2026年3月、多極化する国際秩序とグローバルサウスの挑戦
中国、「第15次五カ年計画」でグローバルサウスとの連携を強化
2026年3月13日、中国外交部の郭嘉昆報道官は定例記者会見において、中国の「第15次五カ年計画」(2026-2030年)が国際社会、特にグローバルサウス諸国に対し安定的な期待と有益な経験を提供すると強調し、中国が世界経済成長の安定した力となると述べました。中国は、2023年7月の高レベル会議で、自らを「世界最大の発展途上国」であり「グローバルサウス陣営の構成員」と位置づけており、多極化する国際秩序における影響力拡大を目指す姿勢を示しています。
同時期、中国は地域外交における具体的な動きも活発化させています。3月13日には、中越外交・国防・公安「3+3」戦略対話メカニズム初の閣僚級会議および中越二国間協力指導委員会第17回会議の開催が発表されました。また、同日、孫衛東副部長はブルネイとマレーシアの駐中国大使と会見し、中国の「第15次五カ年計画」が周辺国に広範な協力機会をもたらすとし、両国との戦略的連携深化と「一帯一路」の質の高い共同建設を推進する意向を示しました。さらに、中国は米国による台湾への武器売却や一方的な関税措置に対し反対する立場を改めて表明しており、政治的自律性を示す要素となっています。
中東情勢の悪化、グローバルサウスに広がる影響と多国間協力の必要性
中東情勢の悪化は、グローバルサウス諸国に人道・経済的な広範な影響を及ぼしています。2026年3月12日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、イラン国内で約320万人が避難を余儀なくされていると発表しました。これは、2026年2月28日にイスラエルと米国がイランへの攻撃を開始したことに起因するものです。
この地域全体の不安定化は、グローバルサウス諸国の政治的自律性を脅かすとともに、国際社会、特に多国間協力の枠組みを通じた対応の喫緊性を浮き彫りにしています。
インドの多角外交:BRICS議長国とAI分野での「第三極」戦略
インドは2026年のBRICS議長国を務めており、「回復力、革新、協力、持続可能性のための構築」をテーマに、グローバルサウスの声を反映した多国間主義を推進しています。このビジョンは、経済的、健康、地政学的な世界的ショックに耐える集団的強度の向上(回復力)、デジタル公共インフラ、フィンテック、AI、新興技術の推進(革新)、BRICS諸国間の政治的・安全保障的・経済的関係の強化(協力)、気候変動対策、再生可能エネルギー、公正な開発の促進(持続可能性)の4つの柱に基づいています。2026年1月には、インドの外務大臣が包括性、対話、共有された進歩を象徴するロゴとテーマを発表し、グローバルサウス志向のリーダーシップを強調しました。BRICSは2024年からアラブ首長国連邦、イラン、エジプト、エチオピア、インドネシアが加わり、現在の加盟国は10カ国に拡大しています。
インドはAI分野においても独自の外交戦略を展開しており、2026年2月16日から21日にかけてニューデリーで開催された「インドAIインパクト・サミット」は、グローバルサウスで開催される初の大規模AI国際会議として注目を集めました。このサミットにおいて、インドは米中とは異なる「第三極」としてのAI外交戦略を打ち出し、包括的で持続可能かつ人権を尊重するAI技術の開発と、低所得層まで包摂するAIの活用を強調しました。これは、グローバルサウスの政治的自律性と技術的リーダーシップの追求を示すものです。
主要新興国の内政課題と国際社会への影響
主要新興国は、国際社会における自らの立ち位置を確立しようとする一方で、内政上の課題にも直面しています。南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は2026年2月12日、施政方針演説(SoNA)を行い、急速に変化する世界情勢の中で国内改革を加速させる必要性を強調しました。演説では、包括的な成長と雇用創出、貧困削減、有能・倫理的・発展的な統治を主要な優先事項として挙げ、インフラの近代化と官民連携の重要性を強調しました。
ブラジルでは、2026年10月に大統領選挙が予定されており、現職のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領と右派候補が対抗すると見込まれています。この選挙を巡る議論の焦点は「財政への対応」であり、ルーラ大統領の拡張的な財政政策が財政負担を増大させ、経済に悪影響を与える可能性が懸念されています。これらの動向は、主要新興国が国内の安定と発展を追求しつつ、国際社会における自らの影響力を拡大する中で直面する複雑な課題を示しています。
Reference / エビデンス
- 2026年3月13日外交部发言人郭嘉昆主持例行记者会_中华人民共和国外交部 2026年3月13日、中国外交部の郭嘉昆報道官は定例記者会見で、中国の「第15次五カ年計画」(2026-2030年)が国際社会、特にグローバルサウスに安定した期待と有益な経験を提供すると述べ、中国が世界経済成長の安定した力となると強調しました。また、同報道官は、中越外交・国防・公安「3+3」戦略対話メカニズムの初の閣僚級会議と中越二国間協力指導委員会第17回会議が3月15日から17日にかけてベトナムで開催されることを発表し、中越関係の戦略的かつ高水準な発展を強調しました。さらに、米国による台湾への武器売却や一方的な関税措置に反対する中国の立場を改めて表明しました。
