令和8年度税制改正大綱に見る資産課税・相続税制の主要変更点
2026年度税制改正大綱の主要な資産課税・相続税制変更点
2025年12月に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」では、資産課税および相続税制に関して複数の重要な変更点が示されました。主要な変更点としては、貸付用不動産および不動産小口化商品の評価方法の見直し、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の終了、そして極めて高い水準の所得に対する負担適正化措置(ミニマム課税強化)などが挙げられます。
特に、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、2026年3月31日で適用期限を迎え、延長されないことが明記されています。その他の変更点については、今後資産戦略を検討する上で重要な情報となるでしょう。
貸付用不動産・不動産小口化商品の評価見直し
令和8年度税制改正大綱では、貸付用不動産および不動産小口化商品の相続税評価方法が見直されることが決定されました。貸付用不動産については、相続や贈与の開始前5年以内に取得または新築された一定の貸付用不動産が、従来の固定資産税評価額に代わり、取得価額を基に地価変動などを考慮した通常の取引価格に相当する金額、具体的には取得価額の80%を目安とした金額で評価される見込みです。
また、不動産小口化商品についても、その取得時期に関わらず、相続開始時または贈与時における通常の取引価額に相当する金額で評価されることとなります。これらの評価方法の見直しは、不動産を活用した従来の相続税対策に影響を与えると考えられています。
教育資金贈与非課税措置の終了と高所得者層への課税強化
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年3月31日をもって適用期限が終了し、延長されないことが決定されています。これにより、今後の生前贈与戦略において、この制度を活用した資金移動の選択肢はなくなります。
加えて、極めて高い水準の所得に対する負担適正化措置、いわゆるミニマム課税の強化も決定されました。この措置では、追加の税負担を計算する基礎となる基準所得金額から控除する特別控除額が3億3,000万円から1億6,500万円に引き下げられ、税率も22.5%から30%に引き上げられます。これにより、株式譲渡所得など分離課税所得が多い富裕層の実質的な税負担が増加する見込みです。
事業承継税制の提出期限延長
法人版および個人版事業承継税制において、特例承継計画や個人事業承継計画の提出期限が延長されることが決定されました。この延長は、事業承継を検討している企業や個人事業主に対し、計画策定と提出のための猶予を与えるものとなります。
Reference / エビデンス
- 令和8年度税制改正の大綱の概要 - 財務省 2025年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」には、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の適用期限(2026年3月31日)を延長しないことが明記されている。
- 相続税改正2026|貸付用不動産の節税規制をわかりやすく解説 2026年度の税制改正大綱により、貸付用不動産と不動産小口化商品の評価方法が見直され、不動産を活用した相続税対策が変更される。特に、貸付用不動産には「5年ルール」が適用される見込みで、施行は2027年1月を予定している。
- 相続税・贈与税が歴史的転換で富裕層包囲へ!今すぐ始めるべき節税対策とは?来年始まる「こどもNISA」の“ハイブリッド活用”が - ダイヤモンド・オンライン 2026年度税制改正では、短期的な節税を封じるための「貸付用不動産の評価方法見直し(5年間ルール)」が2027年以降の相続・贈与から適用予定であり、超富裕層を対象とした「ミニマム課税強化」も2027年分より適用予定である。
- 2026年税制改正大綱が公表!相続税の貸付用不動産の評価は取得価額の8割に 2026年税制改正大綱では、相続税の貸付用不動産の評価方法が見直され、課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得・新築された一定の貸付用不動産は、課税時期における通常の取得価額に相当する金額で評価されることが検討されている。この改正は2027年分以後に適用される予定である。また、教育資金一括贈与の非課税措置は2026年3月末で終了する。
- 【速報】令和8年度(2026年)税制改正大綱(相続税・贈与税) | 大阪の相続税税理士 令和8年度税制改正大綱では、不動産小口化商品について、取得時期に関わらず相続開始時または贈与時における通常の取引価額に相当する金額で評価することになった。これは2027年1月1日以降の相続税から適用される。教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年3月31日で延長されずに終了する。
