グローバル:国際海洋法を巡る領有権主張と政治的対立(2026年3月22日時点)

2026年3月22日、世界の海洋は依然として領有権主張と地政学的対立の舞台となっている。特にホルムズ海峡での緊迫した状況、南シナ海および東シナ海における継続的な紛争は、国際海洋法の枠組みにおける主要な課題を浮き彫りにしている。一方で、新たな海洋生物多様性条約の発効は、国際秩序における重要な進展として注目されている。

ホルムズ海峡危機:国際航行の自由と地政学的緊張

2026年3月19日から21日にかけて、世界の主要な原油輸送路であるホルムズ海峡で軍事衝突が発生し、国際社会に深刻な懸念が広がっている。イランは事実上の海峡封鎖に踏み切り、国際航行の自由が著しく阻害される事態となった。これに対し、日本、イギリスを含む6カ国の首脳は3月20日、共同声明を発表し、イランによる「封鎖」を強く非難した。

この危機は、国際法上の複雑な問題を提起している。ホルムズ海峡は国際海峡であり、国連海洋法条約に基づき、すべての船舶が通過通航権を有する。しかし、イランは自国の安全保障を理由に、この権利を制限しようとしていると見られている。この状況は、世界経済、特にエネルギー供給に壊滅的な影響を及ぼす可能性があり、原油価格は高騰を続けている。

3月21日には、イラン政府が日本船舶の通行に関して特定の条件を提示する発言を行ったと報じられた。これは、国際法上の通過通航権を無視するものであり、実務上の混乱とリスクを増大させている。国際社会は、イランに対し、国際法を遵守し、航行の自由を確保するよう強く求めている。

南シナ海における領有権紛争の常態化と国際社会の対応

南シナ海では、中国による広範な領有権主張と、フィリピンをはじめとする周辺国との対立が常態化している。2024年後半から2026年1月にかけて、中国海警局による巡回活動が大幅に増加し、フィリピンの排他的経済水域内での活動が頻繁に確認されている。これにより、中国とフィリピンの間で複数の衝突事例が発生しており、地域の緊張が高まっている。

中国は、歴史的権利を主張し、南シナ海のほぼ全域に及ぶ「九段線」を根拠に領有権を主張しているが、これは国際法上の根拠を欠くとされている。フィリピンは、2016年の常設仲裁裁判所の判断を盾に、中国の主張を退けている。

こうした中国の威圧的な行動に対し、国際社会は強い懸念を表明している。日本も、法の支配に基づく自由で開かれた国際海洋秩序の維持を重視し、フィリピンとの連携を強化している。米国やオーストラリアなども、南シナ海の航行の自由と上空飛行の自由を支持し、中国の行動を牽制する動きを見せている。

東シナ海における海洋境界画定と資源開発問題

東シナ海においても、日本、中国、韓国の間で海洋境界が未画定のままであり、特に中国による一方的な資源開発の動きが問題となっている。中国は、日中中間線の中国側でガス田開発を進めているが、その一部は中間線を越えて日本の排他的経済水域の資源を吸い上げている可能性が指摘されている。

2025年8月には、中国が東シナ海の日中中間線付近で新たな構造物を設置したことが確認され、日本政府はこれに対し強く抗議した。このような一方的な開発活動は、国際法上の「自制義務」に反するものであり、海洋境界画定交渉の進展を阻害する要因となっている。日本は、中国に対し、国際法に基づいた海洋境界画定交渉に応じるよう繰り返し求めている。

国際海洋法秩序の進展:BBNJ協定の発効

一方で、国際海洋法秩序における重要な進展として、「国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)協定」が2026年1月17日に発効した。この協定は、公海と国際海底区域における海洋生物の保護と持続可能な利用を目的としており、地球の海洋生態系保全に大きく貢献すると期待されている。

BBNJ協定は、海洋保護区の設定、海洋遺伝資源の利用と利益配分、環境影響評価の実施、能力構築と技術移転などを柱としている。この協定の発効は、国連海洋法条約を補完し、地球規模での海洋ガバナンスを強化する画期的な一歩と評価されている。

協定の発効を受け、2026年3月23日から4月2日にかけて、締約国会議が開催された。この会議では、協定の具体的な実施枠組みや今後のロードマップについて議論が行われ、国際社会が協力して海洋環境保護に取り組む姿勢が示された。

Reference / エビデンス