グローバルサウス:主要新興国の多角外交と政治的自律性

2026年3月30日、国際政治の舞台において「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国群の存在感がかつてないほど高まっている。これらの国々は、特定の超大国に依存しない多角的な外交戦略を展開し、自国の国益に基づいた政治的自律性の確立を追求している。その動きは、既存の国際秩序に大きな影響を与えつつある。

グローバルサウスの台頭と国際秩序への影響

グローバルサウス諸国は、国際会議や地域協力枠組みにおいてその存在感を顕著に増している。国際通貨基金(IMF)のデータによれば、世界のGDPに占めるグローバルサウスの割合は約4割に達し、日米欧の主要7カ国(G7)を上回る経済的影響力を持つ。また、人口においても世界全体の約7割を占めるという圧倒的な規模を誇る。

特に、ウクライナ危機を巡る国際社会の分断の中で、グローバルサウスの立ち位置は国際的な焦点となっている。多くのグローバルサウス諸国は、欧米諸国が主導する対ロシア制裁に同調せず、独自の外交路線を維持している。このことは、国際社会がもはや一枚岩ではないことを明確に示しており、既存の国際秩序に再編を促す動きとして注目される。なお、日本政府の見解に基づき、本稿では中国をグローバルサウスには含めないものとする。

主要新興国の多角外交戦略

グローバルサウスを構成する主要新興国グループは、特定の超大国への過度な依存を避け、複数の国や地域との連携を深める多角的な外交戦略を積極的に展開している。

東南アジア諸国連合(ASEAN)はその典型例であり、2026年の経済戦略を策定し、貿易・投資のシームレスな域内統合やデジタル市場の発展を目指している。 具体的には、ASEANカナダ自由貿易協定(FTA)やASEANインド物品貿易協定(AITIGA)改定の交渉を進めるほか、湾岸協力会議(GCC)とのFTA締結に向けた実現可能性調査も進めている。これらの動きは、ASEANが経済的自律性を高めつつ、多様なパートナーとの関係を構築しようとする強い意志を示している。

一方、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカに加えて新規加盟国を含む)もまた、国際的な影響力を拡大している。インドを議長国とするBRICSは、「人類第一」という新しいルール形成を提唱しており、既存の国際規範に対するオルタナティブな視点を提示している。 BRICS拡大を巡る協議も継続されており、加盟国間の相違は根強いものの、その動向は国際政治の多極化を象徴するものとして注目される。

アフリカ連合(AU)もまた、若者向けの外交シミュレーションを通じて、多国間外交、交渉、政策立案の実践的な経験を得る機会を提供しており、将来の外交官育成に力を入れている。

政治的自律性の追求と課題

グローバルサウス諸国は、経済的・政治的圧力に直面しながらも、自国の国益に基づいた政策決定を追求し、政治的自律性を維持しようと努めている。しかし、その道のりには多くの課題が伴う。

南米では、鉱物資源やエネルギー資源の管理を強化しようとする資源ナショナリズムの動きが高まっている。これは、自国の資源を自国の発展に最大限活用しようとする経済的自律性の追求の一環である。

ブラジルは、メルコスール・EU間のFTA交渉が決裂したことを受け、中国とのFTA締結へ舵を切る可能性を示唆している。これは、欧州との交渉が難航する中で、新たな経済パートナーを模索し、自国の経済的利益を最大化しようとする動きと見られる。

新興国経済は、原油高やリスクオフといった国際的な金融市場の変動に対して、その耐性が試されている。2026年の新興国債券市場の見通しは、米国の金融政策や世界経済の動向に左右される展開が予想される。 また、「米ドル離れ」への思惑は、新興国市場に新たな追い風をもたらす可能性も指摘されている。

アフリカ諸国は、世界貿易機関(WTO)閣僚会議の場で多角的貿易体制の再活性化を議論しており、国際貿易における自らの発言権を強化しようとしている。 一方で、南アフリカのG7招待取り消しといった外交的波紋は、グローバルサウス諸国が国際舞台で直面する複雑な力学と、政治的自律性を維持することの難しさを示唆している。

Reference / エビデンス