グローバルサウスにおける重要鉱物資源の権益争奪と国家間連携の最新動向(2026年3月)
2026年3月22日、世界は重要鉱物資源を巡る新たな地政学的競争の渦中にあります。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー技術の普及が加速する中、これらの技術に不可欠なコバルト、リチウム、ニッケルといった重要鉱物資源の需要は急増し、その権益確保に向けた国際的な争奪戦が激化しています。特に、豊富な資源を擁するグローバルサウス諸国は、その戦略的価値を高め、国際社会における存在感を増しています。
グローバルサウスの重要鉱物資源を巡る国際情勢の緊迫化
2026年3月上旬、グローバルサウス地域における重要鉱物資源の戦略的価値の高まりと、それを取り巻く地政学的競争の激化が、国際社会の主要な議題となりました。3月5日には国連安全保障理事会でこの問題に関する議論が行われ、重要鉱物資源が世界のサプライチェーンと経済安全保障に与える影響について深く掘り下げられました。また、米国は3月4日に「2026年重要鉱物閣僚会合」の開催を発表し、重要鉱物市場の再構築に向けた国際的な連携を呼びかけました。この会合は、電気自動車や再生可能エネルギー技術の普及に伴う需要急増が、いかに権益争奪を加速させているかを浮き彫りにするものでした。
主要国による重要鉱物サプライチェーン確保戦略
米国、日本、EUなどの主要国は、中国への依存を低減し、重要鉱物サプライチェーンの強靭化を図るための具体的な取り組みを加速させています。2026年3月20日には、日米両政府が重要鉱物供給網強化に向けた13のプロジェクトを公表しました。これらのプロジェクトは、価格下限措置の導入検討を含め、安定供給確保のための多角的なアプローチを示すものです。 米国はさらに、アルゼンチン、エクアドルなど11カ国と二国間重要鉱物枠組みを締結し、供給源の多様化を進めています。 カナダもまた、3月2日に重要鉱物分野での新たなパートナーシップ30件を発表し、国際的な協力体制の構築に貢献しています。
グローバルサウス諸国の資源ナショナリズムと国内加工強化の動き
グローバルサウス諸国は、自国の資源から最大限の利益を引き出すため、資源ナショナリズムを強め、国内での付加価値化を目指す動きを活発化させています。コンゴ民主共和国(DRC)では、コバルトの輸出規制が強化されており、2026年3月21日時点では実質的に輸出が停止されています。また、2025年の輸出割当の消化期限が2026年3月31日まで延長されており、国際市場に大きな影響を与えています。 インドネシアは、2026年2月11日にニッケル生産削減計画を示唆し、3月16日時点でもその動向が注目されています。これにより、ニッケル価格は反発を継続しています。 チリでは、リチウムの国有化戦略が進められており、3月26日には塩湖でのリチウム開発区分と官民開発体制の枠組みが発表される予定です。 2026年3月のチリの貿易黒字拡大においても、リチウム炭酸塩の寄与が注目されています。 これらの動きは、重要鉱物資源の国際市場における供給構造を大きく変える可能性を秘めています。
アフリカにおける重要鉱物投資と地域連携の進展
アフリカ大陸は、その豊富な重要鉱物資源により、世界の注目を集めています。2026年2月9日から12日に開催された「マイニング・インダバ2026」では、コンゴ民主共和国をはじめとするアフリカ資源国の存在感が一層高まりました。 ナイジェリアは、2026年3月22日までに26億ドル以上の外国直接投資を鉱物セクターに誘致するなど、積極的な投資促進策を展開しています。 また、2026年3月23日には、伊藤忠商事とJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)が南アフリカのPGM(白金族金属)鉱山への追加投資を発表する予定であり、日本企業のアフリカにおける重要鉱物開発への関与が深まっています。 脱石油を進める湾岸諸国も、アフリカの鉱物資源への関心を高めており、新たな投資と地域連携の動きが活発化しています。
日本の重要鉱物資源確保に向けた戦略と課題
