グローバルサウスの多角外交と政治的自律性:中東情勢緊迫化と主要国連携に見る最新動向

中東情勢緊迫化とG7・国連の対応:グローバルサウスへの影響

2026年3月11日、G7首脳はオンライン会議を開催し、中東情勢の緊迫化が世界経済、金融・エネルギー市場に与える影響や、ホルムズ海峡を含む海上輸送路の安全確保について議論した。G7首脳は地域における自国民保護での協力を含め、緊密に連携して対応していくことで一致した。日本は会議においてホルムズ海峡付近での船舶への攻撃に懸念を示し、安全な航行確保のためG7や中東諸国などと連携すると表明した。また、国際エネルギー機関(IEA)で原油の協調備蓄放出で一致したことを歓迎し、日本は先陣を切って備蓄放出を発表した。

翌3月12日、国連安全保障理事会は中東情勢を巡る会合を開き、イランによる周辺国への報復攻撃を非難する決議案を採択した。この決議案はバーレーンが提出し、日本を含む135カ国が共同提案した。しかし、決議案が米国とイスラエルによる先制攻撃について言及していなかったことから、ロシアと中国は棄権した。この経緯は、グローバルサウスと呼ばれる途上国群が国際的な枠組みにおいて必ずしも一枚岩ではない側面と、大国間の対立がグローバルサウス諸国の政治的自律性確保に複雑な影響を与えうる状況を示している。

中国とベトナムの「3+3」戦略対話:多角外交の深化

2026年3月13日、中国外交部は、ベトナムとの間で外交、国防、公安の「3+3」戦略対話メカニズムの初の閣僚級会議が開催されることを発表した。これは両国がグローバルで初めて確立する「3+3」形式のメカニズムであり、両党両国関係の戦略性と高水準を体現しているとされる。中国は自国をグローバルサウスの一員と位置付け、発展途上国の共通利益を守り、国際問題における新興国と発展途上国の代表性と発言権の強化を推進する姿勢を示しており、今回のメカニズムは周辺国との多角的な関係強化を通じた政治的自律性追求の具体例と見られる。このような動きは、地域における勢力均衡や、他のグローバルサウス諸国の外交戦略に影響を与える可能性がある。

グローバルサウスの多角外交と自律性:広がる連携と課題

上記の動向は、グローバルサウス全体が多角的な外交を展開し、政治的自律性を追求している現状の一端を示している。BRICSはメンバー間の経済協力を拡大し、経済的・政治的地位を向上させようとする組織化されたグループであり、成長を続けている。2024年1月1日にはアルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の6カ国が正式加盟し、11カ国体制となった。BRICS同盟は世界のGDPの35%以上、世界人口の45%を代表し、多極的金融システムにおいて中心的な力としての地位を確立している。

また、ASEANは2026年の経済戦略を策定し、貿易・投資のシームレスな域内統合の深化、デジタル市場の発展、中小零細企業(MSME)の能力強化、グリーン経済への移行加速、クリエイティブ経済の推進を5つの戦略として掲げている。これらの動向は、グローバルサウスが特定の陣営に属さず、自国の利益を最大化しようとする姿勢を強調している。

一方で、中東情勢に見られるように、グローバルサウスは決して一枚岩ではなく、多様な国々で構成されており、内部での利害の相違が存在する。また、大国間の影響力競争に巻き込まれるリスクも課題として指摘されている。

Reference / エビデンス