グローバルサウスにおける重要鉱物資源の権益争奪と国家間の連携:2026年3月の最新動向

2026年3月28日、世界は重要鉱物資源を巡る熾烈な権益争奪戦の渦中にあり、グローバルサウス諸国がその主戦場となっている。地政学的リスクの高まりとサプライチェーンの再編が加速する中、各国は資源確保と経済安全保障の確立に向け、新たな戦略と国際協力の枠組みを模索している。特に今月は、国際社会のルール形成、アフリカ諸国の台頭、日本の戦略的関与、そしてインドネシアの資源政策が注目すべき動きを見せた。

国際社会における重要鉱物資源争奪の激化と新たなルール形成

2026年3月上旬、国連は重要鉱物資源を巡る国際競争の公平性を呼びかけ、安全保障理事会で活発な議論が交わされた。これは、資源ナショナリズムの台頭と一部国家による囲い込みへの国際社会の懸念を反映している。これに先立つ2月4日には、米国が「2026年重要鉱物閣僚会合」を主催し、54カ国以上が参加して市場再構築の方針を打ち出した。この会合で特に注目されたのは、米国主導による「重要鉱物・複数国間貿易協定」の策定開始である。

この協定は、これまでの資源ビジネスの常識を大きく覆す可能性を秘めている。2026年3月1日の報道によれば、協定は最低価格設定や厳格な環境基準の導入を目指しており、これにより資源生産国、特にグローバルサウス諸国の交渉力が強化されると同時に、持続可能な資源開発が促進されると期待されている。しかし、一方で、これらの新たな基準が資源価格に与える影響や、既存のサプライチェーンに与える混乱も懸念されている。

また、2026年3月にOECDが公表した報告書は、中東情勢の悪化が主要国のインフレ予測に与える影響を指摘した。G20諸国のインフレ率は4%に達し、これは昨年12月時点の予測から1.2%高い水準である。このような地政学的リスクの高まりは、グローバルサウスにおける投資環境を一層不透明にし、重要鉱物資源の争奪戦に拍車をかける要因となっている。

アフリカにおける重要鉱物開発と国家間連携の進展

アフリカ大陸は、その豊富な重要鉱物資源ゆえに、国際的な権益争奪の最前線となっている。2026年3月23日、日本の伊藤忠商事とJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)は、南アフリカのプラチナグループメタル(PGM)鉱山であるプラットリーフ鉱山拡張プロジェクトへの追加投資を発表した。これは、日本がアフリカにおける重要鉱物資源の安定確保に向けた具体的な一歩と評価される。

また、ナイジェリア政府は3月22日、過去2年半で固体鉱物セクターに26億ドル以上の外国直接投資(FDI)を誘致したと発表し、アフリカ諸国が自国の資源開発に積極的に取り組んでいる姿勢を示した。

2月9日から12日に開催された「マイニング・インダバ2026」では、アフリカ諸国の存在感の高まりが鮮明になった。ザンビア大統領は、鉱業セクターの透明性確保と責任ある投資パートナーとしての地位を強調した。一方、コンゴ民主共和国の鉱山相は、米国との枠組みが具体的な案件に結び付かない場合、他のパートナーとの議論も辞さないと述べ、資源国としての主導権を主張した。さらに、サウジアラビアやUAEなどの湾岸諸国も、脱石油戦略の一環としてアフリカの鉱物資源への投資を拡大しており、アフリカにおける国家間連携の多様化が進んでいる。

日本の重要鉱物戦略と国際協力の強化

日本もまた、重要鉱物資源の安定確保に向けて多角的な戦略を展開している。3月19日、日米両政府は南鳥島周辺海域のレアアース泥を含む深海鉱物資源開発に関する協力覚書を締結し、サプライチェーン強靱化に向けた日米行動計画を策定した。これは、中国への依存度が高いレアアースの供給源を多様化し、経済安全保障を強化する上で極めて重要な合意である。

来たる4月1日には、高市総理とマクロン仏大統領が会談し、重要鉱物に関するロードマップに署名する予定であり、カレマグ・レアアース・プロジェクトにおける協力などが確認される見込みだ。

国内では、経済産業省が3月30日に「グローバルサウス未来志向型共創等事業」の令和7年度補正事業の公募を開始する予定であり、グローバルサウス諸国との連携強化を通じた資源確保を目指す。さらに、3月31日には三菱マテリアルが米国企業と重要鉱物リサイクルに関する協業覚書を結ぶ予定であり、資源の循環利用を通じた安定供給への貢献が期待される。これらの動きは、日本が重要鉱物資源の確保に向けて、開発からリサイクル、そして国際協力まで、包括的なアプローチを強化していることを示している。

インドネシアの鉱物資源政策と市場への影響

グローバルサウスの主要な資源国であるインドネシアの政策動向は、国際市場に大きな影響を与える。2月26日付の報道によると、インドネシア政府は2026年のニッケル鉱石生産量を、2025年の3億7,900万トンから約2億5,000万~2億6,000万トンに削減する方針を示した。この生産削減は、電気自動車(EV)需要の低下によるニッケル価格下落への対応であり、国内での加工・付加価値化を重視する「下流化」政策の一環である。

インドネシアは、鉱物資源の輸出を制限し、国内での精錬・加工を義務付けることで、自国の産業育成と雇用創出を目指している。この「下流化」政策は、ニッケルだけでなく、他の重要鉱物にも適用される可能性があり、国際的なサプライチェーンに構造的な変化をもたらす可能性がある。3月27日に公開されたインドネシアの石炭政策に関する動画も、同国の資源管理戦略が国際的なサプライチェーンに与える影響を考察する上で重要な情報源となる。

グローバルサウスにおける重要鉱物資源を巡る権益争奪と国家間の連携は、今後も国際政治経済の主要なテーマであり続けるだろう。各国が自国の利益を追求しつつ、いかに持続可能で公平な資源供給体制を構築できるかが問われている。

Reference / エビデンス