北米:連邦債務上限の現状と財政の推移(2026年3月)

2026年3月26日、北米(主に米国)における連邦債務上限問題は、2025年7月の法案成立により当面の危機は回避されているものの、連邦債務と財政赤字は加速的に増加しており、金利費用の増大が財政の持続可能性に深刻な影響を与えています。この期間の経済見通しは底堅いものの、インフレ圧力と「K字型経済」の継続が指摘されており、金融政策は慎重な姿勢を維持しています。

連邦債務上限の現状と政治的背景

2025年7月に成立した「One Big Beautiful Bill Act」により、米国の連邦債務上限は41.1兆ドルに引き上げられ、次の債務上限問題が表面化するのは2027年まで猶予がもたらされました。この法案自体が今後10年間で連邦債務に推定3.4兆ドルを追加するとCBO(議会予算局)は見込んでいます。

過去の債務上限を巡る政治的攻防は、金融市場に混乱をもたらし、米国債の格下げといった事態も引き起こしてきました。 こうした状況を受け、2025年4月末には米国財務省の借入助言委員会(TBAC)が、債務上限制度そのものの廃止を提言する議論を行いました。

加速する連邦債務と財政赤字の動向

米国の国家債務総額は、2026年3月26日時点で約38.99兆ドルに達しています。 さらに、3月31日には約39.065兆ドルにまで増加しました。 2026年3月4日時点での国家債務総額は38.86兆ドルであり、前年比で2.64兆ドル増加しています。 これは過去1年間で1日あたり平均72.3億ドルのペースで増加していることを示しています。

CBOの予測によると、2026会計年度の連邦財政赤字は1.9兆ドルに達し、対GDP比で5.8%に相当すると見込まれています。 また、2026年から2035年までの累積赤字は、2025年1月のCBO予測よりも1.4兆ドル(6%)増加するとされています。 さらに、相互関税の撤回により、2036年度までの米財政赤字が合計で2兆ドル(約320兆円)増加する見通しです。

金利費用と財政の持続可能性への影響

連邦債務の急増に伴い、金利費用の増大が財政の持続可能性に深刻な影を落としています。2026会計年度の純金利費用は対GDP比で3.3%を占めると予測されており、歳出の13.85%に達する見込みです。 2026年2月時点での市場性のある国家債務の平均金利は3.355%であり、前年比で上昇しています。 この金利上昇は、債務返済費用に大きな影響を与えています。

2026年には国債の利息コストが初めて1兆ドルを超えると予測されており、CBOは米国の国家財政が「持続不可能な道」を歩んでいると警鐘を鳴らしています。

2026年3月時点の経済見通しと金融政策

2026年3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利が3.5~3.75%に据え置かれ、年内の利下げ回数見通しが維持されました。 2026年の米国経済は底堅く推移する見込みであるものの、高所得層の消費やAI関連投資が景気を支える一方で、低・中所得層の消費や非AI分野の投資が低迷する「K字型経済」の構図が継続する可能性が高いと指摘されています。 2026年2月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%(3か月前比年率)と、FRBの目標を上回る推移となっています。

政治面では、トランプ政権が2027会計年度の予算教書を発表し、国防費の大幅増額と非国防費の削減を要求しました。

Reference / エビデンス