防衛力強化と地政学的緊張:2026年3月、日本の安全保障政策の最新動向

防衛大臣会見と地政学的緊張:ホルムズ海峡情勢と「新しい戦い方」

2026年3月13日、防衛大臣は記者会見において、ホルムズ海峡を巡る情勢に重大な関心を持ち、情報収集を継続していることを明らかにした。G7オンライン首脳会議では海上輸送路の安全確保について議論が交わされたと述べ、日本として「新しい戦い方」の構築と情報戦への対応能力強化が急務であるとの認識を示した。一方で、自衛隊の派遣については決定していないことを強調した。

防衛力強化の法整備と組織改編:有識者会議の提言と国会提出法案

防衛力の抜本的強化に向けた動きとして、2026年3月10日には防衛省の「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」が検討状況を公表した。この会議では、防衛力強化の進捗状況や令和8年度予算案、安全保障に関する経費、国家安全保障戦略を含む「三文書」改定に向けた議論が行われている。ウクライナ侵攻の教訓を踏まえ、無人アセットの大量運用、複合的な攻撃への防空能力、ネットワーク連接・データとAIの活用、宇宙・サイバー・電磁波領域、情報戦、継戦能力の確保、同盟国・同志国からの支援といった「新しい戦い方」への対応が主要な課題として挙げられた。

また、2026年3月6日には「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」が第221回国会に提出された。この法案は、防衛副大臣の増員、自衛官定数の変更、陸上自衛隊第15旅団の師団への改編、航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改編、宇宙作戦集団の新編、若年定年退職者給付金の増額、再就職支援の拡充など、防衛省・自衛隊の組織改編と人的基盤の抜本的強化を目的としている。

長射程ミサイル配備と中国の反応:専守防衛原則の堅持

2026年3月13日、防衛省報道官は、長射程ミサイルの陸上自衛隊健軍駐屯地への配備に関する中国国防部からの批判に対し、日本政府の見解を表明した。報道官は、日本が戦後一貫して専守防衛に徹し、平和国家としての道を歩んできたこと、および防衛力は自衛のための必要最小限のものであると反論した。

日本の防衛予算は過去最高を更新しており、2025年12月に約9兆円規模の予算案が承認され、2026年度は9兆円規模に達する見通しである。この予算案は2025年から9.4%増となり、年間防衛費を国内総生産比2%に倍増させる日本の5カ年計画の4年目にあたる。高市早苗首相は2025年10月の所信表明演説で、GDP比2%達成時期を「27年度」から「25年度」へ前倒しすると明言した。射程約1,000キロの12式地対艦ミサイルの第1陣は、2026年3月までに日本南西部の熊本県に配備される予定である。

地政学的有事への備えとエネルギー安全保障

中東情勢の緊迫化は、ホルムズ海峡の安全保障に直接的な影響を与え、日本のエネルギー安全保障にとって極めて重要な課題となっている。日本は原油輸入の約95%を中東に依存しており、ホルムズ海峡の閉鎖は国家の存立に関わる事態であると認識されている。

日本は現在、254日分の戦略的石油備蓄を維持しており、2026年3月には高市政権が国家備蓄の放出を決定した。これは、経済的な影響への対応策の一環として実施されるものである。

Reference / エビデンス