グローバル:国際法人税ルールの策定と多国籍企業の動向(2026年3月24日時点)

2026年3月24日、国際社会はグローバル・ミニマム税(BEPS 2.0の第2の柱)の導入に向けた動きを加速させており、多国籍企業は新たな税務環境への適応を迫られています。各国での法制化の進展や、米国企業の適用除外に関する合意、そしてアジア地域における租税協定ネットワークの拡大など、国際法人税制はかつてない変革期を迎えています。

グローバル・ミニマム税(第2の柱)の導入状況と各国の動向

グローバル・ミニマム税(第2の柱)は、多国籍企業の利益に対し最低15%の法人税を課すことを目的としており、2026年3月24日現在、145を超える国・地域がこの国際合意に参加しています。特に注目されるのは、2026年1月5日に合意された米国企業の適用除外に関する「サイド・バイ・サイド」協定です。これは、米国企業が米国の税制に基づいて最低税率を支払っている場合、グローバル・ミニマム税の適用対象外となることを認めるもので、米国のベッセント財務長官はこの合意を歓迎する声明を発表しました。

日本においては、2026年度税制改正において、グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置が講じられています。具体的には、低税率支払規則(IIR)と適格国内最低追加課税(QDMTT)が、2026年4月1日以降に開始する会計年度から適用される予定です。これにより、日本の多国籍企業は新たな税務コンプライアンスへの対応が求められます。

他の国々でも導入に向けた動きが活発化しています。イスラエル財政部は、OECDの国際税制改革原則第2の柱に基づき、2026年から多国籍企業にグローバル・ミニマム税を課すことを発表しました。また、PwC Japanグループは2026年3月6日に「グローバル・ミニマム課税に係る実務対応ガイド」を発行し、企業が直面する実務上の課題と対応策について詳細な情報を提供しています。KPMGも2026年3月2日、2026年3月期決算における税務上の留意事項を発表し、企業が期末に向けて準備すべき事項を明確にしました。

多国籍企業の税務戦略とコンプライアンスへの影響

グローバル・ミニマム税の導入は、多国籍企業の税務戦略とコンプライアンス体制に大きな影響を与えています。企業は、新たな税制に対応するため、既存の税務計画の見直しや、より高度なデータ管理システムの導入が急務となっています。

移転価格税制の分野では、多国籍企業向けICAP(国際協調事前確認制度)の活用が注目されています。これは、複数の税務当局間で移転価格に関する事前確認を行うことで、将来的な税務リスクを軽減する制度です。米国では、IRSのAPMA(事前確認制度プログラム)による2025年度APA(事前確認制度)統計値が2026年3月後半に公表される予定であり、今後の移転価格戦略を策定する上で重要な情報となるでしょう。

また、租税協定ネットワークの進展も多国籍企業の税務計画に影響を与えています。香港は、2026年3月23日にキルギス共和国と、3月19日にはバルバドスと包括的租税協定を締結しました。これらの二重課税防止協定(DTA)の拡大は、香港を拠点とする多国籍企業にとって、税務上の不確実性を低減し、国際的な事業展開を円滑にする上で重要な意味を持ちます。

多国籍企業は、これらの国際的な税制改革の動向を注視し、専門家のアドバイスを受けながら、税務戦略とコンプライアンス体制を継続的に強化していく必要があります。

Reference / エビデンス