- 外交部新闻(2026年3月14日) - 金股讯 2026年3月13日、中国外交部の孫衛東副部長はブルネイとマレーシアの駐中国大使と会見し、中国の「第15次五カ年計画」が周辺国に広範な協力機会をもたらすと述べ、両国との戦略的連携の深化と「一帯一路」の質の高い共同建設を推進する意向を示しました。
- 中東情勢悪化でイランやレバノンの避難民多数、アフリカやアジアに食糧不安も - ジェトロ 2026年3月12日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、中東情勢の悪化によりイラン国内で約320万人が避難を余儀なくされていると発表しました。これは、2026年2月28日にイスラエルと米国がイランへの攻撃を開始したことに起因しています。国際移住機関(IOM)は3月23日、レバノンでも100万人が国内避難民となり、約13万人がシリアに越境したと報告しました。また、国連世界食糧計画(WFP)は3月17日、中東情勢悪化により、2026年半ばまでに戦闘が終結せず原油価格が高止まりした場合、約4,500万人が深刻な食糧不安に陥る可能性があると予測し、アフリカやアジアの食糧輸入依存国で飢餓のリスクが急増する恐れがあると指摘しました。
- BRICS~拡大続けるが、多国間主義には限界も | 住友商事グローバルリサーチ(SCGR) BRICSは2024年からアラブ首長国連邦、イラン、エジプト、エチオピア、インドネシアが加わり、現在の加盟国は10カ国に拡大しています。さらに、ナイジェリア、マレーシア、タイなど10カ国がパートナー国としてサミットへの参加が認められており、将来的な正式加盟の可能性も示唆されています。
- BRICS 2026: Global South Rising, Building for Resilience | Connecting The Dots - YouTube インドは2026年のBRICS議長国を務め、「回復力、革新、協力、持続可能性のための構築」をテーマに掲げています。このビジョンは、経済的、健康、地政学的な世界的ショックに耐える集団的強度の向上(回復力)、デジタル公共インフラ、フィンテック、AI、新興技術の推進(革新)、BRICS諸国間の政治的・安全保障的・経済的関係の強化(協力)、気候変動対策、再生可能エネルギー、公正な開発の促進(持続可能性)の4つの柱に基づいています。2026年1月には、インドの外務大臣が包括性、対話、共有された進歩を象徴するロゴとテーマを発表し、グローバルサウス志向のリーダーシップを強調しています。
- 第18回BRICS首脳会議 - Wikipedia 第18回BRICS首脳会議は2026年9月12日から13日にインドのニューデリーで開催される予定です。インド政府は2026年1月13日にBRICS議長国として公式ロゴ、ウェブサイト、SNSを立ち上げ、サミットの準備を正式に開始しました。
- インド「第三極」としてのAI外交戦略――「インドAIインパクト・サミット2026」レポート:石井順也 2026年2月16日から21日にかけて、インドのニューデリーで「インドAIインパクト・サミット」が開催されました。これはグローバルサウスで開催される初の大規模AI国際会議であり、インドは米中とは異なる「第三極」としての独自のAI外交戦略を示しました。サミットでは、包括的で持続可能かつ人権を尊重するAI技術の開発と、低所得層まで包摂するAIの活用が強調されました。
- ラマポーザ大統領、2026年施政方針演説(SoNA)を実施(南アフリカ共和国) | ビジネス短信 南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は2026年2月12日、施政方針演説(SoNA)を行い、急速に変化する世界情勢の中で国内改革を加速させる必要性を強調しました。演説では、包括的な成長と雇用創出、貧困削減、有能・倫理的・発展的な統治を主要な優先事項として挙げ、インフラの近代化と官民連携の重要性を強調しました。
- 2026年ブラジル大統領選挙の注目点を聞く(ブラジル) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース ブラジルでは2026年10月に大統領選挙が予定されており、現職のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領と右派候補が対抗すると見込まれています。選挙の焦点は「財政への対応」であり、ルーラ大統領の拡張的な財政政策が財政負担を増大させ、経済に悪影響を与える可能性が懸念されています。
- 中国から見た「グローバルサウス(全球南方)」 - 提言・論考 中国は、2023年7月10日に開催された「全球共享発展行動論壇首届高級別会議」で、王毅政治局委員が「中国は世界最大の発展途上国であり、当然グローバルサウス陣営の構成員だ」と発言し、グローバルサウスという概念に対する立場を大きく変えました。これは、ウクライナ戦争後、民主主義国と専制主義国の対比が強まる中で、グローバルサウスがどちらの側につくかという議論が活発化したことが背景にあります。
- Press conference by Foreign Minister Toshimitsu Motegi (March 13, 2026) - YouTube 2026年3月13日、茂木外務大臣は定例記者会見で、中東情勢を受けた邦人出国支援の状況について言及し、政府チャーター機による邦人帰国が進んでいることを報告しました。また、2025年版開発協力白書の公表についても発言しました。
- 2026 G7サミット|外務省 2026年3月12日にG7首脳オンライン会議が開催されました。