日本:2026年度資産課税および相続税制改正の政治的推移と主要な変更点

2026年3月23日、日本の税制は歴史的な転換点を迎えようとしている。本日、国会では2026年度税制改正法案の審議が大詰めを迎えており、3月13日に衆議院を通過した同法案は、3月31日には参議院での可決・成立が見込まれている。この改正は、物価高への対応、強い経済の実現、そして税負担の公平性確保を主要な目的としており、特に資産課税や相続税制において重要な変更が加えられることになる。

2026年度税制改正の政治的背景と成立プロセス

2026年度税制改正の議論は、2025年12月19日に与党である自由民主党と日本維新の会が税制改正大綱を決定したことに始まる。 その後、2025年12月26日に閣議決定され、2026年2月20日に国会に提出された。 法案は3月13日に衆議院を通過し、現在、参議院で審議が進められている状況だ。 この改正の背景には、長期化する物価高への対応に加え、日本経済の持続的な成長を促す「強い経済」の実現、そして税負担の公平性を確保するという政府の強い意志がある。

資産課税の見直し:貸付用不動産と不動産小口化商品の評価方法変更

今回の税制改正で特に注目されるのが、貸付用不動産および不動産小口化商品の相続税評価方法の見直しである。この変更は、2027年1月1日以降に発生する相続等から適用される予定だ。 新たなルールでは、相続開始前5年以内に取得した貸付用不動産について、従来の評価方法ではなく、「通常の取引価額に相当する金額」で評価されることになる。具体的には、取得価額の80%が評価額の目安とされている。 これまでの評価方法では、例えば1億円のアパートが相続税評価額で約4,900万円と評価されるケースがあったが、新ルールが適用されると、取得価額の80%である8,000万円で評価され、約3,100万円の評価増となる可能性がある。 この変更は、相続税対策として貸付用不動産を活用してきた資産家や不動産投資家に対し、大きな影響を与えることが予想される。

事業承継税制と教育資金一括贈与の動向

事業承継税制においては、特例承継計画の提出期限が2026年3月31日から2027年9月30日まで延長されることになった。 また、個人事業者の事業承継計画の提出期限も2年6ヶ月延長される。 これは、中小企業の円滑な事業承継を支援するための措置であり、後継者不足に悩む事業者にとっては朗報と言えるだろう。一方で、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年3月31日をもって終了し、延長されない方針が明確にされた。 この制度は、子や孫への教育資金の贈与を促す目的で導入されたが、富裕層の節税策として利用されるケースも指摘されており、今回の終了は、贈与税制の公平性確保に向けた動きの一環と見られている。

相続税・贈与税一体化の進展と富裕層課税の強化

相続税と贈与税の一体化に向けた動きは、2026年度税制改正以前から進められてきた。2023年度税制改正では、暦年贈与における生前贈与加算期間が3年から7年に延長され、2024年1月1日から適用されている。 また、相続時精算課税制度には、年110万円の基礎控除が新たに設けられた。 そして、今回の2026年度税制改正では、「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し」、いわゆるミニマム課税の強化が予定されている。 これは、対象となる基準所得金額の引き下げと税率の引き上げを伴い、2027年分の所得税から適用される見込みだ。 これらの措置は、富裕層に対する課税を強化し、税負担の公平性をさらに追求する政府の姿勢を明確に示すものであり、資産家層は今後の資産運用や相続対策において、より一層の戦略的な検討が求められることになるだろう。

Reference / エビデンス