- 2026年度(令和8年度)の税制改正ポイントを解説 - OBC 令和8年度税制改正大綱では、「極めて高い水準の所得に対する負担適正化」として、基準所得金額が3億3,000万円超から1億6,500万円超に引き下げられ、税率が22.5%から30%に引き上げられる。また、防衛特別所得税の創設も盛り込まれている。
- 【審理部】2026年度税制改正大綱 ~まずは概要把握を目的に~[あいわ税理士法人 News Letter] | ZEIKEN PRESS 2026年度税制改正大綱では、極めて高い水準の所得に対する負担適正化措置について、2027年分以後の所得税から、追加の税負担を計算する基礎となる基準所得金額から控除する特別控除額を1億6,500万円に引き下げ、税率を30%に引き上げることが決定された。
- 2026年度税制改正大綱 資産税関連の主な改正点 - PwC 2025年12月19日に自由民主党・日本維新の会の両党により「2026年度税制改正大綱」が公表された。貸付用不動産の評価見直しでは、課税時期前5年以内に取得・新築された一定の貸付用不動産は、取得価格を基に地価変動等を考慮した価格の80%で評価される。法人版事業承継税制(特例)の特例承継計画の提出期限は2027年9月末まで延長されるが、特例制度自体の適用期限は2027年12月31日までで、現状では延長されない見込みである。
- 速報 2026年度(令和8年度)税制改正解説 - 税理士法人山田&パートナーズ 2025年12月19日に与党より「令和8年度税制改正大綱」が公表され、貸付用不動産の評価方法の見直し、不動産小口化商品の評価方法の見直し、事業承継税制の特例承継計画等の提出期限の延長、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の廃止などが盛り込まれている。
- 「強い経済」への決断と実行令和8年度与党税制改正大綱を決定 | 政策 - 自由民主党 自民・日本維新の会の両党は2025年12月19日に令和8年度与党税制改正大綱を決定した。
- 【2026年 相続税が変わる】「51%減」の節税対策が崩壊? 家族に重税を遺さないための「5年ルール」回避戦略 - ダイヤモンド・オンライン 2027年1月以降の相続から、貸付用不動産の評価見直しにより、建物評価が従来の固定資産税評価額ではなく、実勢価格に近い「取得価格の80%」で計算されるようになる。これにより、従来の節税効果が大幅に目減りする見込みである。
- 資産税等に関する令和8年度税制改正について | デロイト トーマツ グループ - Deloitte 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、2026年3月31日までとされている信託等可能期間が延長されずに終了する。個人の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度における個人事業承継計画の提出期限は2年6ヶ月延長され、2028年9月30日までとなる。
- 相続税税制改正2026の要点|贈与税も税理士が解説 2026年度改正(資産課税)では、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の適用期限(2026年3月31日)が延長されない。また、事業承継税制(納税猶予)の計画書提出期限が延長されることが中心である。
- 税制調査会 - 内閣府 内閣府の税制調査会は、2026年1月26日に「第3回活力ある長寿社会に向けたライフコースに中立な税制に関する専門家会合」の議事録を掲載するなど、税制に関する専門家会合を定期的に開催している。
- 2026年度(令和8年度)税制改正のポイントと解説 | 税理士法人山田&パートナーズ 2025年12月19日に与党より「令和8年度税制改正大綱」が公表され、貸付用不動産の評価方法の見直し、不動産小口化商品の評価方法の見直し、事業承継税制の特例承継計画等の提出期限の延長、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の廃止などが盛り込まれている。
- 超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に | 大和総研 令和8年度税制改正大綱の内容が実施されれば、極めて高い水準の所得に対する負担適正化措置(ミニマムタックス)により、株式譲渡所得に対する最高税率は復興税・住民税込みで35.63%となる見込みである。ミニマムタックス課税対象となりうる所得の下限は約9.9億円から約3.3億円に引き下がる。