グローバルサウス:地域経済共同体の発展と貿易障壁の推移

2026年3月23日、世界経済におけるグローバルサウスの存在感は一層高まりを見せています。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)やASEAN経済共同体(AEC)といった主要な地域経済共同体は、統合深化に向けた具体的な進展を見せる一方で、国際貿易環境の変化や地政学的な課題に直面しています。本稿では、2026年3月前後の最新動向に焦点を当て、地域経済統合の進展と貿易政策における継続的な課題を多角的に分析します。

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の進展と課題

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、人口約15億人、GDP規模3兆ドルの巨大経済圏を形成し、その潜在力に注目が集まっています。2026年3月9日に開催された「AfCFTA合同セミナー」では、最新の動向が共有されました。国連貿易開発会議(UNCTAD)が2025年2月に発表した報告書では、AfCFTAが3兆4,000億ドルの市場を創出する可能性が指摘されており、域内貿易の活性化への期待が高まっています。

統合に向けた具体的な動きとして、2026年2月のアフリカ連合(AU)総会では、自動車分野の原産地規則が承認されました。これにより、40%以上のアフリカ産材料を含むことでアフリカ原産と認められることになり、域内での生産・供給体制の強化が期待されます。現在までに50カ国が批准書を寄託しており、AfCFTAの法的基盤は着実に強化されています。

しかし、AfCFTAの道のりは平坦ではありません。政治的課題、多額の債務、不均衡な貿易、そして金融アクセス不足といった構造的な課題が依然として存在し、これらが域内統合のさらなる深化を阻む要因となっています。これらの課題への対応が、AfCFTAの真の成功には不可欠です。

ASEAN経済共同体(AEC)の戦略と貿易円滑化

ASEAN経済共同体(AEC)は、世界第4位の経済圏を目指し、2026年3月に開催予定のASEAN経済大臣会合に提出される2026年の経済戦略を策定しました。この戦略は、貿易・投資のシームレスな域内統合深化、デジタル市場の発展、中小零細企業(MSME)の能力強化、グリーン経済への移行加速、クリエイティブ経済の推進という5つの柱から構成されており、持続的な成長と競争力強化を目指しています。

貿易円滑化の進展も顕著です。2025年末で終了したAEC2025の実行率は87%に達し、域内統合が着実に進められてきたことが示されました。特に、2018年にはカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV)諸国に残存していた7%の関税が撤廃され、域内貿易の障壁が大幅に低減されました。

また、2026年2月25日から27日に開催された第49回ASEAN経済統合ハイレベルタスクフォース(HLTF-EI 49)では、2025年のASEAN経済成長率が4.5%(2024年は4.8%)と推定され、商品貿易総額が3兆2,000億米ドルに達すると予測されました。ASEANカナダFTAおよびASEANインド物品貿易協定(AITIGA)改定交渉も進展しており、特にAITIGAは進捗率44.8%と報告されています。

主要国の貿易政策とグローバルサウスへの影響

主要国の貿易政策は、グローバルサウスの経済統合と貿易環境に大きな影響を与えています。2026年3月2日に米国通商代表部(USTR)が公表した「2026年の通商政策課題と2025年の年次報告」では、「米国第一」の通商政策が継続されることが示されました。2025年には、米国の財・サービス輸出が6.2%増加し、過去最高の3.4兆ドルに達した一方で、対中財貿易赤字は32%減少しました。

しかし、米国の貿易政策には不確実性も存在します。2026年2月には、米国最高裁判所が2025年に導入された多くの関税の法的根拠を無効にする判断を示しました。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しに向けたメキシコとの協議が3月16日の週に開始される予定であり、今後の動向が注目されます。

一方、中国は2026年3月に採択された第15次五カ年計画で、グローバルサウスとの経済関係深化を打ち出しており、その影響力は拡大する見込みです。南米では、メルコスールとEUの自由貿易協定(FTA)交渉が事実上決裂し、ブラジルが中国とのFTA締結へ舵を切る可能性が2026年2月1日に示唆されるなど、地政学的な変化が貿易障壁の動向に影響を与えています。

日本とグローバルサウスの連携強化

日本もグローバルサウスとの連携強化に積極的に取り組んでいます。経済産業省は「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」の二次公募を2026年3月27日に締め切り、同日には9件の事業が採択されたことが発表されました。

自由民主党も2026年3月27日に「グローバルサウス諸国との連携強化」の重要性を強調しており、政府・与党一体となった取り組みが進められています。

経済界もこの動きに呼応しており、経団連は2026年1月8日に公表した提言「グローバルサウスとの連携強化に向けて」の中で、食料・資源・エネルギーの安定供給確保やサプライチェーン強靭化の観点から、グローバルサウスとの連携が不可欠であると指摘しています。

Reference / エビデンス