生じたためです。

再生可能エネルギー導入状況と政策課題

再生可能エネルギーの導入も着実に進んでいます。2025年9月末時点(2026年3月19日更新)の再生可能エネルギー認定量は合計10,478.6万kW、導入量は合計8,463.9万kWとなっています。 中でも太陽光発電は、2024年末時点の累積導入量が7,730万kWに達し、最大のシェアを占めています。 2024年度の再生可能エネルギー比率は速報値で26.5%に達しました。

しかし、その一方で、国民負担も増加しています。2026年度の再生可能エネルギー賦課金単価は過去最高の4.18円/kWhに設定され、2026年5月検針分から適用されます。 これは、一般的な家庭(月間電力使用量400kWh)で年間約20,064円の負担増となる見込みです。 また、政府は2027年度から10kW以上の地上設置型事業用太陽光発電へのFIT/FIP制度による支援を打ち切る方針を示しており、今後の導入動向に影響を与える可能性があります。

新たな動きとして、明日2026年4月1日には「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る法律」が施行され、排他的経済水域(EEZ)内での洋上風力発電設備設置が可能になります。 これは、日本の再生可能エネルギー導入をさらに加速させるための重要な一歩となります。

2026年度の電力需給見通しと安定供給への取り組み

経済産業省は2026年3月27日、2026年夏の全国電力需給見通しを公表しました。 これによると、全エリアで10年に一度の厳しい暑さ(猛暑H1)を想定した電力需要に対し、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通しです。 特に、東京電力管内では9月の供給予備率が4.0%と最低ながらも、安定供給に必要な3%を上回る見込みであることが強調されました。

また、中東情勢の悪化を背景に、政府は2026年4月から1年間限定で、非効率な石炭火力発電の稼働率制限(原則50%以下)を解除する方針を決定しました。 これにより、年間約50万トンのLNG消費を節約できると試算されています。 さらに、2026年3月10日には、イラン情勢の緊迫化を受け、LNGの安定供給に向けた官民連携が確認されました。 これらの措置は、電力の安定供給を確保するための緊急的な対応として位置づけられています。

Reference / エビデンス