日本政府および企業は、重要鉱物資源の安定供給確保を国家戦略の柱として位置づけ、多角的なアプローチを進めています。前述の2026年3月20日の日米間の13プロジェクト合意に加え、3月23日には日豪連携による重要鉱物供給網強化の動きが発表される予定です。 経済産業省は、グローバルサウス諸国との連携を強化するため、3月30日に「グローバルサウス未来志向型共創等事業」の公募事前周知を行う予定であり、新たな国際協力の枠組みを模索しています。 また、南鳥島でのレアアース泥開発においては、2026年3月に日米協力が合意され、深海資源開発における日本の技術力が注目されています。 さらに、リサイクル事業への投資も加速しており、三菱マテリアルは2026年3月31日に米リエレメントとの間でレアアースなど重要鉱物のリサイクル事業での協業を開始する予定です。 これらの取り組みは、日本の経済安全保障と産業競争力強化に不可欠な要素となっています。
Reference / エビデンス
- グローバルサウスの重要鉱物争奪と国家戦略:供給網再編の最新動向 - Vantage Politics
- 米国、重要鉱物市場再構築へ「2026年重要鉱物閣僚会合」を開催 - CRDS
- 米国、重要鉱物市場再構築へ「2026年重要鉱物閣僚会合」を開催 - CRDS
- 【速報】日米両政府は重要鉱物の供給網強化に向けた13プロジェクトを公表した - 時事通信
- 日米、重要鉱物の供給網強化に行動計画 価格下限の導入に焦点 - ニューズウィーク
- 米国主導の「重要鉱物・複数国間貿易協定」が意味するもの覇権を巡る資源ルールの激変と日本企業への影響 - 株式会社ロジスティック
- 加:連邦政府、重要鉱物分野で30件の新たなパートナーシップを締結 - JOGMEC JOURNAL
- CFIEC国際経済ウェビナー(2026/03/25)「変容するレアアース供給網 ― 日本と米国の動向とビジネスへの含意」 - YouTube
- 中国によるレアアースの輸出規制 -各国の対応と今後の視座-(2026年4月) - PwC
- 【2026年3月22日】アフリカ関連重要ニュース|コーヒーと万年筆 - note
- DRC Extends Use of 2025 Cobalt Export Quotas to End-March 2026 - Ecofin Agency
- Congo gives cobalt miners until end-April to use 2025 export quotas | Kitco News
- コバルト市場近況2026#3 膠着、コンゴ輸出割当を消化 最終需要の弱さを意識 - MIRU
- インドネシアが鉱山生産削減を示唆したことを受け、ニッケル価格は反発継続 - FastBull
- SunSirs : インドネシアが世界最大の鉱山の割当を削減し、ニッケル価格が高騰
- 2026年3月、チリの貿易黒字が拡大 - 経済指標 | JA | TRADINGECONOMICS.COM
- 銅とアルミニウムの暴騰に続き、ついにニッケルの番か? インドネシアが減産計画を発表
- インドネシア政府、世界最大のニッケル鉱山に大幅生産削減を指示 - Yahoo!ファイナンス
- チリのリチウム産業に関する最新情報:ボリッチ大統領の計画は国有化と呼べるものではない
- 世界の26年ニッケル需給/17万3000トン供給過剰/インドネシアの増産ペース鈍化、余剰幅縮小/住友金属鉱山予測 | 日刊鉄鋼新聞 Japan Metal Daily
- 塩湖でのリチウム開発区分と官民開発体制の枠組み公表(チリ) | ビジネス短信 - ジェトロ
- 【2026年3月24日】アフリカ関連重要ニュース|コーヒーと万年筆 - note
- 【2026年3月23日】アフリカ関連重要ニュース|コーヒーと万年筆 - note
- 「マイニング・インダバ2026」開催、アフリカ資源国の存在感高まる(コンゴ民主共和国 - ジェトロ
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- 【速報】日米両政府は重要鉱物の供給網強化に向けた13プロジェクトを公表した - 時事通信
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- 重要鉱物 (METI/経済産業省)
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- CFIEC国際経済ウェビナー(2026/03/25)「変容するレアアース供給網 ― 日本と米国の動向とビジネスへの含意」 - YouTube
- 経済産業省の経済協力
- 提言「グローバルサウスとの連携強化に向けて」を公表 (2026年1月8日 No.3712) - 経団連
- 南鳥島周辺のレアアース泥の開発、アメリカと協力で合意へ…日米首脳会談に合わせ覚書結ぶ方向