グローバルサウスにおける資源ナショナリズムの動向と投資環境の変化
重要鉱物需要の急増と資源ナショナリズムの台頭:グローバルサウスの戦略的転換
エネルギー転換が進む中、銅、リチウム、ニッケル、コバルト、グラファイト、希土類といった重要鉱物の需要は世界的に急増しています。国際エネルギー機関(IEA)の2025年5月の報告書『Global Critical Minerals Outlook 2025』によると、これらの鉱物の需要が急増する一方で、新規の採掘プロジェクトが少なく、供給リスクが存在すると指摘されています。特に、精製・加工は中国が主導しており、他地域での精製投資は進んでいるもののコスト高が課題となっています。
また、2026年1月26日のピクテ・ジャパンの分析では、AIデータセンター、電気自動車、再生可能エネルギー電力網向けの金属需要の急増が資源価格の高騰を招いているとされています。新興国の多くは鉱物資源生産量で世界上位を占めており、このような資源需要の拡大は、これらの国の企業収益、経済、そして株価にプラスに寄与すると見られています。第一生命経済研究所の2025年12月25日のレポートでは、アフリカ経済が中国景気の動向に左右されやすくなる展開が見込まれる一方で、南アフリカ・ランドの対ドル相場は金価格の最高値更新を背景に堅調に推移していることが示されています。
投資環境への多角的影響:リスクの増大と新たな機会の模索
グローバルサウスにおける資源関連の動向は、外国直接投資(FDI)環境にも多角的な影響を与えています。国連貿易開発会議(UNCTAD)が2026年1月20日に発表した報告書によると、2025年の世界の対内直接投資(FDI)額は前年比14%増の約1兆6,000億ドルに達したと推計されていますが、導管国・地域を経由したFDIを除くと実質的な増加は約5%にとどまりました。新興・途上国・地域へのFDIは2%減と弱含んだものの、中南米・カリブ地域では22%増を記録しました。特にブラジルでは再生可能エネルギーやグリーン関連投資を背景に42%増、メキシコでは輸出型製造業を中心に16%増となりました。
このような状況の中、経済産業省は、グローバルサウス諸国における市場活性化と日本との経済連携強化を目的に、「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」を提供しており、日本企業が新たなパートナーシップモデルを模索し、国内付加価値向上に貢献する投資機会を捉える動きも推進されています。
Reference / エビデンス
- EY調査、2026年鉱業・金属セクター ビジネスリスク&オポチュニティ トップ10 を発表 2026年3月26日にEYが発表した調査「2026年鉱業・金属セクターのビジネスリスク&オポチュニティ トップ10」では、「事業運営の複雑さ」が最大のリスクとして初めて1位に浮上した。これは、鉱山の深部化、鉱石品位の低下、コスト上昇に加え、不確実性の高まりが背景にあるとされている。
- IEA『Global Critical Minerals Outlook 2025』を要約する:2025年5月23日(金) - note IEAの2025年5月の報告書『Global Critical Minerals Outlook 2025』は、エネルギー転換に不可欠な重要鉱物(銅、リチウム、ニッケル、コバルト、グラファイト、希土類など)の需要が急増している一方で、新規採掘プロジェクトが少なく供給リスクがあることを指摘している。特に、精製・加工は中国に主導されており、他地域への精製投資は進んでいるもののコスト高が課題となっている。
- 2025年の世界の直接投資は14%増、データセンターや半導体で大型案件が集中 - ジェトロ 国連貿易開発会議(UNCTAD)が2026年1月20日に発表した報告書によると、2025年の世界の対内直接投資(FDI)額は前年比14%増の約1兆6,000億ドルに達したと推計されている。しかし、導管国・地域を経由したFDIを除くと実質的な増加は約5%程度にとどまる。新興・途上国・地域へのFDIは2%減と弱含んだが、中南米・カリブ地域は22%増となり、ブラジルは再生可能エネルギーやグリーン関連投資を背景に42%増、メキシコは輸出型製造業を中心に16%増だった。
- グローイング新興国 | 資源価格上昇による新興国株式の上昇インパクト - ピクテ・ジャパン 2026年1月26日のピクテ・ジャパンの分析によると、AIデータセンター、電気自動車、再生可能エネルギー電力網向けの金属需要急増により資源価格が高騰しており、新興国の労働人口増加国の多くが鉱物資源生産量で世界上位を占めるため、資源需要の拡大はこれらの国の企業収益や経済、株価にプラスに寄与すると見られている。
- 2026年の新興国経済はどうなる(アジア、中南米、中東・アフリカ) ~2025年に続いて米国の動向に左右される展開が見込まれるうえ、金融市場環境にも要注意~ | 西濵 徹 - 第一生命経済研究所 第一生命経済研究所の2025年12月25日のレポートでは、2026年の新興国経済は米国の動向に左右される展開が見込まれ、金融市場環境にも注意が必要とされている。特に、アフリカ経済は中国景気の動向に一段と左右されやすくなる展開が見込まれる一方で、南アフリカ・ランドの対ドル相場は金価格の最高値更新を背景に堅調に推移している。
- グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金ポータル 経済産業省は、グローバルサウス諸国における市場活性化と日本との経済連携強化を目的に、「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」を提供しており、2026年3月30日には令和7年度補正事業の公募について事前周知が行われた。