北米:連邦インフラ投資計画の予算配分と執行状況
2026年3月26日、北米における連邦インフラ投資計画は、その最終年度を迎えつつも、依然として経済活動と建設市場に大きな影響を与えています。連邦インフラ投資・雇用法(IIJA)は、総額1.2兆ドルの投資と5,500億ドルの新規投資を掲げ、2026年9月30日の期限に向けてその執行状況が注目されています。本稿では、最新の数値データと政策動向に基づき、その詳細を分析します。
連邦インフラ投資・雇用法(IIJA)の全体像と2026年の展望
2021年に成立した連邦インフラ投資・雇用法(IIJA)は、米国史上最大規模のインフラ投資計画として、道路、橋梁、公共交通機関、ブロードバンド、水インフラなど多岐にわたる分野への投資を促進してきました。2026年9月30日に期限を迎えるこの法律は、総額1.2兆ドルの投資を約束し、そのうち5,500億ドルが新規投資として充てられています。
2026会計年度における連邦高速道路局(FHWA)の予算要求額は726億ドルに上り、インフラ整備への継続的なコミットメントを示しています。建設市場の予測では、高速道路・橋梁建設が2025年比で3%増の1,455億ドルに達すると見込まれており、IIJAの資金が市場の成長を牽引していることがうかがえます。
予算配分と執行状況の最新データ
2026年1月31日時点でのIIJAによる総配分額は5,680億ドルに達し、そのうち2,750億ドルが義務付けられています。これにより、68,000件以上のインフラプロジェクトに資金が提供されてきました。
米国運輸省(DOT)が2026年1月31日時点で発表したデータによると、IIJA関連の予算執行額は4億9,609万1,651ドル、交付決定額は4億9,019万2,573ドル、義務付け額は3億6,025万6,188ドル、支出額は2億1,367万1,163ドルとなっています。義務付け率は72.62%、支出率は43.07%であり、資金の着実な執行が進められていることが示されています。
主要分野への投資と政策動向
2026年3月26日前後にも、インフラ投資を加速させるための具体的なプログラムが発表されています。例えば、2026年3月27日には「FY26 Safe Streets and Roads for All NOFO」が発表され、道路安全の向上に向けた資金提供が開始されます。また、2026年3月19日には「FY25 Tribal Transportation Program Safety Fund (TTPSF) Awards」が発表され、部族地域の交通安全プログラムへの資金提供が決定されました。
一方で、政策の調整も進んでいます。2026会計年度の支出法案では、電気自動車充電プログラム(NEVI)が約8億7,900万ドルの削減を受けました。さらに、2026年1月23日の連邦裁判所の判決では、DOTと連邦高速道路局(FHWA)がNEVIプログラムの資金凍結を不法に行ったとされ、今後のプログラム運営に影響を与える可能性があります。
州レベルのインフラ投資と製造業の貢献
連邦政府の取り組みに加え、州レベルでも大規模なインフラ投資が活発化しています。2026会計年度には、ニューヨーク州がメトロポリタン交通局に684億ドル、テキサス州が水供給計画に200億ドル、フロリダ州が道路・橋梁等に151億ドルを投じる計画を発表しており、各州が独自のインフラ整備を進めている状況がうかがえます。
また、製造業の復活もインフラ支出を後押ししています。2025年1月から9月にかけて、半導体、電子機器、医薬品分野を中心に、米国での生産能力拡大に1.2兆ドル以上の民間投資計画が発表されました。特に、TSMCは2025年3月に米国事業に1,000億ドルの追加投資を発表し、総額1,650億ドルとすることで、国内製造業の強化に貢献しています。
財政的課題と将来の政策見通し
インフラ投資が進む一方で、連邦財政の課題も浮上しています。2026会計年度の連邦財政赤字は1兆8,530億ドル(GDPの5.8%)に達すると予測されており、財政健全化への圧力が強まっています。
ホワイトハウスは2026会計年度の予算教書で、IIJAに基づくエネルギー省(DOE)の再生可能エネルギーおよび二酸化炭素除去関連の150億ドル以上の基金廃止を提案しており、今後のエネルギー政策の方向性にも影響を与える可能性があります。さらに、2026年1月13日の連邦裁判所の判決では、DOEが2024年大統領選挙の投票パターンに基づいて75億ドル以上の環境プロジェクト助成金を終了させたことが憲法違反とされ、今後の資金配分における透明性と公平性がより一層求められることになります。
Reference / エビデンス
- Final Year of IIJA Funding Raising Industry's Optimism in 2026 - Ohio Contractor Magazine
- IIJA Expiration 2026: Infrastructure Funding Cliff Risks for Construction
- IIJA Expiration 2026: Infrastructure Funding Cliff Risks for Construction
- Infrastructure Investment and Jobs Act (IIJA) Funding Status - Department of Transportation
- IIJA Expiration 2026: Infrastructure Funding Cliff Risks for Construction
- Infrastructure Investment and Jobs Act (IIJA) - Federal Highway Administration
- Recent Rulings Confirm Procedural Safeguards for U.S. Energy Infrastructure - Jones Day
- States fund massive capital projects for infrastructure in 2026 - Government Market News
- 製造業の復活が米国のインフラ支出を推進 | Global X Japan
- Recent Rulings Confirm Procedural Safeguards for U.S. Energy Infrastructure - Jones Day
- 米国ホワイトハウス、2026会計年度の予算教書でDAC等への基金を廃止する提案
- 米国の財政赤字は、2026年には1兆8530億ドルに達すると予測されている。 - Vietnam.vn